マスクで特に要注意!透析患者さんが要注意の熱中症と対策
熱中症対策といえば、こまめな水分補給と塩分補給が大切であると言われますが、水分・塩分を制限しなければならない透析患者さんは、水分補給時の工夫が必要です。
また、今は夏でもマスクをつける機会が多いですが、マスクをつけると身体に負担がかかって熱中症をおこしやすいです。今回は夏のマスク対策も一緒にチェックしていきましょう。
透析患者さんが熱中症になりやすい理由
熱中症は温度・湿度の高い環境で血液中の水分や塩分が失われ、体温調節がうまくいかなくなってめまい、頭痛、倦怠感などの症状がみられます。
重症になると命にかかわる状態となることもあります。透析患者さんは次のような理由から、熱中症になりやすいため注意が必要です。
- ・普段から水分・塩分の制限をしているため
- ・透析患者さんは高齢の方が多く、高齢者は体内の水分量が少なく体温調節機能が低下していて暑さにも弱いため
- ・透析患者さんは汗をかきにくい方が多く、体温調節がうまくいきにくいため
- ・疲労や不眠などで体調不良を起こしやすいため
また、透析患者さんで降圧剤を服用している方は、熱中症になった際に症状が重くなりやすいので、特に注意が必要です。
参考文献:熱中症を防ぐためには
マスクは熱中症リスクを高める
感染症対策として夏でもマスクをつけますが、マスクは熱中症のリスクを高めるので注意が必要です。マスクをしていると次の理由から熱中症になりやすくなります。
- ・マスクをつけていると心拍数や呼吸数が増加して身体に負担がかかる
- ・マスク内の温度が上昇する
- ・マスクをしていると口の中が湿っている状態が保たれて喉の渇きに気づきにくい
透析患者さんがこの夏取り入れたい熱中症対策
透析患者さんは上記のような理由から熱中症になりやすいのに加えて、マスクをすることでさらに熱中症のリスクが高くなります。
熱中症は外にいるときだけではなく、家の中にいるときでもなります。透析患者さんがこの夏に取り入れたい熱中症対策について紹介していきます。
- ・冷房や扇風機、遮光遮熱機能付きのカーテンなどを用いて、部屋の温度は28℃、湿度は50~60%を目安に室内温度・湿度をこまめにチェックする
- ・風のある日は窓を開けて風通しを良くする
- ・水分・塩分の摂り過ぎに注意し、うがいをする・氷を一粒なめるなどして、口を湿らしてから水分補給を行う
- ・外出前には暑さ指数(WBGT)をチェックし、熱中症の危険性が高い日や時間帯には無理して外出をしない
- ・外出時には帽子をかぶる、日傘をさす、風通しの良い素材・デザインの服を着るなどして熱がこもりにくい格好をする
- ・体調の悪い日は外出せずに、自宅で休む
夏にマスクをするときの対策
- ・マスクの素材を夏用のものに変える
- ・屋外では日陰になるすずしい場所で過ごす
- ・屋外で他の人と2メートル以上の距離を保っている場合にはマスクを適宜外して熱を逃がす
- ・室内でマスクをつけているときも、人のいないところでマスクを外して休憩を入れるようにする
- ・マスクをしているときは激しい運動や活動は避ける
まとめ
透析患者さんは、熱中症になりやすいことに加えて、夏場のマスク着用によって、さらに熱中症になるリスクが高まっています。
マスクを着けると熱がこもってマスク内の温度が上昇し、心拍数や呼吸数の増加など、身体に負担もかかります。
マスクをしながらの身体に負荷がかかる運動や活動は控え、人と距離をとったうえでマスクを適宜外して休憩をとるようにしましょう。
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