透析治療に活用できるマル長(特定疾病療養受領証)について
透析治療に活用できるマル長(特定疾病療養受領証)とは、透析患者が受けられる医療費助成です。具体的な助成内容や申請方法を確認しておきましょう。マル長以外に活用できる東京都特殊疾病医療助成制度(マル都)、障害者医療費助成制度(マル障)についても説明しています。透析患者が利用できる医療費助成を知り、有効に活用しましょう。
マル長(特定疾病療養受領証)とは
病院の窓口でマル長と呼ばれる特定疾病療養受領証は、長期間にわたって高額な治療費が必要となる特定疾病の医療費助成を受けられる制度です。特定疾病とは、厚生労働大臣が指定する病気で、人工透析が必要な慢性腎不全、血友病、血液製剤に起因するHIV感染者が対象となります。
・東京健生病院 透析治療に活用できる社会保障制度について
・江戸川区 特定疾病療養受療証について(人工透析を受ける方など)
・中四国エイズセンター 特定疾病療養(マル長)について
マル長を利用すると透析治療費はどうなる?
特定疾病療養受領証を用いると、医療費の自己負担限度額の上限が医療機関ごとに入院、外来それぞれ月1万円の上限となります。
ただし、70歳未満で標準報酬月額が53万円以上、もしくは標準報酬月額が53万円以上の被保険者に扶養されている上位所得者は、自己負担額の上限は月2万円となります。まt,食事代は対象となりません。
例えば、透析患者が1か月の間に入院、外来の両方にかかった場合は入院で1万円、外来で1万円のそれぞれの自己負担金が必要となるため、月額の自己負担額は2万円となります。70歳未満の上位所得者の患者は、自己負担額の上限が月2万円のため、入院、外来の両方にかかった場合は合計月4万円となります。
・東京健生病院 透析治療に活用できる社会保障制度について
・江戸川区 特定疾病療養受療証について(人工透析を受ける方など)
・中四国エイズセンター 特定疾病療養(マル長)について
・善仁会グループ 透析を導入した後の医療費について
マル長の手続き方法
申請の際は、特定疾病認定申請書、保険証、印鑑が必要です。申請書は加入している保険の担当窓口にあります。国民健康保険は市区町村の国民健康保険課、後期高齢者医療は市長区村の後期高齢者医療担当、健康保険は協会けんぽや社会保険事務所が窓口です。
手続きは、次の流れで行います。
- 各保険の窓口で申請書類を受け取り、記入します。
- 医療機関で医師の意見書を記入してもらいます。
- 加入している各保険の担当窓口で申請を行います。
- 特定疾病療養受療証特定疾病認定申請書を記入します。
- 医療機関にて医師の証明を受けます。
- 加入している保険の担当窓口で申請を行います。
- 受療証が発行されたら、通院先の医療機関へ提示します。
東京都特殊疾病医療助成制度(マル都)と障害者医療費助成制度(マル障)
東京都独自の透析にかかわる医療費助成を行う制度であるマル都と、透析以外の医療費の助成を受けられるマル障について説明します。
東京都特殊疾病医療助成制度(マル都)
東京都では腎不全で人工透析を受けている患者に、独自にマル都と呼ばれる医療費助成を行っています。
マル都は特定疾病療養受療証が適用となった人工透析にかかわる入院、外来の月1万円の自己負担額が助成対象となり、一般所得者であれば、自己負担額が0円となる制度です。
上位所得者で月2万円の自己負担額がある場合は、マル都により1万円が助成され、自己負担額は1万円となります。
マル都は住んでいる市長区村の担当窓口で、難病医療費助成申請書兼同意書、人工透析用の個人番号に係る調書を受け取り、健康保険証・特定疾病療養受療証・高齢受給者証のコピーを揃えて申請します。
障害者医療費助成制度(マル障)
東京都の場合は65歳未満で身体障害者手帳1~2級を持っている方は心身障害者医療費助成制度を受けることができます。人工透析を受けている人は、ほとんどの人が身体障害者手帳1級を所持しているため、マル障の対象となります。
マル障では透析以外の医療費の助成を受けられ、医療機関、調剤薬局、訪問看護ステーションなどの費用が対象となります。介護保険の利用者負担額、健康診断や予防接種代、差額のベッド代、特別注文した歯科の義歯やかぶせ物などは助成対象となりません。
まとめ
透析医療に関わる助成制度にマル長があります。マル長は一般所得者であれば、透析にかかわる自己負担額が月1万円となります。さらにマル都も一緒に活用すると透析にかかわる医療費の自己負担額は0円となります。ほかにも、透析以外の医療費の助成を受けられるマル障があります。医療費の負担を軽減できるマル長、マル都、マル障の交付を受け、上手に活用していきましょう。
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