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2019年09月27日

透析に必要な入院って?種類と目的を徹底解説

透析は必要になったらすぐに開始できるわけではありません。透析を受けるためには手術を受け、入院することが必要です。透析の導入入院の種類や目的、入院期間や費用、退院後の注意点などについてみていきましょう。

     

透析の準備のために必要な導入入院

導入入院とは、透析治療を行うのに必要な準備を整えるための入院です。

     

血液透析の導入入院

血液透析では、身体から短時間に多量の血液をとり出して戻すための出入り口(バスキュラ・アクセス)を作成する必要があります。

透析治療を行うと、身体の水分量や電解質バランスが急激に変化するため、身体に大きな負担がかかり、不均衡症候群(脳と身体の間での老廃物の濃度の差により、透析終了後12時間以内に腹痛・吐き気・嘔吐などがみられること)を起こしやすくなります。

透析治療を開始するに際し、徐々に身体を慣らしていくことや、薬の調整、食事指導などを行います。

     

腹膜透析の導入入院

腹膜透析では、腹膜透析を行うためにカテーテルを腹腔内に挿入する必要があります。腹膜透析は自宅で行うため、透析手順の練習や緊急時の対応、薬の調整、食事指導などが行われます。

透析の導入入院

透析導入入院の種類

透析導入入院には、血液透析のバスキュラ・アクセス作成入院と腹膜透析カテーテル挿入入院とがあります。

バスキュラ・アクセス作成入院(手術や入院内容・期間・費用)

バスキュラ・アクセスとは

バスキュラ・アクセスとは血液透析を行う際に身体から血液をとり出し、再び戻すための出入り口です。バスキュラ・アクセスは、腕の動脈と静脈をつないで血管を太くし、静脈に動脈血を流す内シャントが多く用いられています。

内シャント作成の手術

内シャント作成の手術は、局所麻酔で行われます。親指の付け根付近の皮膚を切開し、動脈と静脈とを他の組織から引きはがしてつなぎ合わせます。

動脈血が静脈に流れることを確認して皮膚を閉じます。手術時間は1時間程度です。手術後、シャントを透析で使用できるようになるには2週間程度必要とされています。

内シャントがつくれない場合には、人工血管を使用する人工血管内シャント作成(グラフト移植)や動脈を皮膚の表面の方に持ち上げて穿刺しやすくする動脈表在化、カテーテルを身体に埋め込むカテーテル留置などを行う場合もあります。

入院内容

  • ・バスキュラ・アクセスを作成していない場合は手術で設置します
  • ・血液透析による不均衡症候群を予防するために、短時間の透析治療を行って身体を徐々に慣らします
  • ・透析治療を開始するにあたって、服薬する薬の調整が行われます
  • ・透析食の食事内容・シャント管理・体重管理の指導が行われます

入院期間

バスキュラ・アクセスが作成済みの場合には、1~2週間程度の入院となります。急遽、血液透析が必要となった場合には、バスキュラ・アクセスを作成して血液透析を開始できるまでの約2週間がさらに必要となります。

費用

透析導入のための慣らしや薬の調整、指導のみの場合には約20万程度であり、高額療養費制度(特定疾病療養受領証の交付を受ける)を利用すると、所得に応じて月の自己負担額の上限は1~2万円となります。

参考文献1:東京女子医科大学病院腎臓病総合医療センター 腎臓内科 透析導入入院

参考文献2:順天堂大学医学部付属順天堂医院 腎・高血圧内科 血液透析(HD)

腹膜透析カテーテル挿入入院(手術や入院内容・期間・費用)

腹膜透析カテーテルとは

腹膜透析カテーテルは、腹腔内に透析液の注入や老廃物の混じった透析液を身体の外に排出するための出入り口となるカテーテルです。

腹膜透析用カテーテルの挿入手術(腹腔内留置術)

従来法と段階的腹膜透析導入法(SMAP法)があります。透析導入までの期間に余裕がある場合には、感染症のリスクが低い段階的腹膜透析導入法(SMAP法)で行われることが多くなっています。

従来法

全身麻酔、または硬膜外麻酔にて腹腔内にカテーテルを留置し、手術当日から透析を開始します。はじめは少ない量から行い、徐々に透析液を増やしていきます。

段階的腹膜透析導入法(SMAP法)

1回目の手術は全身麻酔、または硬膜下麻酔で行います。腹腔内にカテーテルを留置してカテーテルの先端を皮下に埋め込んでおきます。2回目の手術では、局所麻酔でお腹の皮膚を切開し、皮下に埋め込んであるカテーテルをとり出し、出入り口をつくります。

2回目の手術までにカテーテル挿入時の傷は治っているので、カテーテルを外にとり出した後は十分な量の透析液を注入して透析を行うことができます。

入院内容

  • ・腹膜透析用カテーテルの挿入手術を行います
  • ・腹膜透析におけるカテーテル消毒やバッグ交換の方法の指導を受け、練習を行います
  • ・服薬する薬の調整や透析食の指導が行われます

入院期間

腹膜透析用カテーテルの挿入されている場合の入院期間は1週間程度です。カテーテルの留置がまだの場合は、プラス1週間程度です。夜間に自動的に透析液の交換を行う自動腹膜透析(APD)を利用する場合には、さらに1週間程度入院して練習を行います。

費用

腹膜透析用カテーテルの挿入手術と腹膜透析の導入までの3~4週間の入院で35~40万円程度となります。カテーテルの挿入手術自体は10万円程度です。

高額療養費制度を利用し、「特定疾病療養受領証」を申請すると、所得に応じて月額の自己負担金の上限が1~2万円となります。

退院後の注意点

退院後は外来に通院して血液透析および、腹膜透析管理を継続します。シャントやカテーテルの管理、制限を守った食事、体重管理、服薬管理、適切な運動と十分な睡眠、排便習慣をつけることに気をつけて、シャント・カテーテルのトラブルや合併症を予防し、十分な透析治療を継続することが大切です。

透析と入院

まとめ

血液透析では血液の出入り口となるバスキュラ・アクセスの作成、腹膜透析では透析液の出入り口となるカテーテルの挿入が必要です。

それぞれ手術自体は1時間程度で終わりますが、段階的な透析治療やシャント・カテーテルの管理、食事管理、体重管理、服薬管理についての指導を受け、練習を行う必要があります。導入入院後の通院治療や自宅での透析治療を安心・安全に継続できるようにしっかりと準備を整えましょう。


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