透析の痛みを和らげるリドカインテープとは
透析治療時には、穿刺時の痛みが伴うので、透析患者にとっては透析治療が苦痛となることもあります。穿刺時の痛みを和らげるリドカインテープの効果、使い方や実際に使用する際の注意点について知っておきましょう。
リドカインテープとは
リドカインは局所麻酔剤です。即効性のある局所麻酔剤で、痛みを感じる神経の活動を抑えることで、脳に痛みの情報が伝わらずに、痛みを軽減することができます。リドカインの局所麻酔剤には、用途によって塗るタイプ、ゼリータイプ、液体タイプ、スプレータイプなどさまざまなタイプがありますが、リドカインテープはシール状の貼るタイプです。
リドカインテープは次の目的で使用されます。
- 薬剤や血液製剤などを静脈内に投与するために針を刺す際(静脈留置針穿刺時)の痛みの緩和
- 伝染性軟属腫(いぼ)の切除時の痛みの緩和
- 皮膚レーザー照射療法時の痛みの緩和
透析でリドカインテープを使う理由
透析治療時には毎回シャントへの穿刺が必要です。透析治療に使用される針は通常の注射針よりも太く、脱血用と返血用の2か所に針を刺す必要があります。痛みの感じ方は個人差がありますが、週3日の透析治療時に、毎回針を刺す痛みの苦痛が辛い方には痛みの緩和を目的にリドカインテープを使用することがあります。
リドカインテープは穿刺部の皮膚に直接貼って使用しますが、穿刺時の痛みの緩和の方法として、リドカインテープ以外にも塗るタイプやスプレータイプの局所麻酔薬や、痛み止めの内服薬が用いられることもあります。
透析でリドカインテープを使う際の注意点
透析でリドカインテープを使う際には次の点に注意が必要です。
シャントへ穿刺する30分前にはリドカインテープを貼っておく
穿刺予定部に約30分間の貼り付けが必要とされていますので、穿刺の30分前にはリドカインテープを貼る必要があります。
リドカインテープをはがして穿刺をする前には消毒をする
リドカインテープを貼った皮膚に細菌やウイルスなどの病原体が存在すると、穿刺時に注射針を介して体内に侵入し感染症のリスクがあるので、穿刺前には消毒を行います。
リドカインテープを貼る部位は変える
リドカインテープを同じ部位に何度も貼ると、皮膚が荒れたり、かぶれたりする可能性があります。そのため、毎回異なる場所に貼るようにします。
使用中に異常があればすみやかに医師・医療スタッフに報告する
リドカインテープ使用中の呼吸困難や血圧低下、意識障害などのショック・アナフィラキシー症状はただちにリドカインテープの使用を中止した上での適切な処置が必要です。かぶれや湿疹、かゆみ、発疹、蕁麻疹などの症状が現れた場合にもすぐに医師・医療スタッフに伝えてください。
服用・使用中の薬は医師に伝える
不整脈治療に用いるクラスIII抗不整脈剤アミオダロンなどの薬剤とリドカインテープを一緒に使うと、心臓の電気的異常を改善する効果が増強されて心機能の低下や低血圧などを起こすリスクがあります。
まとめ
リドカインテープは貼るタイプの局所麻酔剤です。透析治療において欠かせないシャントへの穿刺ですが、毎回の透析治療時に痛みが伴うと、透析治療自体がストレスになることもあります。リドカインテープは穿刺前に皮膚に30分以上貼り付けることで、穿刺時の痛みや不快感を和らげることができます。透析施設によっては貼るタイプ以外の塗るタイプやスプレータイプなどを使用している場合もあります。穿刺時の痛みが苦痛に感じる場合は主治医に相談してみるとよいでしょう。
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