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2018年12月27日

なんとかしたい!透析中の痛みの原因と対処法

透析治療で針を刺す痛みや透析中の痛み、なんとかしたいですよね。透析中の痛みはそもそもどうして起こるのでしょうか。

透析中に起こる痛みは、針を刺すときの穿刺痛と、透析中の血管痛とがあります。それぞれの痛みが起こる原因と、実際に医療機関で行われている透析治療の痛みへの対処法を詳しくみていきましょう。

     

血液透析に使用される針の太さは通常の2倍以上

透析とアルミニウムの関係

血液透析で使われる針は通常より太い針です。注射針の太さはゲージ(G)という単位で表されます。数字が大きいほど針の太さは細く、数字が小さいほど針の太さは細くなります。一般的な採血(静脈採血)で使用される針は21~22G、子どもや血管の細い人の場合は23Gも使われます。

予防接種では21G以下の細い針が使用されます。なるべく刺したときの痛みが少なくなるように子どもの予防接種では25~30Gの細い針が使われていることが多いです。毎日数回の注射が必要になるインスリン注射用の針では30~33Gの細い針が使われています。

血液透析の針は15~18G

血液透析に使用される針の太さはというと、15~18Gの針がよく使われています。採血や予防接種で使用される21Gの針と比べてどれくらい違うのかというと、21Gは直径0.8mmに対し、16Gは直径1.6mmです。血液透析で使われる針の太さは、採血に使われる針のちょうど2倍太い大きさになります。刺すときの痛みは、針が細くなるほど痛みが少ないといわれていますので、透析で用いられる針の刺すときの痛みが想像できますね。

ゲージ

G

直径

mm

主な用途

血液透析

輸血

採血

静脈注射

筋肉注射

皮下・

皮内注射

インスリン自己注射

15

1.8

 

 

 

 

 

 

16

1.6

 

 

 

 

 

 

17

1.4

 

 

 

 

 

 

18

1.2

 

 

 

 

 

 

19

1.1

 

 

 

 

 

 

20

0.9

 

 

 

 

 

 

21

0.8

 

 

 

 

 

 

22

0.7

 

 

 

 

 

 

23

0.6

 

 

 

 

 

 

24

0.55

 

 

 

 

 

 

25

0.5

 

 

 

 

 

 

26

0.45

 

 

 

 

 

 

27

0.4

 

 

 

 

 

 

30

0.3

 

 

 

 

 

 

31

0.25

 

 

 

 

 

 

33

0.2

 

 

 

 

 

 

表1 注射針の太さと主な用途

     

穿刺の痛みを和らげる3つの方法

透析治療を行ううえで、注射針を刺す穿刺は必要不可欠の行為であり、避けて通ることはできません。注射をしたときに痛いのは、皮膚の表面に存在する痛みを感じる痛点が1mm四方辺り約2個存在しており、痛点に注射針があたるからです。透析で使用される注射針の太さは1mm以上の太さの針ですから、まず、針先が痛点にあたることを避けることはできません。穿刺の際には物理的に痛みが伴うのです。

そうはいっても、痛みはできるだけ和らげたいものです。なるべく痛みの少ない穿刺を行うために実施されている3つの方法を説明していきます。

穿刺前の麻酔薬の使用

穿刺の1~2時間前にあらかじめ、穿刺を行う部位に麻酔薬のクリームを塗る処置やテープ薬を貼る処置を行い、穿刺時の痛みを和らげる方法です。

穿刺時の痛み止めの追加

穿刺前の塗り薬やテープ薬での麻酔薬を用いても痛みが持続する場合にはスプレータイプの局所麻酔や飲み薬の痛み止めを服用して、痛みを和らげることもあります。

保冷剤で冷やす

冷凍した保冷剤を穿刺部位に当てて、止血バンドなどで固定して穿刺部位の皮膚を冷やします。皮膚の表面を触って冷たいと感じるまで冷やし、皮膚の感覚を鈍くして穿刺時の痛みを和らげる方法も用いられています。

麻酔薬のテープ薬を貼り付けたときと保冷剤で5分間穿刺部を冷やしたときの穿刺痛を比べた研究では、麻酔薬を貼り付けたときと劣らない効果が得られたとあります。保冷剤で冷やす方法は、穿刺前の麻酔薬の処置を忘れたときや麻酔薬によってかぶれが生じる患者さんにも有効とされています。

     

透析中は血管痛が出る場合も

透析脳症とアルミニウム

穿刺時だけではなく、透析中には血管痛と言われる痛みが出ることもあります。なかには、透析を受けている間中、痛みが持続する場合もあります。

血管痛の原因ははっきりとはわかっておらず、穿刺部位やシャント、末梢の循環の悪化、血圧の変動による神経の圧迫など、さまざまな要因から起こっていると考えられています。

     

血管痛への対処法

透析脳症とアルツハイマー

血管痛への対処法としては以下の方法があります。

   

穿刺部位を変える

針が何らかの刺激になって痛みが出ていることが考えられるので、針を刺す位置を変えることや、針の材質(金属・プラスチック)を変えます。

     

温罨法(おんあんぽう)

血圧の低下によって痛みや冷たさを感じることがあるため、ホットパックの要領で40度前後に温めたタオルで血管を温めます。血圧を定期的にチェックし、血圧が下がり過ぎないように調整することも行われます。

     

シャントをしている上肢の位置

シャントをしている上肢の保持角度を上肢の良肢位とされる、肩関節外転30度、肩関節内旋60度、肘関節屈曲75度、手関節掌屈10度では痛みが軽減するとの報告があります。

また、1時間ごとに20度以内の位置変換を行うグループと、透析時間中ずっと同じ肢位を保つグループとを比較すると、1時間ごとに上肢の位置を変えたグループで痛みが軽減したとの報告もあります。6)

     

芳香性炭酸ガス浴

末梢の血流が低下することによって痛みが出ていると考えられるため、透析開始30分前に、市販の炭酸ガス入りの固形入浴剤を38~40度のお湯1Lに溶かした容器に、シャントをしている上肢の手首から先を20分間つけると痛みが軽減したとの報告があります。

手の血流が改善されることと、芳香性の入浴剤の香りによるリラックス効果が得られたことが関与していると考えられています。

     

まとめ

透析治療では太い針を刺す痛みや透析中の血管痛などの痛みを感じることがあります。穿刺痛に対しては、針を刺す前に麻酔薬の湿布を行うことや保冷剤での冷却で痛みを緩和させる方法が行われています。

透析中に起こる血管痛に対しては、温めることや炭酸ガス浴、上肢の位置を変えるなど、痛みを軽減させるための色々な方法が考えられ、実施されています。

ただし痛みを我慢していると最悪の場合瘤ができて破裂の危険が生じたり、末梢の血流が途絶えて壊死したりとすることもあるので、痛みを感じた場合には我慢せずに医療者に伝えるようにしましょう。

     

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