透析患者はモンスターペイシェントになりやすい?幸せな透析生活を送るために
メディアでも取り上げられる機会が多くなってきたモンスターペイシェント。透析患者の事例も目にします。透析患者はモンスターペイシェントになりやすいのでしょうか。モンスターペイシェントが指す患者像について説明し、透析患者とモンスターペイシェントの関係性を考察しています。幸せな透析生活を送るために、一度は考えておくべきテーマです。
モンスターペイシェントとは
昨今、医療機関のホームページや医療機関内において「患者様へのお願い」というメッセージを目にする機会が多くなってきました。そのお願いとは、「患者様や患者様ご家族からの暴力・暴言・迷惑行為が発生した場合は、診療の中止や退院の通告、警察へ連絡することもあります」という内容です。
モンスターペイシェントとは「医療機関側が誠意を込めて対応・診療しているにも関わらず、暴力や暴言、迷惑行為などの不適切な言動や攻撃的な態度を繰り返す患者・患者家族」を指した言葉です。不適切な言動や攻撃的な態度の中には、暴力などはみられなくても、医療スタッフへの理不尽な要求の強要や脅迫なども含まれます。
このような一部の患者や患者家族への応対がストレスとなり、医療スタッフの健康が損なわれたり、診療自体が妨げられて医療機関が損失を被ったりなどする事例が増えています。
透析患者はモンスターになりやすい?
透析患者さんは、透析治療という生命を存続させるための重要な治療を一般的には週3回、1回の治療につき4~5時間、透析施設にて行っているため、必然的に医療機関との関わりは密接となります。
また、合併症を抱えている透析患者さんも多く、病気の影響や透析治療によって体調の変化も起こりやすい状態です。透析治療や透析生活における毎回の穿刺の苦痛、時間・食事の制約など、苦痛やストレスを抱えやすい環境でもあります。
そのような状況下にいる透析患者さんにとって、医療スタッフに対する身体の不調や痛みの訴え、よりよく過ごすための要望などの頻度が高くなるのは必然的です。その中で不安な気持ちや要望を適切でない方法で言動に移した場合は、モンスターペイシェントと捉えられるケースも出てくるでしょう。
幸せな透析生活を送るために
患者や患者家族からすると、自分の思いや希望を伝えているというだけに過ぎないのかもしれませんが、その態度や言葉、行為が医療機関側に恐怖を感じさせるものであったり、他の患者さんに迷惑が及ぶ行為であったり、医療機関の診療自体を妨げる行為であると捉えられた場合には、モンスターペイシェントと認識される場合があります。
だからといって、思っていることや伝えたいことを声に出すとモンスターペイシェントと思われるのではないだろうかと、口を閉ざす必要はありません。
診療内容で疑問に感じたことやわからないこと、透析治療における痛みや体調不良、要望、スタッフの対応について気になることなどは声に出して伝えましょう。
まとめ
必要なことを伝えるのは何も悪いことではありません。ただし、思いのままに怒りをぶつける、暴力や威圧的な態度をふりかざして相手を脅迫・強要するような行為はあってはなりません。医療スタッフもまた、患者さんには真摯に誠意を持って向き合うことが大切です。患者と医療機関がお互いに信頼関係を構築して、快適で幸せな透析生活を送りましょう。
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