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2021年03月02日

口内炎になりやすい?透析患者さんとお口のケア

透析患者さんは口内炎をはじめ、口が渇く、虫歯、歯周病などの口のトラブルがよくみられます。

口内炎は舌や歯茎、唇の裏や上あごなどの口の中の粘膜にでき、食べ物を食べたり飲んだりすると、ひどく痛むので食欲がなくなる原因にもなります。

透析患者さんの口内炎と口の中のトラブルの予防法について理解を深めましょう。

 

透析患者さんは口内炎になりやすい

透析患者さんの口の中における合併症のアンケート報告ではおよそ37%(353人中132人)の人に口内炎の症状がみられています。

透析患者さんに多い慢性腎臓病や糖尿病、尿毒症の合併症として口内炎は知られており、口内炎は糖尿病患者さんでよくみられる口腔内の症状のひとつです。

参考文献:又賀 泉 血液透析中高齢患者における顎口腔領域の合併症と歯科治療

透析患者さんと口内炎

透析患者さんが口内炎になりやすい理由

透析患者さんが口内炎になりやすい理由として、口の中が乾燥しやすい、免疫力の低下、ビタミン不足があげられます。

 

口の中が乾燥しやすい

透析患者さんは水分制限や透析治療での除水で身体の中の水分が不足しやすくなることに加えて、唾液を分泌する唾液腺の縮みや飲んでいる薬の副作用で唾液の出る量が少なくなっています。

唾液には口の中の菌を洗い流す働きがあり、唾液の量が少なくなると口の中の菌が増えて炎症を起こしやすく、口内炎がみられやすくなります。

 

免疫力の低下

透析患者で多い慢性腎臓病や糖尿病では免疫力が低下しているために炎症が起こりやすく、口内炎になりやすい状態です。

 

ビタミン不足

皮膚や粘膜の健康な状態を維持するはたらきのあるビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンCが不足しても口内炎になります。

ビタミンB2はレバーや牛乳、卵、うなぎ、納豆など、ビタミンB6はかつお、まぐろ、鶏ささみ、バナナなど、ビタミンCは果物や野菜に多く含まれています。ビタミンが多く含まれる食品はたんぱく質やリン、カリウムも多く、透析患者さんは制限が必要な食品です。

そのため、透析患者さんはビタミン不足になりやすく、口内炎を発症しやすくなります。

 

お口のトラブルを予防するには

口内炎は自然に治りますが、口の中にできると痛みで食事を摂りにくくなってしまったり、ストレスにもつながります。まずは、口内炎ができないように予防することが大切です。

透析患者さんは唾液の量が少なく口腔内の菌が増えやすいため、口内炎以外にも虫歯や歯周病にもなりやすくなります。

唾液が少ないと味を感じる味蕾(みらい)に味が伝わらず、味がわかりにくい、おかしな味がするなどの味覚障害もみられます。口の中のトラブルを予防するためには口腔ケアと予防歯科、透析治療をしっかり受けることが重要です。

透析患者さんとお口の健康

透析患者さんにおすすめの口腔ケアポイント

透析患者さんの口腔ケアでは次のポイントを心がけましょう。

  • ・食べたら歯を磨いて、口の中の菌の数が増えないようにする
  • ・口の中を傷つけないようにやわらかめの歯ブラシを選ぶ
  • ・だらだらと食べ続けない
  • ・口内炎など口の中が荒れているときは刺激物を食べない
  • ・ノンアルコールのマウスウォッシュ(アルコールの入っているものは口が渇きやすいため)でこまめにうがいをする
  • ・唾液腺のマッサージをする
  • ・噛み応えのある食品をしっかり噛んで食べ、唾液の分泌を増やす
  • ・口腔保湿ジェルを使用して口の中の潤いを保つ
  • ・定期的に歯科で口腔内の清掃とチェックを受ける

透析患者さんと口腔内ケア

まとめ

免疫力の低下、口の中が渇きやすい、ビタミン不足になりやすいといった理由から透析患者さんは口内炎ができやすい状態です。また、ストレスも口内炎の原因となります。

口腔ケアを実行するとともに、栄養バランスのとれた食事と規則正しい生活を送り、ストレスをためこまないようにしましょう。

腎臓機能が悪化すると免疫力も低下するため、透析治療をしっかりと受けることも大切です。

口内炎が2週間以上続くときはほかの病気の可能性もあるため、主治医に相談しましょう。


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