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2020年04月10日

爪のケアも大切!透析患者さんのフットケア基礎知識

透析患者さんの高齢化や糖尿病の合併による動脈硬化の進行から、下肢閉塞性動脈硬化症や足病変、爪の病気を抱えている方は少なくありません。足や爪のトラブルは歩行障害をきたし、生活機能の低下につながります。

また、足にできた小さな傷を放っておくと足を切断する状態まで悪化することもあります。足や爪のトラブルを早期に発見し、適切な治療を開始するためにケアを行うことは大切です。透析患者さんのフットケア、爪のケアについて確認していきましょう。

 

透析患者さんが爪のケアが大切な理由

透析患者さんは、腎臓病や合併している糖尿病の影響によって、動脈硬化で血液循環が悪くなり、足の病気や足病変(足の障害)が起こりやすい状態です。

 

透析患者さんで診られる足の病気、足病変

  • ・下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)
  • ・タコ、魚の目
  • ・乾燥、踵のひび割れ
  • ・皮膚潰瘍
  • ・足の浮腫
  • ・足の循環障害(冷え、色の変化
  • ・水疱
  • ・低温やけど

足の病気や足の病変があると爪のケアが大事な理由

透析患者さんは循環が悪くなっており、免疫が低下している方も多く、足の病気や病変になりやすいのと同時に足の病気や病変は治りにくいという特徴があります。

また、糖尿病の持病を持っていると感覚が鈍くなるので、足の異常に気づきにくくなります。たとえ小さな傷であっても、足の異常に気付かずに放っておくと、潰瘍や壊疽となって最悪の場合には足を切断しなければならないこともあります。

足や足の爪には体重を支える役割があり、足や足の爪に異常があると歩行などの下肢機能の低下をきたして転倒のリスクが高くなります。

巻き爪や肥厚爪、白癬爪などの爪のトラブルを透析患者さんは抱えやすく、爪のケアを継続的に行っていくことは爪や足のトラブルを防ぐためや、異常に早く気づくために必要です。

参考文献:足の皮膚・爪所見からみる下肢機能

透析と足の爪の病変の関係

透析患者さんに多い爪の病気

透析患者さんでは次のような爪の病気がよくみられます。

  • ・白癬
  • ・爪白癬
  • ・肥厚爪
  • ・爪甲鉤彎症(そうこうこうわんしょう)
  • ・巻き爪
  • ・陥入爪(皮膚に爪が食い込んでいる)、深爪

透析患者さんに多い爪の病気

透析患者さんの爪のケアのポイント

透析患者さんの爪のケアのポイントは、「足や爪のトラブルの早期発見」、「爪を清潔に保つ」、「循環の悪化を防ぐための保湿」の3つです。爪や足の観察、足浴、汚れや角質の除去、爪切り、やすりがけ、保湿の順に行っていきます。

 

爪や足の状態の観察

爪や足に変化がないかをチェックしましょう。

  • ・爪の色に変化がないか
  • ・爪の形の変化
  • ・爪が伸びすぎてないか、切りすぎではないか
  • ・爪の割れ、はがれがないか
  • ・爪の肥厚がないか
  • ・巻き爪になってないか
  • ・足の状態のチェック(冷えやほてり、色、感覚、傷、水泡、むくみ、ひび割れ、低温やけど、痛み、かゆみなど)
 

足浴

足を清潔にするために足浴を行います。足浴では足首までお湯につけ、石けんをよく泡立てて足の指の間や足の裏、踵まで洗います。爪と皮膚の境目は爪ブラシで洗うと良いでしょう。石けんで洗い流し、清潔なタオルで指の間までしっかりと水をふき取ります。

 

汚れや角質の除去

爪の切る部分と残しておく部分を見分けるためにも、専用の器具や綿棒などを使って皮膚と爪の間の汚れや角質を取り除きます。

 

爪切り

爪の状態に合わせて適切な状態になるように爪を切ります。

 

やすりがけ

やすりをかけて爪を整えます。

 

保湿

保湿のためにクリームや軟膏を塗ります。

 

足の爪のケア

爪の切り方のポイント

爪を切る際は次のポイントを押さえましょう。

  • ・一度に切ろうとせずに、何回かに分けて切る
  • ・まっすぐに切る(四角く切る)
  • ・深爪しないように、爪の白い部分を1mm程度残す
  • ・足の指の丸みに合わせて、角は引っかからない程度に少しだけ切る
  • ・爪の角はやすりで整える
  • ・分厚くて硬い爪はやすりをかけて薄くしてから爪を切る
 

まとめ

透析患者さんは循環が悪くなっているので、足の病変や爪のトラブルが起こりやすく、治りにくい状態にあります。

糖尿病で感覚が鈍くなっていると、足や爪のトラブルの発見が遅れて悪化することや、歩行機能の低下をきたし、転倒リスクも高くなります。足や爪のケアで足や爪の異常を早期発見し、今以上に悪くならないように防ぐことが大切です。

爪の異常がみられるときは、爪きりで切るよりもやすりを使用した方が良いケースもあります。かかりつけの病院で爪切りの仕方についても確認しましょう。


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