腎臓のサインを見逃さない!役割と病気のサインを知ろう
腎臓は尿を作る臓器として知られていますが、その他に血圧のコントロールや水分や電解質の調整などさまざまな役割をしていることをご存知でしょうか。
今回は腎臓の役割と病気のサインをご紹介します。
腎臓はどんな臓器?
腎臓は、背中側の腰の少し上に背骨をはさみ左右1つずつ合計2つある「そら豆」のような形をした臓器です。大きさは握りこぶし程度で、重さは1つ150gほどになります。
腎臓の中には、それぞれ糸球体や尿細管などの血液をろ過して尿として排出するためのろ過装置が備わっています。
私たちは毎日、食べたり飲んだりして栄養補給をしていますが、多少暴飲暴食してしまっても体重がさほど変わらないのは、腎臓が働いているからなのです。
腎臓の主な働き
腎臓は大きく分けて6つの働きがあります。それぞれどのような働きをしているのでしょうか?
血液中の老廃物を尿として排出
腎臓の代表的な働きが、老廃物をろ過し尿として体外に排出することです。1つの腎臓には、ネフロンという組織が約100万個あり、糸球体や尿細管などを通過することで尿を作っています。
体内の水分量を調節する
腎臓では1日に約150リットルもの原液が作られています。しかし、150リットルの尿が排泄されるわけではなく、糸球体で作られた原尿が尿細管で再吸収されて、尿として体外に排泄されるのは1.5リットルほどです。
電解質・酸塩基の調整
腎臓はナトリウム、カルシウム、カリウム、リン、重炭酸イオンなどの電解質を濃度や量を調整し、体の中のイオンバランスを一定に保っています。
腎臓が電解質・酸塩基の調整をすることにより、体の中は弱アルカリ性に保たれています。
血圧を調節するホルモンの分泌
腎臓で血圧の流れが悪くなると、レニンという酵素が分泌されます。
このレニンが血液中のタンパク質と反応してアンジオテンシンというホルモンが作られ、血管が収縮して血圧を上昇させます。
赤血球を作るホルモンの分泌
腎臓は、エリスロポエチンというホルモンを分泌し、赤血球の数を調整して血液を作る働きをしています。エリスロポエチンの分泌量が減ると赤血球も減少するため貧血になってしまいます。
ビタミンDの活性化
ビタミンDは肝臓で蓄積され腎臓に移ると活性化され、小腸からのカルシウムの吸収を促進し、カルシウムやリンのバランスを整えます。腎機能が低下すると、骨が弱くなり骨粗しょう症や骨軟化症の原因になります。
腎臓からの4つのサイン
腎機能が低下したとき、腎臓から主に3つのサインが出ています。これらに思い当たる症状があれば、病院を受診し、専門の医師に相談をしましょう。
サイン1:尿の色
通常、尿の色は黄色がかった澄んだ色をしています。しかし腎臓に異常があると、蛋白尿や血尿が排出されます。
蛋白尿は、高熱などを除き、本来は尿中に漏れ出ることはありません。
蛋白質が尿中に含まれることで、尿が泡立ったりや尿の色が濁ってしまうことがあります。血尿は、尿の中に赤血球が混ざって排出された状態で、褐色の濃い色の尿です。
サイン2:体のむくみ
血糖値が高い人や、蛋白尿の症状がみられる人はむくみの症状が現れやすいです。
靴下のゴムの跡がなかなか消えない、指輪が入らない、太ったように感じる際は、腎機能が低下しているサインかもしれませんので注意が必要です。
サイン3:トイレが近くなった
加齢や冬場になるとトイレが近くなりますが、トイレの回数が1日に3~10回程度であれば正常といわれています。
しかし、1日に10回以上トイレに行く場合には頻尿のサインかもしれません。頻尿は腎機能が低下した時にもみられる症状なので、むくみなどの症状と併せて注意しましょう。
サイン4:腎臓と透析治療の関係
腎臓の機能が低下し、腎不全になると人工透析や腎移植を受ける必要があります。人工透析の原因は糖尿病で、血糖値の管理が欠かせません。
糖尿病が悪化すると、腎臓のろ過機能が低下し糖尿病性腎症を引き起こし、治療をしなければ腎不全になってしまいます。そのため普段から甘いものを食べ過ぎない、太り過ぎを予防して生活習慣を改善することなどが大切になります。
またご家族に糖尿病の方がいる場合も、検査を受けるなどして血糖値の管理をすることが大切です。
まとめ
腎臓は、尿を作る働きの他に血圧のコントロールや水分量・電解質の調整などさまざまな働きをしており、腎機能が低下することで体に老廃物や水分が蓄積してしまいます。
腎臓の病気をみつけるサインには、尿の色やむくみ、トイレの回数があります。糖尿病などの病気にならないためにもサインがあれば早めに検査を受けましょう。
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