透析によるサルコペニアを予防!筋力アップの大切さを知ろう
サルコペニアという言葉を聞いたことがありますか?加齢や運動不足、栄養不良、病気などが原因で筋肉量が減少することで、身体機能の低下を引き起こすことをサルコペニアと言います。
サルコペニアは寝たきりの原因となったり、生活習慣病を進行させるため予防が大切です。
特に透析患者さんの場合サルコペニアになりやすいと言われています。今回は、透析患者さんがかかりやすいサルコペニアの原因や対策について詳しくみていきましょう。
サルコペニアとは
サルコペニアとは加齢や病気、活動性の低下、栄養不良などで筋肉量が少なくなることによって「身体機能の低下がみられること」を指します。
サルコペニアの原因
サルコペニアは原因によって「一次性サルコペニア」と「二次性サルコペニア」に分けられます。「一次性サルコペニア」は加齢によるもので、「二次性サルコペニア」は不活発な生活、内分泌疾患や悪性腫瘍、食欲不振や栄養吸収不良など、活動量や病気、栄養に関連して起こるものです。
特に内分泌疾患や神経変性疾患などの病気では、ホルモンの機能低下により筋肉が壊れやすくなり、筋肉を動かす機会が減ることで筋肉量が減少します。
また、加齢や寝たきりの状態によって活動量が低下することにより、筋肉量が減少してサルコペニアになる場合もよくあります。
サルコペニアの症状
サルコペニアになると身体の筋肉量が低下することで、信号が青のうちに横断歩道を渡り切れない、ペットボトルやビンのふたを開けられない、食事でむせやすい、転倒しやすいといった症状がみられるようになります。
また、歩く際に杖や補助が必要になる・車椅子での移動が余儀なくされることもあります。
身体が思うように動かなくなり、転倒して骨折するなどで活動量や食事量が低下すると、ますます筋肉量が減少し、寝たきりや介護が必要になってしまいます。
サルコペニア肥満にも注意が必要
筋肉量が減る代わりに脂肪が増えることで起こる「サルコペニア肥満」がここ最近問題視されています。
筋肉量が減と見た目が細くなり体重も減少するので、サルコペニア肥満であることに気づかないことがよくあります。
見た目上は細くみえても、サルコペニア肥満になっている場合は生活習慣病などのリスクが上がるので要注意です。
透析患者さんはサルコペニアに陥りやすい
透析患者さんはサルコペニアに陥りやすいと言われています。その理由として、以下のことがあげられます。
透析患者さんの高齢化
2017年12月31日現在のわが国の慢性透析療法の現況をみると、わが国の透析患者は2017年末では65歳以上の高齢者が約7割を占めています。
加齢によって筋肉量が減ったり活動量が減ることで、サルコペニアになりやすくなります。
透析患者さんは運動量が低下しやすい
透析患者さんの場合、糖尿病性腎症が原因で透析治療を受けていることが多く、もともと運動量が少なく筋肉量が減少しやすい傾向にあります。
また、透析治療が始まると体調不良が起こりやすくなったり、透析治時に安静臥位で過ごす時間が多くなることで、さらに運動量が低下しがちです。
積極的にリハビリを行う・できる範囲の運動をこまめに行うことを心がけることで、サルコペニアを予防することが大切です。
腎機能の低下に伴う症状
腎機能の低下によって起こる尿毒症物質の蓄積や性ホルモン機能の低下、インスリン抵抗性、慢性炎症はサルコペニアの原因となります。
タンパク質の制限がフレイルを起こす原因にも
良質なタンパク質の摂取は筋肉をつくるために必要ですが、透析患者さんはタンパク質の摂取量が制限されています。
また、透析患者さんはエネルギー摂取量自体も少ない傾向にあることが報告されており、栄養不足はサルコペニアの原因となるので注意が必要です。
食事の内容や栄養状態を定期的にチェックし、適切な栄養指導を受けて栄養不足にならないようにしましょう。
まとめ
サルコペニアは気づかないうちに寝たきりや生活習慣病を進行させてしまいます。
特に運動不足や栄養不良など、サルコペニアになりやすい要因を抱えている透析患者さんは、意識してサルコペニアを予防していくことが大切です。
食事制限を守りながらもバランスよく栄養を摂取できる食事指導を受けたり、無理のない範囲で継続して行える筋トレメニューの指導や介入を受け、しっかりとサルコペニアを予防しましょう。
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