透析で出る熱って？知っておきたい対処法と原因まとめ

透析で出る熱についてご存知でしょうか？発熱の原因としては感染症が多く、感染症は透析患者さんの死亡原因の第2位ともなっています。

今回は、透析患者さんが熱を出す原因と予防策について詳しくご紹介します。

透析で出る熱は、透析をした時に熱が出ます。ほかの時には熱は出ず、透析によって発熱し、翌日には熱が下がることがほとんどです。

透析によって起こる発熱は、頭痛や血圧の変動、吐き気、かゆみ、筋肉の突っ張り、腹痛といった症状を伴うことがよくあります。

透析で熱が出たときの原因は、次の5つが考えられます。

透析患者さんは栄養状態が不良となりやすいこと、細菌に対する抵抗力が弱いことから、感染症にかかりやすい状態です。

特に尿路感染症や皮膚感染症、肺炎、消化管感染症、シャントの感染症などは透析患者さんに起こりやすい感染症です。

ダイアライザ―との相性は人によって異なるため、同じ種類のダイアライザ―を使っても熱が出ない人もいれば発熱する人もいます。

透析直後にだけ熱が出る場合には、ダイアライザーが身体に合わないことで発熱いていることが考えられます。ダイアライザ―を変更することで、発熱を防ぐことができる可能性があります。

塩素で細菌が死滅してできるエンドトキシンという物質が透析液に混じっている場合に、発熱、血圧低下、悪寒などのショック症状を起こすことがあります。

エンドトキシンによるショックによる発熱を防ぐためには、エンドトキシンフィルターによる透析液の清浄化および、フィルターのメンテナンスが定期的に行うことが大切です。

透析で使用される鉄剤やエリスロポエチン、ビタミンDなどの薬剤のアレルギー反応によって発熱することがあります。

腎臓や肝臓の悪性腫瘍による発熱や、膠原病や血管炎が慢性腎不全の原因となっている場合、発熱することがあります。

参考文献1：超純水透析液を使用した質の高い透析治療

参考文献2：透析患者の生命を脅かす「三大疾患」について

透析治療に伴い発熱があった場合の原因についてご紹介しましたが、多くの場合感染によって発熱が起こると考えられます。

透析で出る熱の主な原因は、シャントや長期留置カテーテルからの感染や風邪や肺炎、結核、細菌感染、真菌感染、ウイルス感染などの感染です。

透析患者さんは体内に蓄積している尿毒素の作用、食事制限や透析によって栄養素が漏れ出てしまうことによる栄養状態の不良、貧血によって抵抗力が低下しているため、感染症にかかりやすくなっています。

透析患者さんでは感染しやすいことに加えて、小さな皮膚の傷から細菌感染して化膿したり、風邪が肺炎に発展したりと感染すると重症化しやすく、治るまでに時間もかかります。

透析による発熱を防ぐためには、感染予防を徹底することが重要です。

感染症は心不全に次いで、透析患者の死亡原因の2位となっています。（2017年12月31日現在）

透析患者さんは、心臓・血管疾患の予防と同じくらいに感染症にも十分注意する必要があります。感染しないためのポイントは以下の通りです。

• うがい、手洗いをしっかりと行う
• 皮膚や身体を清潔に保つ
• 皮膚の傷に注意する
• 透析をした日は入浴を避ける
• 食事制限内で栄養摂取を十分に行う
• 決められた食事や水分管理を守り、十分な透析を受ける

皮膚の傷の化膿や発熱などの感染症状がみられたらすぐに主治医に連絡しましょう。

透析直後に出る熱の主な原因は感染症です。透析患者さんは感染しやすい身体の状態にあり、感染すると治りにくいので感染しないように予防するように心がけましょう。

身体を清潔に保つとともに、人混みは避ける・体調管理をしっかりすることも感染予防のために重要です。

また、傷の化膿や発熱があったときにはすぐに主治医に連絡し、適切な処置を受けるようにしましょう。