要注意！透析患者さんが気をつけたい心臓病とその原因

透析患者さんにとって、合併症は特に気を付けておくべき項目のひとつです。合併症のなかでも特に心臓病は、透析と密接な関係にあります。

心臓病のリスクや透析との関係をしっかり理解しておくことが大切です。今回は、透析と心臓の関係や原因、注意しておきたい心臓病の種類について解説します。

まず最初に透析と心臓病の関係についてみていきましょう。

透析患者さんは、腎臓の機能が低下して腎不全の状態を起こしていることから、腎血流量が低下して体内をめぐる血液の量が増加し心臓に負担をかけてしまいます。

また透析患者さんの半数以上の方は、高血圧になることから動脈硬化が進み心筋梗塞のリスクも高くなります。

腎臓は、体の老廃物や余分な水分を尿として排出する働きや、血圧のコントロール、赤血球やカルシウムなどに関与し体の中でも重要な役割を担っています。

腎臓の機能が低下すると電解質の調整が上手くいかず、体に老廃物や余分な水分が溜まりやすくなります。

老廃物や余分な水分が溜まることでむくみや高血圧を引き起こし、さらに心臓に負担がかかります。透析患者さんの場合、心不全などの心臓に負担がかかることで起こる病気を発症しやすくなります。

透析患者さんが注意しておきたい心臓病は、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患や弁膜症、不整脈、心不全が挙げられます。

注意したい心臓病の種類についてみていきましょう。

虚血性心疾患は、動脈硬化や高血圧などが原因で、心臓の冠動脈と呼ばれる血管が詰まる心臓病です。

胸痛や冷や汗といった症状がみられ、症状が一時的であれば狭心症、血管が詰まり心臓の筋肉が障害される場合には心筋梗塞と呼びます。

心臓には4つの部屋があり、血液が逆流しないように4つの弁がついています。この弁が閉鎖不全を起こしたり、狭窄症などで上手く働かなくなると心臓が血液を全身に送ることができなくなってしまいます。

聴診や心電図異常がきっかけで分かることの多い心臓病です。

不整脈は心臓のリズムが早くなったり遅くなったり調律が乱れることで起こる病気です。

透析患者さんは、虚血性心疾患や弁膜症、電解質異常などにより不整脈を引き起こす場合があります。

心不全は、心臓のポンプ機能が低下しすることで起こる心臓病です。心臓のポンプ機能は、虚血性心疾患や弁膜症などさまざまな心臓病が原因となって低下することがあります。

特に透析患者さんは、1日おきの透析により体内の水分が増えやすいことから、心不全になりやすいことが分かっています。

問診や聴診などの診察で心臓病の疑いがある場合は、心電図検査・画像診断・冠動脈造影を行い心臓の状態を詳しく調べます。それぞれの検査を詳しく見ていきましょう。

心電図検査は、心臓の動きを電気的な波形にすることで心臓に異常がないかを確認しています。

心電図にも種類があり、ベッドに横になり安静な状態で検査する安静時心電図、24時間装着して日常生活を送りながら波形を記録するホルター心電図、運動した時に心波形の変化を記録し異常がないかを調べる運動負荷心電図などがあります。

心臓の異常を調べる画像診断には、心エコー（超音波）やCT、心筋シンチグラフィなどがあります。

画像診断は、心電図で異常が見つかった場合に病気をより詳しく調べるために行うものです。画像診断では、心臓の状態や心臓の機能異常の有無を確認します。

心臓カテーテル検査は、手首や足の付け根の血管から心臓へ細い管（カテーテル）を入れて冠動脈や心臓の弁に異常がないかを調べる検査です。

透析患者さんは、腎血流量の増加や高血圧の影響で、虚血性心疾患や弁膜症などの心不全を引き起こしやすいとされています。

心臓病は自覚症状がほとんど出ないことも多く、定期的に検査を受けることが大切です。特に心臓病リスクが高まる透析患者さんの場合、しっかりと心臓においても定期検診を受けるようにしましょう。