腎臓病に効くとされるラジウム温泉と注意点
腎臓病患者はNGとされる温泉が多いのはなぜなのか、まずは温泉そのものの禁忌症について理解を深めましょう。その上で腎臓病に効く温泉といわれているラジウム温泉の特徴、適応症、禁忌症を確認しましょう。さらに、実際に温泉に入るときの注意点も説明していきます。
腎臓病NGの温泉が多い理由
入浴は温熱作用により血液循環に影響して身体のはたらきに変化をもたらすほか、水圧作用によって心臓への負担もかかります。
温泉の禁忌症
環境省が提言している温泉の禁忌症の中に、「むくみのあるような重い腎臓の病気」とあります。環境省の「あんしん・あんぜんな温泉利用のいろは」によると、温泉利用の禁忌症として具体的に次のように示されています。
- 体力が消耗しているとき
- 身体が衰弱しているとき
- 水圧で負担がかかりやすい心臓や肺、重い腎臓の病気があるとき
- 呼吸苦や胸痛などがあるとき
- 出血があるとき
また、温泉の飲用についても腎臓病の方は要注意です。ナトリウム、カリウム、マグネシウムの成分が含まれる温泉の飲用は、腎臓病の場合は制限が必要な成分のため、禁忌となっています。
温泉そのものによる負担と温泉成分の影響
温泉への入浴そのものが腎臓病のある方の身体に負担をかける行為であること、温泉に含まれる成分によって腎臓病の人が制限しなければならない成分が含まれていることから、腎臓病NGとなっている温泉が多くみられます。
ただし、体調が安定していて主治医の許可が得られていれば、腎臓病の方でも温泉に入ることは可能です。
腎臓病患者はラジウム温泉に行きましょう
腎臓病患者にラジウム温泉がよいと言われている理由を探ってみましょう。
温泉の泉質
温泉は、温泉に含まれている化学成分とその量によって、「単純温泉、炭酸水素塩泉、塩化物泉、二酸化炭素泉、硫酸塩泉、酸性泉、含鉄泉、硫黄泉、含よう素泉、放射能泉」の10種類の泉質に分類されます。
ラジウム温泉の特徴と適応症
ラジウム温泉は微量の放射能が含まれる放射能泉に分類されます。放射能泉の特徴として炎症に効果的であるとされています。泉質別適応症として高尿酸血症(痛風)、関節リウマチ、硬直性脊髄炎で腎臓病が挙げられているわけではありませんが、糸球体腎炎などで腎臓に炎症が起こっている状態と考えれば腎臓病に効く温泉といえるかもしれません。
ほかにも放射能泉は末梢神経障害、冷え性、高血圧(軽症)、耐糖能異常(糖尿病)、高コレステロール血症、胃腸機能低下、自律神経不安定症、不眠症、うつ症状、筋肉・関節の慢性的な痛みやこわばり、運動麻痺による筋肉のこわばり、喘息・肺気腫(軽症)、痔の痛み、病後回復期、疲労回復・健康増進にも効果的とされています。
腎臓病の方で末梢神経障害、高血圧、糖尿病、高コレステロール血症などの合併症を抱えている方にとっても効果を得られます。
ラジウム温泉の注意点
ラジウム温泉を含む放射能泉の泉質別の禁忌症はとくにありませんが、温泉に入る行為そのものに対する注意点を確認しておきましょう。
- むくみがあるような腎臓病の増悪があるときは入らない
- いつもと比べて体調が悪いときは入らない
- 体が疲れているときは入らない
- 食事の直前・直後には入らない
- 入浴前後の水分補給を行う
- 急に血圧が上がらないように温泉につかる前には手足、全身の順番にお湯をかぶる
- 高齢者、高血圧、心臓病、脳卒中の既往のある方は42度以上の高温の温泉には入らない
- 心肺機能が低下している人は部分浴や半身浴にとどめる
- 温泉成分を残すために、温泉から上がったら身体は洗い流さず、タオルで水気をふき取る
- 血液透析患者は感染予防のために透析日当日は入らない
- 腹膜透析患者はカテーテル出口部分からの感染を予防するために温泉は避ける
- 温泉に入る前に主治医に相談する
・愛知県衛生研究所 温泉の一般的禁忌症泉質別禁忌症と適応症
・MediPress透析 温泉や銭湯などの公衆浴場に入ることはできますか?
まとめ
腎臓病に効く温泉は炎症症状に効能があるとされているラジウム温泉といわれていますが、効果の感じ方は個人によって差があります。温泉に入るときは、腎臓病患者に対する摂取制限のある成分が含まれている温泉の飲用は避けましょう。また、温泉へ入浴する行為そのものが身体に負担をかけるので、あらかじめ主治医に相談の上、透析日は避けて体調がよいときに入るようにしましょう。
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