1位はやっぱり…腎臓病を発見したきっかけトップ3
腎臓病は、発見が遅れると腎機能が低下し、重篤な合併症を引き起こす可能性があります。この記事では、腎臓病がどのように発見されることが多いのか、また発見後の治療状況について詳しく説明しています。透析を導入するまでの期間を長くするための方法についてもお伝えしていますので、腎臓病や透析が気になる方の参考になれば幸いです。
腎臓病を発見したきっかけトップ3
腎臓病を発見したきっかけトップ3を血液透析患者実態調査報告書(2021年度)の内容からお伝えいたします。
トップは「別の病気の治療中(41.9%)」、2位は「自覚症状があり病院へ(26.2%)」、3位は「健康診断で(21.8%)」となっています。
約2割は健康診断で発見されており、かなり悪化してから腎臓病が見つかる人の割合は少ないと示唆されています。
1位 別の病気の治療中
腎臓病は、ほかの病気と合併しやすい病気です。糖尿病関連腎臓病、全身性エリテマトーデス、リウマチなどの慢性炎症、ANCA関連血管炎、IgA血管炎、痛風などがあります。
2位 自覚症状があり病院へ
むくみ、尿量の減少、多尿、夜間頻尿、頻尿、倦怠感、貧血(めまい・息切れ・立ちくらみ)、皮膚の乾燥、かゆみなどが出ます。
3位 健康診断
腎臓の機能が調べられる検査には次の検査があります。
・尿検査
たんぱく尿や血尿の有無を調べます。たんぱく質や血液が尿に混じっていたら、再検査や精密検査が行われます。早期発見できる検査です。市販の尿検査薬を用いて、家庭で調べることもできます。異常な尿が続くようなら医療機関を受診しましょう。
・血液検査
健康診断でも行われます。腎臓の機能進行の程度を調べられる検査です。血中尿素窒素(BUN):血液中に含まれる窒素の量です。腎機能が低下すると値が高くなります。
血清クレアチニン(Cr):筋肉に含まれるたんぱく質の老廃物です。腎機能の低下とともに高値になります。血清クレアチニン値と年齢・性別から算出できる推算糸球体濾過量(eGFR)が腎臓機能の指標になります。
・公益社団法人 日本透析医学会 2021年度 血液透析患者実態調査報告書
・KYOWA KIRIN 慢性腎臓病 主な検査について
原因疾患の治療をしない人の割合
腎臓病の発見から必要な治療を受けなかった人の割合は8.2%でした。その内訳は、放置していた人が6.0%、治療を途中でやめた人が2.2%でした。一方、治療を続けていた人は78.5%で、透析を導入するまで治療を続けた人が最も多い割合でした。
78.5%の患者が治療を続けていることから、多くの人が腎臓病の治療の重要性を理解し、継続的なケアを受けていることがわかります。腎臓病は治療をせずに放置していると進行し、腎機能が低下すると透析などの腎代替療法が必要になります。
発見された時点で今以上に進行しないように治療を継続することが大切です。
原因疾患の発見から透析導入までの年数
腎臓病の発見から、透析開始まで5年未満の割合が47.9%でした。発見から約半数の人が5年を経過しないうちに透析治療の導入に至っています。
5年未満で透析導入になったうち約46.3%(全体の22.2%)の人は1年経たないうちに透析を開始しています。
腎臓病が発見されたときに腎機能の低下が進んでいれば、透析導入までの期間は短くなります。10年以上経過後に透析開始となった人の割合は24.6%いる一方で、5年未満、1年未満の割合をそれぞれみると、かなり進行してから発見された方も少なくはないといえるでしょう。
糖尿病性腎症
透析導入の原因疾患トップは糖尿病の合併症として起こる糖尿病性腎症です。糖尿病を治療せずに放置した場合、一般的には10~15年以上の経過で透析治療が必要になると言います。
糖尿病性腎症ではたんぱく尿が確認されてから腎機能が低下しますが、たんぱく尿が認められないまま腎機能が低下する糖尿病関連腎臓病もみられます。健康診断を受け、腎機能を定期的に調べることが重要です。
まとめ
腎臓病発見後は適切な治療の継続が重要です。治療を放置すると病状が進行し、透析治療が必要になるリスクが高まります。早期発見し、適切な治療につなげることで日常生活の質を維持できる可能性があります。定期的な健康診断と適切な対応によって、腎臓病の進行を予防しましょう。
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