適度な運動に水泳を!透析患者さんの水泳のススメ
透析患者さんは適度な運動も大切です。無理なく継続して行える適度な運動のひとつに水泳があげられます。水泳は水の浮力によって関節への負荷がかかりにくく、効率的に運動を行うことができます。
特に水泳にあまり馴染みのない方は、水中歩行から始めるとよいでしょう。透析患者さんが知っておきたい水泳のポイントや注意したいことについてご紹介していきます。
透析患者さんには水泳がオススメ
透析患者さんは透析の導入前から体調的な問題で安静にすることが多く、透析中は週3回、ベッドの上で長時間過ごすことになります。そのため、多くの透析患者さんに体力や筋力の低下がみられます。
筋肉のボリュームの減少や筋力低下が起こると、歩行機能の低下やADL(日常生活動作)の低下につながります。
また、筋肉によるポンプ作用が弱くなるので、起立性低血圧が起こりやすくなります。運動の機会が減ると骨にかかる刺激も少なくなり、骨粗しょう症となって骨折しやすくなります。免疫も低下し、感染症にもかかりやすくなります。
水泳などの有酸素運動がおすすめ
体力や筋力の向上のために、運動を継続的に行うことが大切です。運動のなかでも特に話をしながら笑顔で続けられる程度の負荷が軽い運動で、1回30~60分程度、全身を動かすことのできる有酸素運動が適しています。
有酸素運動といえばウォーキングですが、ウォーキングのほかにも水中歩行や水泳がおすすめです。水中歩行や水泳は、水の中に入って身体を動かすので、水の負荷がかかって効率的に運動することができます。また、水の浮力で膝などの関節へかかる負担も少なくなります。
透析患者さんが水泳をする際のポイント
水泳を行う際のポイントをみていきましょう。
水泳による負荷量と時間を決める
まずは、水泳や水中歩行を始める前に、どの程度の負荷でどのくらいの時間、運動を行うかを決めましょう。苦しくならない程度の水泳による負荷量・運動量を設定します。
特に体力が低下している人は無理せずに短時間からはじめ、休みをとりながら行いましょう。はじめは水中でゆっくりと歩くことからはじめるとよいでしょう。
血圧測定を行う
透析患者さんは血圧が不安定となりやすいので水泳前にも血圧測定を行い、いつもよりも血圧が高くなっていないかをチェックしましょう。血圧が高い場合は水泳を控えましょう。
水泳中はシャント部を保護する
水泳時にはシャント部分からの細菌による感染にも注意が必要です。
水泳の前にはシャント部を防水フイルムなどでしっかりと保護し、感染症を予防しましょう。また、透析を行った日は入水を避けましょう。
参考文献:KISSEI 教えて!透析Q&A
透析患者さんが水泳をする際に注意したいこと
水泳をする際に注意したいことをみていきましょう。
水泳時の水温に注意する
水温が低いと身体にかかる負担が大きくなるため、水温を確かめてから入水しましょう。
水泳時は低血糖に注意する
糖尿病がある場合は低血糖に注意が必要です。空腹時は運動を避けましょう。
体調に注意する
水泳前や水泳中の体調の変化にも注意しましょう。
血圧がいつもより高い・低い場合、ふらつきなどの貧血症状がある場合、関節痛がある場合は、積極的な運動は避けましょう。
体調に合わせて無理をしないようにし、体調が思わしくない場合には、無理にプールに入らずに横になったままできる体操など、運動メニューを変更するのもよいでしょう。
まとめ
透析患者さんは、透析時間は横になって過ごすので、運動不足になりがちです。運動不足では体力や筋力が落ち、歩行機能の低下やADLの低下もきたします。
特に水泳は短い時間でも効率よく運動を行うことができ、運動不足の解消におすすめです。体調の変化やシャント部の衛生面にしっかりと注意して、日常生活に水泳を取り入れてみてはいかがでしょうか?
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