感染症の予防に!透析患者さんに予防接種が大切な理由
透析患者さんの死亡原因の第二位は感染症となっており、感染症が原因で亡くなる透析患者さんは少なくありません。
感染症を予防し、肺炎や結核といった重症化すると恐ろしい感染症にかからないようにするためにも予防接種を受けることがとても大切です。
今回は、透析患者さんが気をつけたい感染症の種類から感染症予防のために気をつけたいこと・受けるべき予防接種について詳しくみていきましょう。
透析患者さんの死因の原因
透析患者さんの死因の原因は心不全、感染症、悪性腫瘍、脳血管障害と続きますが、ここ数年、感染症でお亡くなりになられる方が少しずつ増加しています。
特に、透析治療を導入して間もない患者さんは肺炎や結核、肝炎などの感染症で亡くなられることが多いのが現状です。では、感染症にかかりやすくなる原因にはどのようなことが挙げられるのでしょうか?
原因1:免疫機能が低下する
白血球は体に侵入する病原菌や異物を除去するはたらきをしており、これを免疫機能と呼びます。
透析患者さんは、摂取できる食べ物に制限があることから栄養不足になりやすい・腎機能が低下していることで尿毒素が体内に溜まりやすいなどの理由から免疫機能が低下しやすく感染症を引き起こしやすいと言えます。
原因2:シャントやカテーテルによる感染リスクの増加
透析にはシャントを使用して血管に針を刺す血液透析と、腹腔内にカテーテルを留置し腹膜を利用して透析を行う腹膜透析などがあります。
シャントを使用した血液透析は毎回の透析で針を刺す必要があるため、透析前後のケアが十分でないと穿刺部から細菌が入り込み感染を引き起こしてしまう可能性があります。
腹膜透析を受けている場合も同様に、腹部に留置しているカテーテルの出口部から細菌が入り込むと感染症を引き起こす可能性があります。
原因3:腎機能低下による感染リスクの増加
透析患者さんは健康な人に比べて尿量が少ないため、大腸菌などの陰部の細菌が尿道から侵入して起こる、膀胱炎や腎炎といった尿路感染症のリスクが増加します。
尿路感染症は下腹部の違和感や痛みや血尿の他に、発熱などの症状を認める場合もあります。
透析患者さんは感染症予防が重要
前述したように、感染症は透析患者さんの死亡原因第2位であり近年、増加傾向にあるため感染予防を講じることは非常に大切です。
ケガや転倒に注意する
転倒などでケガをして擦り傷などを作ると、ケガをした場所から細菌が侵入し感染症を起こす可能性があります。足元をよく確認して歩くように心がけ、運動によるケガにも十分注意するようにしましょう。
また、ケガをしてしまった場合は、速やかに消毒と止血を行い必要に応じてかかりつけ医に相談しましょう。
栄養管理に気を付ける
透析患者さんは食事制限や水分の摂取量に制限があり、食材や食べ方に制限も多いことから栄養不足になる方も見受けられます。栄養不足になると免疫力が低下しやすく感染症にもかかりやすくなります。
医師や管理栄養士による栄養管理の指導を受けて、バランスよく食事を摂取することが感染予防にも大切です。
うがい・手洗い、外出時のマスクの着用
透析患者さんは免疫力が低下しやすく、季節の感染症や肺炎などを予防するためにも外出時はマスクを着用し、帰宅時には手洗いうがいを徹底しましょう。
うがいは、水分制限があるため医師や医療スタッフの指導を受けて行いましょう。
透析患者さんが受けておきたい予防接種の種類
透析患者さんがかかりやすい感染症は肺炎が多く、病院やクリニックでも予防接種を勧めています。
特に、肺炎予防の「肺炎球菌ポリサッカライドワクチン」と、冬場に流行する「インフルエンザワクチン」の予防接種が一般的です。
肺炎の予防接種は5年に一度、インフルエンザの予防摂取は毎年受けるようにしましょう。
まとめ
透析患者さんの死亡原因の第一位は心不全ですが、第二位の感染症は年々増加傾向にあります。
感染予防には体を清潔に保つことや栄養管理に気を付けることなどがありますが、予防接種を受けておくこともとても大切です。
また、入浴時のカテーテルの取扱や、外出時には必ずマスクをする・うがいをするといった細かい配慮が感染症予防につながることを覚えておきましょう。
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