お肉を食べるときは?目安量とポイントを知ろう
外食や自宅で焼き肉を楽しみたいと思うこともあるでしょう。
透析患者さんがお肉を食べるときに気を付けたいことや目安量について詳しくみていきましょう。
透析患者さんはお肉を食べても大丈夫?
お肉のようなたんぱく質にはリンが多く含まれているため、お肉を食べるのは良くないイメージをお持ちの方もいらっしゃると思います。
しかし、透析患者さんは全くお肉を食べてはいけないということはありません。量やお肉の種類、調理や味付けを工夫して楽しむことができます。
透析患者さんはたんぱく質、カリウム、リン、塩分の制限が必要です。透析患者さんがお肉を食べるときには、次の理由によって注意が必要となります。
- ・お肉はたんぱく質であること
- ・お肉の種類や部位によってカリウム、リンが多く含まれていること
- ・焼き肉のたれなどの味付けに塩分が多く含まれていること
透析患者さんのお肉の一日目安量
例えば血液透析を週3回受けている透析患者さんの場合、一日の食事摂取基準は以下のとおりです。
※性別や年齢、身体活動度、合併症によって値は異なります
- ・タンパク質:体重1kg当たり0.9~1.2g(体重60kgの方で54~72g)
- ・塩分:6g未満
- ・カリウム:2,000mm以下
- ・リン: たんぱく質(g)×15mg以下(体重60kgの方で810~1080mg)
たんぱく質やリンなどの栄養素は1日に食べる合計量で計算する必要があるため、1食分のタンパク質、カリウム、リンの量を食事摂取基準の3分の1として考えると、1食で食べるお肉の量は60g程度に抑えたいところです。
副菜やほかの2食で調整すると、もう少しお肉の量を増やせる場合もあります。
100g当たり | たんぱく質 | カリウム | リン |
---|---|---|---|
和牛肉 ばら(脂身付き) | 11.0g | 160mg | 87mg |
和牛肉 リブロース(脂身付き) | 9.7g | 150mg | 84mg |
和牛肉 もも(脂身付き) | 19.2g | 320mg | 160mg |
豚肉 ロース(脂身付き) | 19.3g | 310mg | 180mg |
豚肉 かた(脂身付き) | 18.5g | 320mg | 180mg |
豚肉 ばら(脂身付き) | 14.4g | 240mg | 130mg |
豚肉 もも(脂身付き) | 20.5g | 350mg | 200mg |
若鶏肉 むね(皮付き) | 21.3g | 340mg | 200mg |
若鶏肉 もも(皮付き)) | 16.6g | 290mg | 170mg |
参考文献:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
お肉を選ぶときのポイント
ポイントはたんぱく質、カリウム、リンが少ないお肉を選ぶようにすることです。
牛肉
バラやリブロース、サーロインなどがおすすめです。
脂身が多いお肉は低タンパク高エネルギーでリンも少ないです。同じお肉でも輸入牛肉と和牛肉を比べると和牛肉は脂身が多く、たんぱく質、リンも少ないのでおすすめです。
また、輸入牛肉は赤身にリンを添加している場合もあるので、なるべく国産牛を選びましょう。
焼肉であれば、「カルビ(牛バラ)30g、サーロイン30g、シマチョウ20g」でたんぱく質8.67g、カリウム126mg、リン71.5mgにおさまります。
焼肉のたれは大さじ1杯(約17g)で塩分が1.4g含まれるため、味付けはレモン汁やこしょうなどで酸味やアクセントをきかせるのがおすすめです。付け合わせの野菜はたまねぎ、なす、ピーマンなどのカリウムが少ない野菜を選び、ごはんをたべてエネルギーも確保しましょう。
豚肉
バラ肉を用いた生姜焼きや、野菜のカリウムを抑えられる茹で料理、煮込み料理などがおすすめです。
鶏肉
むね肉よりも、もも肉を選びましょう。身よりも皮や軟骨がたんぱく質、カリウム、リンの量が少なく、使いやすいでしょう。レバーはリンが高いため、量は控えめにしましょう。
お肉を食べるときの注意点
お肉を食べるときには次のことに注意しましょう。
- ・味付けで塩分を摂り過ぎない
- ・付け合わせの野菜でカリウムを摂り過ぎない
- ・お肉の食べ過ぎに注意する
お肉料理は、焼肉、焼き鳥、牛丼、すきやき、しゃぶしゃぶ、ステーキ、唐揚げ、とんかつなど、味付けやたれ、ソースに塩分が多く含まれているものが多いです。レモン汁や酢で酸味をきかせる、にんにくやこしょうなどでアクセントをつけるなどして、塩分の摂り過ぎに注意しましょう。
お肉料理にはつけ合わせで生野菜が使われることが多いですが、生野菜にはカリウムが多く含まれます。茹で野菜に変えるなど、カリウムを減らす工夫をしましょう。
また、食べ過ぎてしまわないように、あらかじめ食べるお肉の量は決めておきましょう。食べ過ぎてしまった場合には次の食事で調整するようにしましょう。
まとめ
お肉を食べるときにはタンパク質とリンの少ないバラ肉やホルモン、鶏皮や軟骨を選ぶことがおすすめです。
味付けで塩分を摂り過ぎないように調味料は控えめにし、レモン汁や香辛などをうまく活用しましょう。
※コラムに関する個別のご質問には応じておりません。また、当院以外の施設の紹介もできかねます。恐れ入りますが、ご了承ください。
※当ブログの記載内容によって被った損害・損失については一切の責任を負いかねます。ご了承ください。