【要チェック】シャントの正しい管理方法まとめ
透析患者さんがシャントを正しく管理することは、シャントを長く安全に使い続けるためにもとても大切です。
クリニックでの透析中はシャントの管理を医療スタッフが行いますが、日常生活で透析患者さんが管理することも長期使用には欠かせません。
今回は、シャントの正しい管理方法と観察ポイント、トラブル例について詳しく解説していきます。
シャントは管理が大切
シャントとは、透析導入をする際に透析に必要な血流量を確保するための血管の役割をするものです。
シャントに何らかの問題があると閉塞や感染といったトラブルが起こりやすくなってしまいます。シャントを正しく管理することは、シャントを長く使い続けるためでもありますが、透析治療のトラブルを防止する上でもとても重要です。
シャントの正しい管理方法
それでは具体的なシャントの正しい管理のポイントについてみていきましょう。
シャントをしっかり観察しよう
まずひとつ目は、シャントをしっかり観察することです。
シャントをしっかり観察することで、シャントの異常や変化に早く気づくことができます。また、透析治療を受ける患者さんだけでなくご家族もシャントを定期的に観察・確認することでより早く異変に気づくことができます。
シャントを触ってみる
2つ目はシャントに触ってみることです。
シャントにくびれや分岐が起きていないか、スリルと呼ばれる血流の振動はいつも通りか、シャントが腫れていないかまたは弱くなっていないか実際に触って確認するようにしましょう。
シャントの触診に慣れるまで少し抵抗感があるかもしれませんが、これもシャントのトラブルを最小限にするための大切な確認です。
シャント音の確認
3つ目の確認は、シャントの音をチェックしてみることです。
動脈と静脈をつなげたシャントは、圧の低い静脈側に動脈側に血液が引き込まれるため、「シャント音」と呼ばれる「ザーザー・ゴーゴー」という低い音が聞こえます。
シャントの確認には医療従事者が使うような聴診器をできれば使用し、高い「ピーピー」という鳴るような音や、断続音、いつもより音が弱いと言う場合は医師に相談しましょう。
痛み・熱感・傷の確認
4つ目はシャントのまわりに痛みや熱・傷がないかの確認です。
透析をする際は、毎回シャントに穿刺をするため透析終了後に大きな傷や内出血を起こしてしまう場合があります。シャント周辺の血色に変化がないかどうかを確認し、清潔な手でシャントを触り痛みや熱を持っていないかを細かくチェックするようにしましょう。
シャントによくあるトラブル例
続いてはシャントによくあるトラブルについて具体的にみていきましょう。
透析をしていると、脱血量が十分でなかったり返血圧が上昇したり、シャントが詰まってしまうことがあります。シャントトラブルとしてよくあるのは以下の5つです。
シャント狭窄
シャント狭窄とは、シャントに狭くなっている部分がある状態です。
シャント狭窄があるとシャント音が高くなり、軽い痛みや違和感が出る事が多いです。シャント狭窄はシャントトラブルの中でも最も多く、シャント音を一日一回確認することで早期発見することが大切です。
シャント閉塞
シャント閉塞とは血栓や血管そのものが細いことにより、シャントが詰まった状態になっていることをいいます。シャント閉塞を起こしているとシャント音は聴こえず、穿刺しても脱血することができない状態となります。
シャント瘤
シャント瘤は、シャントにこぶ状に膨らみができている状態をいいます。
瘤が大きくなったり、こぶの皮膚が薄くなっている状態や痛み・感染などがみられる場合には手術が必要になることもあります。
スチール症候群
スチール症候群とは、シャント側の指の血の巡りが悪くなることで、指に痛みや変色、進行すると壊死などの症状を引き起こす一群の症状です。
スチール症候群の症状としてはしびれ・痛みなどがあります。
シャント感染
シャントに限らずカテーテルや表在化でも、穿刺部やカテ出入り口を清潔にしていなければ感染を起こす場合があります。自宅でシャントを触る際は、必ず清潔な手で触りましょう。
また、透析施設の医療スタッフが衛生管理を徹底し、シャント感染を予防することも重要です。
まとめ
今回は知っておきたいシャントの正しい管理方法とよくあるシャントトラブルについてみていきました。
透析患者さんにとって欠かせないシャントは、日々の観察をしっかりと行い、めの対処や処置が重要です。シャントの観察・確認をしっかりと行い、シャントにいつもと違う点があれば速やかに医師に相談しましょう。
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