透析中はむくみやすい?原因と対処法を知ろう
透析患者さんは、尿量が少なくなり体の中に水分が溜まってしまうことでむくみやすくなっています。
日頃から水分摂取の量を制限していても、透析後にむくんでしまうのはなぜでしょうか?
今回は、透析中のむくみの原因と対処法を解説します。
透析患者さんがむくみやすいのは?
腎機能が低下した透析患者さんは週に3回透析治療を受け、老廃物と一緒に水分も取り除き適正な水分量の体重に保っています。この時の体重を「ドライウェイト」と呼び、適正な体重を設定することは透析患者さんにとってとても大事なことです。
健康な人の場合、毎日トイレに行き余分な水分を体外に排出しますが、腎機能が低下すると老廃物と水分が体内に溜まり、瞼や手足がむくんでしまい、透析治療で除水しなければ体の中に余分な水分が溜まったままになってしまいます。
透析患者さんは水分や塩分の摂取量に制限がありますが、それは水分や塩分を取りすぎてしまった場合も体がむくんでしまうためでもあります。
そもそもむくむ原因とは?
健康な人でも長時間立ちっぱなしであったり筋力不足、水分や塩分の取りすぎなどで体のむくみが起こることがあります。透析患者さんの場合はこれらに加え、水分や塩分の取りすぎや低タンパク血症などでもむくみを起こしてしまいます。
むくみとはどんな状態?
むくみは、細胞と細胞の間の水が異常に増加してしまった状態をいいます。人間は体の約60%が水分でできていて、細胞内と細胞外のどちらにも存在します。
主に毛細血管の血圧の上昇、血管の中の蛋白質の濃度の低下などが原因となって体にむくみが起こります。
透析患者さんのむくみの原因
透析患者さんの場合、腎機能低下により体の中に水分が溜まっていること・血液中のタンパク質が足りなくなることで水分が血管の外に漏れやすくなってしまう低タンパク血症・心臓や肝臓などの機能が低下していることがむくみの原因となります。
また、透析中にしっかりと除水できておらず余分な水分が体の中に残ったままになっている場合にも、透析後にからだにむくみを感じることがあります。
除水がしっかりできない状態は、高血圧や心臓に負担をかける原因となるため注意が必要です。
透析のむくみへの対処法
透析後にお顔や手足のむくみが取れていても、食事や水分摂取などによえい透析前はどうしてもむくみやすくなります。
むくみがひどくならないようにする・むくみを予防するためには以下のようなことを心がけましょう。
水分と塩分を取りすぎない
透析患者さんにとって水分・塩分の取りすぎはむくみの原因となるだけでなく、心臓や肺に大きな負担をかけることにつながります。
水分・塩分量の摂取量を守り、摂取範囲を超えないように注意しましょう。
ドライウェイトの最適化
透析後も体のむくみが改善されない場合は、除水量が十分でない可能性があります。
通常であれば月に一度適切なドライウェイトを見直し、透析患者さんの体に負担をかけないように設定されています。しかし、むくみやだるさなといった症状が続く場合は、医療スタッフに相談し必要に応じてドライウェイトを見直してもらいましょう。
低タンパク血症の改善
低タンパク血症は、むくみだけでなく貧血や食欲不振、慢性的な下痢、心機能の低下、感染症にかかりやすくなるといった症状・状態を引き起こします。
低タンパク血症はネフローゼ症候群と深い関わりがあり、透析導入時によくみられる症状です。
透析導入時にむくみなどの症状が出る場合は、除水量を調節して徐々に体を慣らしていきます。
適度な運動
透析患者さんは、週3回の透析での時間制約があることや透析導入となる年齢が比較的高いことから運動不足になる方が多く、体力・筋力が低下しやすいです。
透析患者さんの運動量アップが推奨されており、近年では「腎リハビリテ―ション」が注目されています。
透析中に自転車のようなペダルをこぎを行ったり筋力を高めることで、心機能の呼応場などさまざまな効果が期待されています。
腎リハビリテ―ションを行っているクリニックをみつけてみるのも運動量アップの一つの方法です。
また、こまめにウォーキングを行う・数駅ほどの距離は歩くといったささいな気付きも運動量アップにつながります。
まとめ
透析患者さんでむくみの症状に悩む方は多く、特に透析導入時はむくみだけでなく頭痛やめまいの症状を訴える方が少なくありません。
むくみや頭痛の改善には、水分と塩分を取りすぎないことやドライウェイトを適正に設定することが有効です。
ささいな体の変化やむくみの有無についても担当医にしっかり相談するようにしましょう。
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