サラリーマンの出張透析で確認・準備しておきたいこと
サラリーマンとして常勤で働きながら透析治療を継続している方は意外に多くいらっしゃいますが、仕事の一環で出張が必要な場合もあるでしょう。そこでこの記事では透析患者が出張先で安心して安全に透析を受けるために確認しておきたい4つのこと、準備しておきたい4つのことを紹介します。
透析治療中のサラリーマンは意外に多い
「2016年度血液透析患者実態調査報告書」によると、透析治療中の常勤職(経営者・役員含む)の割合を男女別、年齢層別でみると、59歳までの男性では38.8%~42.2%と全体の約4割を占めます。(表1参照)
血液透析治療では、透析施設で週3日、1回4~6時間の透析治療を行わなければならないことを考えると、透析患者の常勤職は意外に多いといえるのではないでしょうか。
常勤職の男性 | 常勤職の女性 | |
---|---|---|
40歳未満 | 39.3% | 13.6% |
40~49歳 | 42.2% | 9.2% |
50~59歳 | 38.8% | 10.7% |
60~69歳 | 15.0% | 2.5% |
70~79歳 | 7.2% | 1.7% |
80歳以上 | 4.2% | 0.3% |
表1 透析患者における男女別・年齢層別の常勤職の割合
出典:全国腎臓病協議会、日本透析医会、統計研究会の共同調査図 2016 年度血液透析患者実態調査報告書 Ⅱ-8 従業上の地位の性・年齢階級別分布
透析患者も出張できる?
いつもはかかりつけの透析施設で透析治療を受けている方でも、出張先の透析施設で透析治療を受けることは可能です。ただし、当日行って受けるわけにはいきません。出張前の事前準備や確認が必要です。出張先で透析治療を受けるにあたって必要な確認事項や準備事項を把握しておきましょう。
出張透析で確認したい4つのこと
出張透析を行うには、出張先の透析施設で受けられる透析や必要な書類、施設設備など、事前にしっかりと確認しておきたい点があります。
出張透析時の確認1.出張時の透析スケジュール
事前に出張スケジュールに合わせて透析を受ける日程と時間帯を決め、出張先の透析施設で希望の日程、時間帯で臨時透析を受けられるかを確認しましょう。
出張透析時の確認2.透析施設の設備について
透析施設によって設備環境は異なります。施設の設備を確認し、必要なものを把握しましょう。
食事の注文や準備が必要か、寝衣は透析施設で決まったものがあるか、寝衣を持参する場合はどのような服装がよいか、タオルやスリッパの貸し出しがあるか、Wi-Fi設備やテレビ、イヤホンなどのベッド周囲の設備品、普段持ち込んでいるものがある場合は持ち込み可能かなどを確認しましょう。
出張透析時の確認3.必要な書類について
出張先の透析施設で安全に透析を受けるためには、現在受けている透析情報の提出が必要です。
出張先の透析施設に紹介状以外に送付する書類(透析条件、看護サマリー、検査データ、透析記録など)はあるか、いつまでに送ればよいかを確認しましょう。
出張透析時の確認4. キャンセルや当日の移動について
出張の予定が変更になる場合も想定して、キャンセルの規約はあるか、キャンセル料や何日前までに連絡が必要かを確認しておきましょう。
透析時間の何分前に入る必要があるかも確認し、出張先での移動が大変だと思われるときは送迎サービスがあるか、荷物を持ったまま移動する予定のときは荷物を預けられるかも確認しておきましょう。
全腎協 腎臓病について 旅行について
望星第一クリニック 臨時透析(旅行透析・出張透析)
医療法人社団時正会エバラクリニック 臨時透析(旅行透析・出張透析)
出張透析で準備したい4つのこと
出張透析を受けたいときは、出張直前の準備では間に合いません。事前に準備しなければならない点を確認し、早めに動きましょう。
出張透析時の準備1.主治医に相談
まずは、現在通院している透析施設の主治医に宿泊を伴う出張が可能かを相談します。主治医からの出張許可が下りれば、紹介状の作成を依頼しましょう。紹介状は作成に時間がかかる場合が多いので出張の予定が決まったら早めの依頼をおすすめします。
出張透析時の準備2.出張先の透析施設に連絡
出張先の近くで臨時透析可能な透析施設を探して、出張日の二週間前までには連絡しましょう。連絡時には出張透析時の確認1~4を確認しましょう。
出張透析時の準備3.持ち物の準備
出張透析時の確認2で確認した持ち物を準備しましょう。自己負担額をおさえるために健康保険証と特定疾病療養受療証の準備も必要です。透析施設によっては身体障害者手帳が必要な場合もあるので確認しておくとよいでしょう。
出張透析時の準備4.体調を整える
出張は遠方への移動や慣れない環境で体へかかる負担も大きくなります。出張前から体調を整えて、出張先でも睡眠を十分にとり、食事内容や量に注意してよい状態をキープしましょう。
まとめ
血液透析を受けている透析患者は、週3日、1回4~6時間の透析治療が必要です。サラリーマンの透析患者は出張となれば出張先で透析治療を受けなければなりません。
出張先の透析施設で透析治療を受ける際には主治医へ紹介状の作成を依頼し、出張透析を受けられる透析施設を出張の二週間前までには探しておきます。体調を整え、透析施設の設備や持ち物などを確認して余裕を持って準備しましょう。
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