透析患者さんが外食時に気をつけるべき4つのこと
たまの外食は気分転換にもなります。また、仕事や付き合いで外食しなければならないときもあるでしょう。
ただし、外食メニューは栄養成分や塩分量を把握しにくいので、毎日の食事管理が大切な透析患者さんの場合は特に注意が必要です。
今回は、透析患者さんが外食の際におさえておきたい食べる量や回数、選ぶメニュー、食べ方の工夫などのポイントを確認していきましょう。 。
透析患者さんは外食を含む食事管理も大切
透析治療では、低下した腎臓機能はカバーできても腎臓機能そのものを良くすることは叶いません。毎日の食事管理と必要な薬物治療を継続しなければ、腎臓機能を悪化させてしまいます。腎臓機能の悪化が進み、尿毒症になると透析治療も受けられなくなることもあります。心筋梗塞や脳卒中などの命に危険が及ぶ病気にも注意が必要です。
栄養管理も透析治療の一環
そのため、透析治療を受けていても、毎日の食事において塩分を控えること、タンパク質の量を制限すること、必要なエネルギー量を摂取すること、カリウムやリンを多く含む食品に気をつけることを実践し、管理を継続することが大切です。
自宅では、塩分やタンパク質、カリウム・リンの量、エネルギー量などに注意しながら栄養バランスのとれたメニューを組み立てることが可能です。調理の際にも計量スプーンで調味料の量を確認したり、味付けや調理法に工夫を凝らしたりと食事管理が行いやすい環境です。しかし、外食する場合は味付けの調整がきかず、塩分も多めのメニューが多いため食事管理が難しくなります。外食する際に気をつけたいポイントについてみていきましょう。
- 参照リンク
- 腎臓病の食事療法 一般社団法人 日本臨床内科医会
外食のポイント①食事量と回数
外食メニューは栄養成分や量の把握がしにくいだけでなく、味が濃いメニューで水分を多く摂り過ぎやすかったり、ボリュームのあるメニューでタンパク質やリン・カリウムを摂り過ぎてしまいやすいので注意が必要です。
透析患者さんの場合外食はできるだけ避けたいところですが、仕事やスケジュールの都合でやむを得ないこともあります。たまには外で食事を楽しむ機会を持つことも、毎日の食事管理の励みにもなることでしょう。
外食分をほかの食事で調整するのも大切
1日3食中の1回を外食でとったのであれば、残り2回の食事で1日の合計の食事量と栄養バランスを調整するように、食事量を減らすことや塩分、タンパク質、リン、カリウムの少ない食品を選んで食べるようにしましょう。
メインの魚や肉は、タンパク質であり、リンやカリウムが多く含まれています。なるべくボリュームの少ないメニューを選ぶことや三分の一程度は残すなどして、食べ過ぎには注意しましょう。いろいろな種類のメニューを楽しみたいときは大勢で少しずつシェアするのも良いでしょう。
外食のポイント②塩分
塩分を多く摂り過ぎると、喉が渇いて水分を多く欲します。特に透析患者さんの場合、身体の余分な水分を排出しにくいため、水分を摂りすぎると腎臓への負担が大きくなってしまいます。塩分が多く含まれている汁物、漬物、ドレッシングやしょうゆ、ソースなどの調味料には注意が必要です。
塩分を摂りすぎない工夫が大切
塩分量の多い付け合わせの漬物やつくだ煮は、できるだけ残すようにしましょう。調味料はかけてしまうとたくさん使うので、小皿に出したものに食材をつけて摂取量を調整するようにしましょう。ソースやしょうゆ代わりに、レモンや酢などで味わうこともおすすめです。外食メニューの塩分表記を活用するのもよいですね。
外食のポイント③丼ものは要注意
かつ丼や天丼などの丼物はボリュームもあり、ランチについつい選んでしまいがちのメニューですが、ご飯の炭水化物と具材のタンパク質中心であり、栄養バランスが偏りがちです。味付けもしっかりされているので塩分も多く、たっぷりの肉や卵でリンの摂り過ぎにもなります。
丼ものでは栄養バランスを整える工夫を
透析患者さんでは丼物はなるべく避けたいところですが、食べる場合には全て食べきってしまわずに残すようにして、野菜サラダや野菜のおひたし、煮物などのメニューを加えて食べるようにしましょう。
ただし、外食メニューの付け合わせに出ることの多いキャベツは、透析患者さんが制限したい水分とカリウムが豊富に含まれている食材です。野菜だからといって食べ過ぎには注意しましょう。
外食のポイント④麺類はスープを残そう
手軽に食べられるメニューとして人気の麺類ですが、うどん、そば、ラーメンは一人前で約4~6gの塩分があります。汁は全て飲まずに残しましょう。
例えばラーメン1杯に含まれる塩分は約5gです。たった1杯のラーメンで、1日の塩分摂取量をほぼ摂ってしまうことになります。透析患者さんにとって麺類のスープは大敵と言えます。
麺にも約0.3gの塩分は含まれていますが、大半がスープに含まれる塩分です。スープを半分飲んだ場合は約3.2g、三分の一飲んだときは約2.7g、全部残したときは約1.6g、塩分摂取することになります。なるべくスープは残しましょう。
麺類でも塩分を控えられるものを選ぼう
同じ麺類であればスープに浸かっている麺よりも、自分で汁の調整ができるつけ麺やざるそば、ざるうどんなどがおすすめです。スパゲティや焼きそばなども汁気がない分、塩分を抑えることができます。
まとめ
透析を受けている場合、外食は絶対にNGというわけでじゃありませが、回数が多ければ多いほどリスクを伴うことを忘れないようにしましょう。 外食メニューでおすすめなのは色々な食材が組み合わされている定食です。メインの肉や魚のタンパク質も少し残すなどして加減することができ、調味料も自分でかけて調整がききやすいです。
また、「塩分を少なめに」、「量を少なめに」などの注文をお願いすることも有効です。1日の食事のバランス、1週間の食事のバランスをみて、うまく外食を楽しみましょう。
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