■OASIS heart 5号
透析用水の清浄化がどうして必要なの? |
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エンドトキシン(ET)スピルバーグ監督のSF映画に登場する ETは、小さな宇宙人ETとエリオット少年との心の交流を描いた名作でした。怪我した指を治療までしました。有名なシーンですね。しかし、透析世界のETとは決して交流をもってはいけません。何故なら体内に入り込み攻撃してくるからです。我々、ME(medical engineer)はETと日々戦う防衛軍です。
ET攻撃ツールETは生命力が強い敵です。前回(第3号)書きましたRO装置で捕獲できずに進入するETがいます。ETが水道水に多く繁殖したり、清浄化システムの洗浄消毒不足などでETの数が増加するとRO膜をも通過して侵入してきます。しかし、大丈夫です。安心して下さい!! MEが保有する攻撃ツールが有ります。それがETRF(endotoxin retentive filter)、エンドトキシン捕捉フィルタです。当院では、中央透析液供給装置の直後に大掛かりなETRFを保有しています。さらに万全を喫して皆さまが使われているベッドサイドモニターに入る直前にも2重で搭載しています。安心されましたか? ETに攻撃されるとどうなるのか透析開始直後よりETが透析膜を通過してヒトの血液に侵入すると、悪寒、発熱、低血圧、眠気などの急性反応を引き起こします。これではME軍の完敗です。現在ではET攻撃ツールを保有するME軍が多くなりましたので急性反応は少なくなっていますが、昔は違いました。透析人生「山あり谷あり」でも指摘されているような透析中の不快感は、おそらくETが大きな原因だったのだろうと推測します。 現在、戦っているのは慢性反応です。急性反応が出なくとも長期間にわたり微量のETが体内に侵入していると、体内では異物の侵入を引き金にした反応が着々と起こり炎症を強めていきす。これが続き、慢性炎症状態に陥ることで動脈硬化や栄養状態悪化など数々の合併症を発症します。ETとの絶え間ない戦いによってME軍も日々強化成長しています。次回は、未来の透析用水について書きます。 (Visited 1 times, 1 visits today) |