日本一はどこ?都道府県別の透析患者数を調べてみた
透析患者数日本一はどこの県でしょうか。地域別傾向を探ることで、透析治療の現状や社会背景の理解が進みます。本記事では、2022年度末のデータから、地域ごとの透析患者数と人口比をもとに、地域で見られる差やその理由について解説します。
都道府県別の透析患者数
2022年度末の透析患者数トップ20は次の都道府県です。1)東京都、大阪府、神奈川県、埼玉県、愛知県などの都市部で透析施設や人口の多い地域で透析患者数も多い傾向にあります。2)
- 東京都:33,462人
- 大阪府:23,391人
- 神奈川県:22,272人
- 埼玉県:19,776人
- 愛知県:19,257人
- 千葉県:16,382人
- 北海道:16,267人
- 福岡県:15,544人
- 兵庫県:14,477人
- 静岡県:11,460人
- 茨城県:8,417人
- 広島県:7,942人
- 京都府:6,798人
- 栃木県:6,699人
- 群馬県:6,281人
- 岡山県:5,458人
- 鹿児島県:5,452人
- 長野県:5,511人
- 福島県:5,216人
- 新潟県:5,269人
・1)わが国の慢性透析療法の現況(2022年12月31日現在)
・2)政府統計の総合窓口【総計】都道府県別人口、人口動態及び世帯数
人口比で見た都道府県別の透析患者数
2022年度末の人口比トップ20の都道府県は以下のとおりです。1)徳島県、高知県、熊本県、宮崎県、大分県など、生活習慣病の罹患率や高齢化率が高い地域で人口比が高い傾向にあります。3)4)
- 1. 徳島県:3,997.2人
- 2. 高知県:3,803.3人
- 3. 熊本県:3,848.7人
- 4. 宮崎県:3,723.4人
- 5. 大分県:3,667.6人
- 6. 和歌山県:3,413.1人
- 7. 栃木県:3,509.2人
- 8. 鹿児島県:3,488.2人
- 9. 沖縄県:3,325.6人
- 10. 佐賀県:3,318.4人
- 11. 群馬県:3,283.3人
- 12. 福岡県:3,038.3人
- 13. 愛媛県:3,070.4人
- 14. 静岡県:3,199.3人
- 15. 長崎県:3,155.1人
- 16. 北海道:3,164.8人
- 17. 山梨県:2,992.5人
- 18. 鳥取県:2,935.7人
- 19. 岡山県:2,931.3人
- 20. 青森県:2,915.3人v
・1)わが国の慢性透析療法の現況(2022年12月31日現在)
・3)厚生労働省 疾病と食事、地域の関係をみる
・4)内閣府 令和4年版高齢社会白書(全体版)4地域別に見た高齢化
透析患者数の地域傾向について考える
2022年末の人口比最下位は富山県でした。100万人当たりの人口比は2,359.9人です。トップの徳島県の3,997.2人と比べると、人口100万人あたり1,637.3人の差があり、地域によって差が大きいことがわかります。
透析患者数の地域差について調べた研究では、特定健診実施率の高い都道府県は40~74歳における透析導入率が低いことが示されました。さらに、40~74歳の慢性腎臓病(CKD)の有病率も低く、特定健診実施率を高めることで地域における透析導入率の差を縮小する可能性があると考えられています。5)
また、透析病患者数と糖尿病患者数には関連があり、糖尿病を専門的に診る医師が少ない地域ではやや多い傾向にあると報告されています。6)
透析患者が多い地域では透析施設や透析を専門的に診る医師が多い地域でもあります。長時間透析の実施が患者の予後の改善に貢献しているとみられています。
これらにより、地域差は糖尿病などの生活習慣病の関連があるとわかります。生活習慣病の予防・改善に積極的に取り組んでいる地域では腎機能の悪化を予防し、透析に移行する確率を抑えられると言えるでしょう。
・5)新潟大学 特定健診実施率の⾼い都道府県は透析導⼊率が低い − 特定健診実施率を⾼めることで都道府県差を⼩さくできる可能性
・6)全国健康保険協会 協会けんぽにおける 人工透析の地域差
・7)緒方聡ほか 慢性透析患者の地域差の要因-日本透析医学会統計調査委員会研究- 透析会誌2011 44(8)681-688–
まとめ
2022年度末のデータによると、日本国内の透析患者数は地域によって大きな差があります。患者数や人口比の多い地域は、透析施設や人口が多い地域であるとともに、生活習慣病の罹患率も高いことが確認されました。
特定健診の実施率が高い地域では、透析導入率が低いことも報告されています。透析が必要になる原因でもある生活習慣病の予防と適切な治療を受けることが重要です。長時間透析を受けることで、透析患者の長期予後も良くなることが報告されています。
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