大豆は食べても大丈夫?透析患者さんの大豆製品の摂り方
大豆は植物性の良質なたんぱく質が含まれる食品です。腎臓への負担を少なくするために、食事も大切な治療のひとつである透析患者さんの場合は、大豆製品に含まれるたんぱく質やリン、カリウムなどを多く摂り過ぎないような工夫が必要です。
大豆製品に含まれる栄養素や食事での大豆製品の目安量を確認していきましょう。おすすめの大豆製品や食べ方も紹介していきます。
透析患者さんは大豆を食べても大丈夫?
透析患者さんは食事において、たんぱく質を制限する必要があります。
たんぱく質は筋肉や臓器をつくる大切な栄養素ですが、多く摂ると尿素窒素やクレアチニンなどの腎臓からしか排出できない老廃物が増え、腎臓に負担がかかります。
大豆は良質なたんぱく質である必須アミノ酸をバランスよく含んでいる食品です。ただし、大豆製品の種類によっては、制限が必要なリンやカリウムが多く含まれているものもあります。
たんぱく質は主食の米やパン、芋や野菜などにも含まれているため、食事全体で摂取するたんぱく質の量を調整することが大切です。
各大豆製品の目安量
透析患者さんの1日のたんぱく質の目安量は「慢性腎臓病に対する食事療法基準」によると、体重1kgあたり0.9~1.2gです。
性別や年齢、BMI値、活動量などによっても異なりますが、主菜として大豆製品を食べる場合は、1食当たりの大豆製品の目安量は50g~70g程度です。
大豆製品以外の主食や副菜にもたんぱく質は含まれるため、主食は治療用特殊食品に置き換えることや、副菜にはたんぱく質を多く含む芋類を避けるなどして調整しましょう。
大豆製品を食べるときにはリンやカリウムにも注意
大豆製品にはリンやカリウムが多く含まれる食品があります。
大豆製品可食部100gあたりに含まれるたんぱく質、リン、カリウム、エネルギーは次のとおりです。
たんぱく質 | リン | カリウム | エネルギー | |
---|---|---|---|---|
豆腐(木綿) | 7.0g | 88mg | 110mg | 80kcal |
豆腐(絹ごし) | 5.3g | 68mg | 150mg | 62kcal |
納豆 | 16.5g | 190mg | 660mg | 200kcal |
大豆(蒸し) | 16.6g | 290mg | 810mg | 205kcal |
高野豆腐 | 10.7g | 180mg | 3mg | 115kcal |
厚揚げ | 10.7g | 150mg | 120mg | 150kcal |
油揚げ | 23.4g | 350mg | 86mg | 410kcal |
蒸し大豆や納豆はカリウムとリンが高い食品です。高野豆腐や厚揚げ、油揚げもリンが高いので食べる量が多くなりすぎないように注意が必要です。
透析患者さんが大豆製品を摂る際に気を付けたいこと
透析患者さんにおすすめの大豆製品を食べるときのポイントとともに紹介していきます。
納豆
パックは50g前後の容量が入っていますが、ミニカップは30g前後のため、副菜として取り入れやすい容量です。
茹でたオクラと和えてもおいしく食べられます。
※血液をサラサラにするワーファリンを服用している場合は、納豆は食べられません。
高野豆腐
高野豆腐1個20gを水に戻すと100g近い量になります。
主菜として食べるとリンの摂り過ぎになるため、1/4個を目安に茹でた小松菜など和え、副菜として食べるのがおすすめです。
豆腐
たんぱく質、リン、カリウムが木綿よりも少ない絹ごし豆腐がおすすめです。 副菜として食べるときは50g(300gパック1/6程度)を目安にします。水分を多く含んでいるため、しっかりと水切りしましょう。片栗粉をつけて油で揚げるとエネルギーアップにもなります。
えだまめ
1食当たりの目安量は6さやです。
塩分を控えるために、ゆがくときや食べるときに塩は控え、サラダやスープに入れて食べるのもおすすめです。味付けは酢や香辛料でアクセントを利かすと、塩を使わなくてもおいしく食べることができます。
蒸し大豆
蒸し大豆はリンもカリウムも高いので15g程度をシーチキンマヨネーズや茹でたインゲンなどと混ぜ合わせ、和え物として食べるのがおすすめです。
厚揚げ
リン、カリウム共に高いため量に注意が必要です。
ボリュームがあり、食べ応えがあるため主菜としても活躍します。副菜として30g程度を野菜との炒め煮にすることや、主菜として70g程度をオイルソテーにして食べるのがおすすめです。
油揚げ
リンが高い食品です。
副菜として、5~10g程度(1枚20gの1/4~1/2)を炒め煮や和え物などに使用する、主菜として20g程度(1枚程度)を肉詰めやインゲン巻などに使用するなどのレシピがおすすめです。
まとめ
食べる量や食事全体での栄養素バランスに気を付ければ、透析患者さんも大豆製品をおいしく食べることができます。
1食で食べることのできる大豆製品がどのくらいの量かを把握して多く摂り過ぎないように気を付けましょう。大豆製品を多めに食べたときは、他の副菜や主食、残りの2食で調節して1日でのバランスをとることが大切です。
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