■OASIS heart 15号
ダイアライザーの進化の歴史 |
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ダイアライザーの誕生ダイアライザーは1923年に開発され、26年に初めて人体に使用されました。この時はまだ人工透析に用いるには不十分で、実用化にはそれから何十年もの歳月を費やしました。1940年代後半からダイアライザーの研究はさらに進みました。並行して「シャント」というブラッドアクセスの問題も解決し、60年頃から維持透析が可能になりました。それでも当時は、まだ現在のように透析をしながら20年、30年と生きることはできませんでした。
透析技術の進化今では透析装置も高性能化され、血流量・透析液流量・除水量を正確に一定の値に維持するよう制御しています。患者さんの安全のため、様々な項目をモニタリングし、問題があれば警報を発するなど、安全性確保のための監視機能が数多く追加されました。 以前は、貧血になると輸血するしか方法がなかったのですが、現在では鉄剤や造血剤の注射によって、輸血をする頻度も極端に減っていますね。ダイアライザーも現在のものが「あたりまえ」だと思ってしまいますが、初めて人体に使用された大きな「ドラム式ダイアライザー」(写真)は「驚きもの」と言ってもよいでしょう。 ダイアライザーの種類と適用ダイアライザーは生体適合性・溶質透過性・透水性・機械的強度など、多くの点で改良され進化を遂げています。材質は、大きくは合成高分子と植物繊維(セルロース)に分けられ、ポリスルホン(PS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエステル系ポリマーアロイ(PEPA)、エチレンビニルアルコール共重合体(EVAL)、セルローストリアセテート(CTA)など様々なものが開発されました。 カタカナばかりでわかりにくいですね。現在では、最も生体適合性に優れるといわれているポリスルホン(PS)系が主流になっています。それでも体に合わない方もおられます。生体不適合が起きると、透析を開始して血圧が急激に低下したり、体調不良を起こしたり、透析の回路内で凝固してしまうことがあります。このような場合は生体不適合を疑い、ダイアライザーの変更を検討します。 体に悪い物質を除去し、体に必要な物質を逃がさない、透析中に血液が固まりにくい、ダイアライザー自身に体に悪い物質をくっつけて除去するなど、ダイアライザーには多様な条件が求められ、材質ごとにそれぞれ長所・特徴があります。しっかりと安全な透析ができるよう、患者さんに合ったダイアライザーを選択し使用しています。 (Visited 1 times, 1 visits today) |