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2022年02月24日

むくみは危険なサイン?腎不全のむくみ解消法とマッサージ

腎不全で腎臓の機能低下が進むとむくみの症状がみられます。むくみが生じるメカニズムと腎不全や腎臓の病気でむくみが出る理由を知り、むくみの解消法やマッサージ方法、必要な治療などの対処法について学びましょう。

そもそも、「むくみ」って何?

むくみ

むくみは医療用語では「浮腫」と呼ばれ、細胞と細胞の間を満たす間質液が過剰に増えてしまった状態です。

血液内と細胞内から浸み出してきた物質は、いったん間質液に混ざってから交換されます。毛細血管内から浸み出した酸素・栄養を含んだ水分は細胞内へ移動し、細胞内から出された炭酸ガス・老廃物は毛細血管内へと移動します。

間質液などの体液の量は通常一定に保たれていますが、何らかの理由で体液量が増えるとむくみが生じます。

・白戸亮吉ほか著 生理学・生化学につながる ていねいな生物学 3章 血液の循環と調節
・北風政史 編著 ここが知りたい 利尿薬の選び方,使い方 第1章 浮腫ってなに? A浮腫のメカニズム7
・全国健康保険協会 4月 足元スッキリ、むくみ対策

腎不全になるとむくむ理由

腎臓の働きが低下して腎不全になると、体の中の余分な水分や塩分を体の外に排出できなくなって体に過剰な水分がたまります。水分が血管の外へ浸み出し、間質液が増えることでむくみます。

腎不全の中でもネフローゼ症候群では、体に必要なたんぱく質が尿と一緒に排泄されてしまい、血液中のたんぱく質が減って低アルブミン血症を引き起こします。アルブミンは血管内や体内の水分量を調節する働きがあり、アルブミンが低下すると血管内の水分が血管の外へと流れ出てたまり、むくみが出ます。

腎不全やネフローゼ症候群でみられるむくみは左右対称にみられ、むくんでいる箇所を指で10秒以上押さえると、押さえたところがへこんだままになります。最初は足首周辺がむくみますが、顔や目の周りにもむくみはみられ、ひどくなると全身にむくみが広がります。

むくみの症状を自覚する時期には腎臓の機能低下がすでに進んでいることが多く、むくみの原因となっている病気の治療や、生活習慣の改善、症状に対する薬物療法を行って、症状の進行を遅らせることが大切です。

・国立長寿医療研究センター 足の腫れむくみの原因は?
・東京女子医科大学病院腎臓病総合医療センター 腎臓内科 ネフローゼ症候群
・一般社団法人 日本腎臓学会 3.腎臓がわるくなったときの症状

知っておきたいむくみの解消法&マッサージ

むくみの症状は足によくみられます。足は心臓から離れた場所にあり、血液の流れが滞りやすい部位です。さらに、座っている姿勢や立っている姿勢では重力の影響を受けて、足に水分はたまりやすくなります。

加齢に伴って筋肉量や筋力が低下すると、ふくらはぎの筋肉のポンプ作用で血液を心臓に送り返しにくくなり、血液中の水分が足にたまりやすくなることも足にむくみが出やすい理由のひとつです。

むくみの解消法

足のむくみを解消しやすくするには、次のような方法で血流が滞らないようにしましょう。

  • 足を下に下げたままの姿勢を長くとらないようにする
  • 台の上などに足を置いて足の位置を高くする
  • 足首の運動をする
  • 椅子から立ち上がり、足の筋肉を使う
  • 夜寝るときに足の下にクッションなどを置いて少し高くしておく
  • ふくらはぎを圧迫する弾性ストッキングが有効な場合もある(圧やサイズが適切でない市販のものを使うと循環障害を起こすことがあるので、医療スタッフに相談のうえ、サイズの合った医療用の着圧ストッキングを使用しましょう)
  • 寝たきりの方は、同じ姿勢をとり続けないように定期的に体位変換を行う(寝たきりでは、重力に従って背中やお尻がむくみやすくなります)

・公益社団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット 浮腫

むくみに対するマッサージ

腎不全の患者は皮膚が乾燥しやすく、バリア機能が低下しているので、強くマッサージをすると皮膚が傷つき感染症のリスクが高まります。治療で抗血液凝固剤を服用している患者は、皮膚を強く押すと出血の危険性もあります。強くもんだり押したりしないように気を付けましょう。

マッサージは血流を促すように、足先から心臓の方向に向かって手のひら全体で優しくさするように動かします。むくみやすい足首周囲と膝裏のマッサージ方法を紹介します。

  • 両手で足を包み込むようにして、足首から太ももの方向へさすります。
  • 膝裏を手のひらの先で円を描くようにさすります。

・マルホ 医療関係者向けサイト 皮脂欠乏症の主な原因:透析

食事療法と水分制限が重要です

透析治療

腎不全やネフローゼ症候群でむくみが生じている場合は、体の中に水分がたまらないように水分制限が必要です。塩分は水分を取り込んで体にためるため、塩分の制限も必要となります。

たんぱく質は、体の中で老廃物として残り、腎臓に負担をかけるので、たんぱく質を制限して腎臓の機能低下を防ぐことも大切です。むくみをはじめ、高血圧などの症状がひどくならないように、主治医の指示のもと、水分制限と塩分・たんぱく質制限などの食事療法を継続しましょう。

・全腎協 腎臓病について 水分・塩分の摂取について

まとめ

腎不全のむくみの症状がみられるのは、腎臓の機能低下がある程度進んでからです。むくみは排泄できない水分や塩分が体の中にたまることや、血液中のたんぱく質が減って血管の外に水がたまることで生じます。

むくみの症状がひどくならないように、血流を促すマッサージや軽い足の運動などとともに、水分制限と塩分・たんぱく質を制限する食事療法を継続しましょう。

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