意外と知らない!透析患者さんが冬場に気をつけたいこととは
冬場は体調を壊しやすくなるだけでなく、肌のかゆみなどの症状も出やすい時期です。特に透析患者さんの場合、ホルモンバランスが崩れやすいことから寒さを感じやすい傾向にあり、特に体調管理を徹底したい季節と言えます。
今回は、透析患者さんが冬場に注意したいことや食事で気をつけたいことについて、詳しくご紹介していきます。
冬場は風邪・インフルエンザに注意しよう
透析患者さんは免疫力が落ちやすく、風邪やインフルエンザが重症化しやすい傾向にあります。冬場は特に風邪・インフルエンザ予防を徹底することが大切です。
手洗い・うがいの徹底や外出時はマスクを着用する、人混みは極力避けるようにしましょう。
また、風邪やインフルエンザの症状が出た場合には、なるべく早くかかりつけ医に相談するようにしてください。
特にインフルエンザの場合、重症化すると危険な状態になることも珍しくありません。かかりつけ医に相談しながら、インフルエンザが流行する2周間以上前に予防ワクチンを打つことも検討すると良いでしょう。
透析患者さんが冬場に気をつけたい「かゆみ」「体温調節」
透析患者さんは、冬場は特に「かゆみ」と「体温調節」の2点に気をつけましょう。
乾燥する冬場はかゆみも出やすい
冬場は空気が乾燥するため、乾燥肌になりやすい時期です。
特に透析患者さんは肌が乾燥しやすいため、乾燥によるかゆみも強くなりやすいと言えます。
皮膚が乾燥しないように保湿をしっかり行い、室内では加湿器を使うなどして乾燥を予防しましょう。また、入浴中の熱いお湯や、衣類・寝具が刺激となってかゆみを増長させることもあります。
入浴時のお湯の温度は熱すぎないようにする・綿の衣類や寝具を利用するなど、かゆみが強くならない工夫をすると良いでしょう。
かゆみがいつもと比べて強い場合には、早めに医師に相談することをおすすめします。
冬場は体温調節にも配慮しよう
透析患者さんはホルモンバランスなどの影響により、寒さを感じやすいことが少なくありません。また、尿毒症の影響で自律神経が障害されることで、体温調節機能が低下していることもあります。
冬場は体温が低くなりやすいため、暖房などを利用しながら体温調節をしっかりするようにしましょう。
ただし、暖房は空気の乾燥を招くため、加湿器を利用する・洗濯物を室内で干すなどの工夫も忘れないでください。
冬場のドライウェイトの測定についても要チェック
ドライウェイトを正しく測るために、夏のパジャマから冬のパジャマに変わったときにはかかりつけのクリニックにその旨を伝えるようにしましょう。
厚手の冬服を着て計測する場合、重くなってドライウェイトに誤差が出てしまう可能性があります。除水量を正確に判断するために、夏服と冬服の重さを計測する必要があります。
透析患者さんが冬場に気をつけたい食材
続いては透析患者さんが冬場摂りすぎに注意したい食材についてみていきましょう。
①カリウムの多い小松菜
小松菜はビタミンなどを豊富に含み、栄養価の高い冬野菜のひとつです。ただし、カリウム量が多いため、摂取量に注意しましょう。
一日80g(1株程度)を目安にしましょう。また、茹でるとカリウム量を減らすことができるため、摂取時には茹でて茹で汁は摂らないようにしてください。
②カリウムの多い白菜量
白菜もカリウム量が多いため、小さく切って水でさらす・茹でこぼしてから食べるようにしましょう。
特に鍋物が多くなる冬場は、白菜の摂りすぎに気をつけましょう。
③リンの多いかまぼこや練り物
おでんやお正月料理にも多く含まれるかまぼこや練り物は、リン酸が防腐剤として含まれているため、要注意です。
肉類・魚類は加工品ではなく、生の調理されていないものをできるだけ摂るようにしましょう。
冬場の鍋料理の利点と注意点
冬場は鍋物が食べたくなる季節です。
鍋物は栄養バランスが整いやすく、身体も温まります。一方、水分を多く含むため体重が増加しやすい・野菜が多いためカリウムを過剰摂取しやすいことに注意が必要です。
鍋物の場合、鍋の出汁はできるだけ飲まないようにしましょう。また、野菜は切った状態で30分以上水にさらしてから使うようにしてください。
〆の雑炊や麺類は控えるようにし、食べすぎ防止・塩分過多防止のために一人前の量を予め準備してから食べるようにしましょう。また、市販の鍋の素は塩分量が多いため控えてください。
また、おでんの場合、練り物にリンが多く含まれるためほかの食材に代えるなどの工夫をするようにしましょう。
まとめ
今回は冬場に注意したい乾燥やインフルエンザ・食事について詳しくみていきました。 特に冬場は健康な人でも体調を壊しやすい時期なので、透析患者さんはより一層体調管理をしっかりしたい時期でもあります。
乾燥予防・風邪予防をしっかり行い、少しでも体調の異変に気づいたら速やかにかかりつけ医に相談するようにしましょう。
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