透析後にしんどいのはあなただけではありません
透析後に疲労感やだるさを感じる、しんどいという声は、透析患者ではよく聞かれることです。透析後にしんどいという方に、その理由やしんどさを減らすための対策についてお伝えします。適切な対策を知り、今よりもしんどさを軽減して、生活の質の向上に役立てていただければ幸いです。
透析後にしんどくなる理由
透析後にしんどさやだるさを感じることは珍しいことではなく、よくあることです。
透析後にしんどくなる理由のひとつは、血液透析そのものにあります。体内の余分な水分や老廃物を除去し、血液の浄化を行う血液透析は、血液を体外循環するという非生理的なものであるために身体に負担がかかります。また、体内から老廃物や水分を排出する一方で、身体に必要な栄養素やエネルギーも消費されるので、透析後の疲労感やだるさにつながります。
また、透析治療によって体内から水分が除去されるため、脱水状態となることがあります。脱水状態では血圧が低下して、透析後に疲労感が生じます。身体の状態や栄養状態が疲労感やだるさに影響していることもあります。
透析後のしんどさを減らす対策
透析後のしんどさを減らす対策として、基礎体力の向上と体重コントロールが挙げられます。
基礎体力の向上
透析後の疲労と日常的な歩行量・活動量との関係の調査では、毎日30分以上屋外を歩行している透析患者や、歩行量・活動量が多い透析患者は疲労感が少ないと報告されています。1)
透析後の疲労感を軽減し、しんどさを減らすためには、基礎体力の向上が有効であることが示唆されています。毎日30分以上の歩行や、活動的に生活することは、筋力や心肺機能の向上を促し、基礎体力を高めるのに役立ちます。
個人によって運動の可否や適切な運動の内容は異なるので、運動の強度・頻度・時間などは、運動を開始する前に主治医に相談して確認しましょう。
体重コントロール
次の透析までの間に急激な体重増加がみられる場合には、除水量が多くなるために脱水状態となり、しんどさを引き起こす可能性があります。
まずは、水分や食事のとりすぎに注意して、体重の増加を適切な範囲内で保つことが大切です。次の透析までの体重増加率は、中1日は3%以内、中2日は5%以内が理想とされています。主治医と相談して適切な目標を設定し、適切な範囲内で体重を保つために、水分や食事の摂取量に気をつけましょう。
それでも強い疲労感を感じたときは
体重コントロールが良好なのに透析後のしんどさが続く場合は、ドライウェイトが適切に設定されているかどうかの見直しが必要です。ドライウェイトは一定ではなく、身体の状態によっても変化します。
ドライウェイトが本来の値よりも少なく設定されている可能性や、健康状態や栄養状態が疲労感やだるさに影響している場合もあります。主治医との定期的なコミュニケーションを通じて、定期的に身体状態のチェックやドライウェイトの見直しを受けましょう。
まとめ
透析後のしんどさを感じる透析患者は少なくありません。しんどさを軽減するためには基礎体力の向上や次の透析までの体重コントロールによって、透析による身体へのストレスを低減し、脱水への対策をとることが有用です。ドライウェイトの設定が本来よりも厳しく設定されていると、除水のしすぎで脱水状態になります。定期的な受診によって、身体状態のチェックを受け、透析後のしんどさが続く時には主治医に相談することも大切です。
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