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2019年09月19日

透析導入時は要チェック!ストレスとの向き合い方

透析導入時は、慣れない透析治療と不安などによってストレスを抱えやすい時期です。

透析を始めたときにはどのような感情や症状を持ちやすいのか、ストレスを抱えた状態からどのように前へ進んでいけば良いのかを知り、透析導入時のストレスと向き合っていくことが大切です。

ここでは、透析をスタートしたときのストレスとの向き合い方について解説していきます。

     

透析導入時のストレスを知ろう

透析を開始すると、ご自身がお考えになる以上にストレスが増えます。

決められた日時に透析治療を受けることでの日常生活や社会生活における制限、水分や食事の制限、透析治療時間を過ごす苦痛、透析治療を受けなければならないほど腎臓が悪くなっているという身体の状態の受け入れ、余命に対する不安などが生じてくるからです。

特に透析導入時は、これまでの家庭生活や職業生活が大きく変化すること、自分の将来や透析治療を開始することによる家族への影響、自分や自分を取り巻く環境に対するさまざまな感情が入り混じり、ショックや落ち込み、不安や恐怖などの過度なストレスを抱える時期です。

     

透析導入時にみられる感情や症状

具体的には、以下のような感情や身体的な症状などが生じる可能性があり、ときには日常生活に支障をきたす場合もあります。

  • ・透析をしなければならないというショックや落ち込み
  • ・透析治療を始めることを認めたくない気持ち
  • ・これから始まる透析生活への不安
  • ・自分が将来どうなるのかという恐怖
  • ・なぜ透析を受けなければならないのかという怒りや混乱
  • ・もう何をやってもよくならないという絶望感
  • ・こんなに苦しい気持ちは他の人にはわからない、自分だけが透析治療や制限される生活を送らなければならないという疎外感や孤立感
  • ・何もしたくない、やる気が出ない(集中力・やる気の低下・無気力)
  • ・不安で夜、眠れない(不眠)
  • ・家から出たくない、外出する気にならない(閉じこもり傾向)
     

透析導入期の患者さんのストレスへの心理的反応

透析導入期には、今までの日常生活や自分の立場、役割、仕事、人間関係などが失われていくような喪失体験を感じる段階と、現実を受け止めて透析を受けられて良かったと受け入れる、これからできることを考えるなどの受容する段階の2段階があることが知られています。

透析治療自体を気持ち的に受け入れても、透析治療が生涯続くことへの不安や後悔、抑うつなどの心理もあり、喪失と受容の段階が繰り返されながら生涯続くこともあります。

参考文献:日本赤十字九州国際看護大学 坂本洋子 透析患者の精神・心理

透析治療とストレスの関係

透析と抑うつの関係

透析患者さんでみられる精神的な症状として、抑うつ、不安があります。

抑うつとは

抑うつの状態では、憂うつな気持ちになる、気分の落ち込み、前は楽しかったことを楽しむことができない、これから起こることを楽しみと思えない、マイナスの方向に考えてしまう、身だしなみに気を遣えない、思考力や決断力の低下、集中力の低下、不眠、生きることがめんどうに感じる、自分を責める、などの症状がみられます。

不安とは

不安な状態では、心配がつきない、イライラする、リラックスできない、めまい、動悸、冷や汗、不眠、落ち着かない、良くないことが起こりそうな気がする、急に不安に駆られるといった状態をいいます。

抑うつや不安は、これから始まる新しい治療や生活、身体機能の低下、体調の変化などのことを考えて生じる自然な感情です。しかし、日常生活に支障をきたすほどの抑うつや不安には、何らかの対策が必要となってきます。

参考文献1:NPO法人 腎臓サポート協会 腎臓病なんでもサイト

透析治療とストレス

知っておきたい透析患者さんの行動・考え方の工夫

透析導入時の不安や抑うつは、少なからず誰でも経験するものです。そこから少しずつ自分なりのペースで前へ進むことが重要です。抑うつや不安を感じている時期から、少しずつ前を向いて行動していくためには、行動や考え方を工夫することが大切です。

透析患者さんの行動や考え方の工夫としては、自分の置かれている状況を感情的ではなく、客観的に把握して冷静に考えることや、ストレスを軽減するための行動などがあります。

それでもひどく苦しい状態から抜け出せないときや日常生活を上手く送ることができない場合にはご自身や家族で抱え込まず、専門家に相談して支援を受けるようにしましょう。

  • ・自分の病気について調べ、情報を得る
  • ・落ち着いて客観的に自分の状態を捉えてみる
  • ・過去の経験を振り返り、今の状態に役立ちそうなことを思い返す
  • ・抱えている問題を小さく分けて考える
  • ・目標を決めて、段階的に取り組む
  • ・自分の状態をありのままに受け入れる
  • ・運動をして緊張をほぐす
  • ・リラックスできる趣味をみつけて取り組む
  • ・他のことへ目を向ける時間を持つ
  • ・今の自分と同じ状況の人と話をする
  • ・家族や友人に相談する
  • ・専門家に相談し、支援を受ける

参考文献:NPO法人 腎臓サポート協会 腎臓病なんでもサイト

透析患者さんのストレスとの向き合い方

まとめ

透析導入時は、これから起こる生活の変化や自分の身体に対する不安や抑うつなどのストレスを感じやすい時期です。

少しずつ、今置かれている自分の状態を受け入れることで、自分のペースを取り戻すことができますが、誰しもが不安な状態から前向きな状態へとスムーズに移行できるわけではありません。

不安や恐怖などを抱えながら、前へ進んではまた戻ってを長期間繰り返しながら過ごしていく場合もあります。透析導入時期に抱えやすい心理的な問題や、どのように前へと進んでいけば良いかといった行動や考え方の工夫を知り、ストレスと向き合っていくことが大切です。


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