末期腎不全になったら透析療法か腎臓移植から選びましょう
腎臓が悪くなった状態が続く慢性腎不全は、元の腎臓の状態への回復は見込めず、だんだんと腎臓の機能が低下していきます。末期腎不全まで腎臓の機能が低下すると、透析療法か腎臓移植が必要です。
腎不全の治療法、末期腎不全では体にどのような症状が出るかを確認し、血液透析、腹膜透析、腎臓移植のそれぞれの治療法のメリットを比べてみましょう。末期腎不全となり、透析療法か腎臓移植のどちらを選ぶか悩んだ際の参考にしてください。
腎不全の治療法
腎不全の状態が持続する慢性腎不全では、正常な腎臓の状態への回復は難しく、徐々に腎臓の機能低下が進行していきます。慢性腎不全の治療では、今の状態をできるだけ維持し、透析療法や腎臓移植が必要となる末期腎不全への進行を遅らせることが目的となります。
治療は、腎不全の原因となる糖尿病や腎炎などの病気の治療、高血圧、脂質異常症、肥満などの生活習慣病に対する食事療法、生活指導、薬物療法を行います。
末期腎不全になったら透析療法か腎臓移植から選びましょう
末期腎不全となり、腎臓の機能が正常の10%以下まで低下すると、尿毒素や余分な水分を体から排出することができず、尿毒症の症状は重くなります。呼吸困難やひどい吐き気、意識障害などを起こり、心不全や不整脈、突然死を引き起こす高カリウム血症などの重篤な合併症も伴うようになります。
末期腎不全の治療法は、低下した腎臓の機能を部分的に補う透析療法か、ほかの人の腎臓を移植する腎臓移植のどちらかです。吐き気や食欲低下、体のむくみ、心不全、高カリウム血症などが薬物療法で改善できない場合には、はやめに透析の導入や腎臓移植を検討する必要があります。
血液透析のメリット
血液透析は、体内から血液を取り出してダイアライザに通し、人工的に尿毒素や過剰な水分を除去する方法です。あくまでも部分的に腎臓の機能を補う方法で、血液透析だけで腎臓の機能をすべて補うことはできません。
一般的には透析施設に週3日通院して行う治療のため、透析患者はベッドで過ごしていれば、透析機器の操作などの血液透析の手順はすべて医療者が行ってくれます。医療者が状態を確認しながら治療が行えるので、その日の体調によって透析量やスピードをコントロールでき、合併症の管理が行いやすい点がメリットです。
腹膜透析のメリット
腹膜透析は在宅で行える透析療法で、自分の腹膜を利用して血液を浄化します。通院頻度は月1~2回で自宅にて透析治療を行えるため、自由な時間を持ちやすいメリットがあります。
血液透析のようにシャントをつくる必要もなく、針を刺す痛みもありません。時間をかけて血液を浄化するので、心臓にかかる負担も少なくて済み、腎臓の機能を保ちやすい点もメリットです。血液透析に比べると食事制限も緩やかです。
腎移植のメリット
腎臓移植はほかの人の腎臓を手術で移植する治療法です。透析療法が必要ないため、通院回数が減り、生活が制限されにくくなります。仕事や趣味活動などの社会参加も行いやすく、食事制限や水分制限も透析療法に比べて緩やかです。妊娠・出産も腎臓の機能が保たれていれば可能です。
まとめ
腎臓の機能が著しく低下した末期腎不全の状態になると、治療法として透析療法の血液透析か腹膜透析、または腎臓移植のどちらかを選ばなければなりません。それぞれの治療法の特徴やメリットを理解し、透析患者の年齢、体の状態、生活スタイルなどからどの治療法が適しているかを医師と相談のうえ、選びましょう。
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