おせち料理に要注意!透析患者さんが知っておきたいお正月料理を食べるポイント
年始年末は、おせち料理やお正月のごちそうをついつい食べすぎてしまう季節です。1年の終わりと始めはおめでたくて良いのですが、ついついおとそ気分で食生活も乱れがちになります。
さらにお酒の機会も増えますので、ふだん食事に気をつけている方でもつい食べすぎたり、栄養バランスを崩しやすく注意が必要です。 特に透析患者さんにとって、食事の管理は大切な治療の一貫です。
バランスの良い食事で、摂るべき栄養はしっかり摂りながら制限するべき成分を避けて体調をキープするように心がけましょう。
今回は、おせち料理を食べる際に透析患者さんが気をつけたいポイントについてご紹介したいと思います。
透析患者の食事療法の基礎知識
まずは透析患者さんが必ず覚えておきたい食事療法の基礎を押さえておきましょう。摂りすぎに注意すべきものは「水分」「塩分」「カリウム」「リン」の4つです。
水分の摂りすぎに注意
塩分を摂りすぎると、どうしても喉が渇いてお水が飲みたくなりますので水分のとりすぎに繋がり、むくみや体重増加をおこして病気のもとになりやすくなります。できるだけ塩分は控えめにするようにしましょう。
カリウムの摂りすぎは高カリウム血症につながる
カリウムはほとんどの食材に含まれていますが、腎臓の悪い方は余分なカリウムを排泄する機能が低下していますので、摂取量を押さえないと高カリウム血症をおこして手足のしびれや不整脈などの症状が現れ、最悪の場合心臓が停止してしまう恐れがあります。カリウムの摂りすぎも要注意です。
リンの摂りすぎにも注意
肉や魚などのタンパク質系の食材にはリンが多く含まれますが、リンを多くとりすぎますと腎不全患者さんの場合は体内に蓄積されやすくなり、その結果血管に障害がおきて心筋梗塞や動脈硬化などをひきおこす危険性があります。
おせち料理で気をつけたいポイント
あまり制限が多いとおせち料理どころじゃないよ、と言われそうですが、ポイントをいくつか押さえておけば大丈夫。透析患者さんでもおいしく楽しく食べられる方法をお伝えします。
おせち料理には加工食品が多い
おせち料理にはかまぼこや数の子などの加工品が多く、日持ちを考えて塩分が多く使われています。お醤油などをかけずにそのまま食べるようにしましょう。また、食べすぎないように先に食べる量をお皿に分けてから食べると良いでしょう。
リンやカリウムが多い「昆布巻」「黒豆」「田作り」は特に注意して控えめにしてください。
おせち料理にはタンパク質が多く野菜が不足する傾向にあるので、茹でた野菜料理を加えるなどしてバランスをとりましょう。野菜は水にさらしたり茹でてから調理したりするとカリウムを減らすことができます。
お餅や鍋物の注意点
お餅は見た目よりカロリーが高いので2個までにしましょう。
お雑煮・鍋物などの野菜の多い料理は、カリウムと水分の摂りすぎに注意してください。特に鍋物の場合、水分とカリウムの摂りすぎにつながるので、汁は飲まないようにすることが大事です。
〆の雑炊や麺類も控えるようにしましょう。
年越しそばの注意点
最後に年越しそばですが「夕食」として食べましょう。
夕食をとった後でさらに年越しそばまで食べてしまうと、どうしてもカロリー・塩分オーバーになってしまいます。特に汁には塩分が多いので、なるべくあまり飲まないようにしてください。
そばはリンを多く含むので「年越しうどん」にするとさらにヘルシーです。
栄養のバランスを考えて加工食品でない肉や魚、卵、別に茹でた野菜を添えて食べると良いでしょう。
まとめ
おせち料理はどれも美味しそうなので、ついつい食べすぎてしまいがちです。食べる分を皿に並べてから食べるなどの工夫をして食べすぎに注意しましょう。
おせち料理を栄養のバランスをとりながら安心して美味しく食べるには「水分」「塩分」をなるべく避けて、リンやカリウムの多い「昆布巻」「黒豆」「田作り」を少なめにする。そして好きなものばかりをたくさん食べるのではなく、いろんな料理をバランス良く少しずつ食べるのがコツです。
ついつい食べすぎてしまうお正月の時期を、上手に乗り切ってくださいね。
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