糖尿病食とは違う?透析患者の食事療法4つのポイント
糖尿病を長く患っていると、次第に腎臓の機能が低下して糖尿病性腎症を起こしてしまうことがあります。
腎臓の機能は一度落ちてしまうとなかなか回復が難しいもの。症状が進んで慢性腎不全に陥ると、人工透析治療が必要になります。
糖尿病の治療と同じく人工透析治療にも食事療法は欠かせませんが、糖尿病食とはまた違った注意が必要になります。
では、糖尿病と人工透析の食事療法はどこが違うのでしょうか?
透析患者の食事療法が糖尿病患者とは違う理由
糖尿病の食事療法の基本は、適正なエネルギー量をとることと栄養バランスに気をつけることです。もちろん、合併症の予防のために薄味にするといった注意は必要ですが、食べてはいけない物はほぼありません。
人工透析治療は腎臓の働きを機械で代替するものですが、本来24時間休まず働く腎臓の機能すべてを、週に数回の治療で代行することは不可能です。そのため人工透析治療での食事療法は、食事から出る老廃物をなるべく少なくすることが基本となります。
食事療法をまったくしないと、透析で取り除ききれなかった老廃物が体内に溜まり合併症を起こしてしまうことがあります。
透析患者の食事療法4つのポイント
1.タンパク質の摂取量に注意
タンパク質が分解されると、尿酸・尿素・アンモニアといった窒素化合物が出ます。この量があまりに多いと、人工透析をしても十分に除去することができません。
ただし、タンパク質は私たちの体を作っている大切な要素です。1日60g程度という適正量を摂るよう心がけましょう。
2.カロリー不足に注意
透析患者の中には食事制限を守ろうとするあまり、カロリー不足に陥ってしまう人がいます。カロリーが不足すると、体は体内のタンパク質を分解してエネルギーとして使うようになります。すると、タンパク質を分解した後の老廃物が増えてしまいます。
運動量によって変わりますが、体を維持するのに必要なエネルギー量は体重1kgあたり30~35kcalです。食事療法ではカロリーもしっかり摂るようにしましょう。
3.塩分は控えめに
塩分を摂りすぎると、喉が渇いて水分がほしくなります。しかし、人工透析では排出できる水分量に限界があるため、水分を摂り過ぎると高血圧やむくみといった症状が現れます。塩分は1日6g以下に抑えるようにしましょう。
人工透析では水分の管理も大切
腎臓の機能が低下すると尿が出にくくなり、体内に水が溜まって心臓に負担がかかります。そのため人工透析では、不要な水分を排出します。しかし、一度にたくさんの水分を排出すると、やはり心臓に負担がかかって血圧低下などを引き起こすことがあります。
透析患者の食事療法では、摂取する水分量にも気をつける必要があります。食事から1,000cc、飲み物からは500cc程度が目安です。人工透析の食事療法については、こちらの記事もご参照ください。
まとめ
なぜ人工透析では食事療法が必要なのか、お分かりいただけたでしょうか。弱ってしまった腎臓と長くつきあうためには、糖尿病食よりもさらに厳格な食事療法をしなければなりません。
人工透析を行っている透析クリニックでは、管理栄養士が常駐して相談を受け付けているところも多くなっています。透析食に対応した宅配を行っている業者もあります。まずはかかりつけの医師に相談をしてみてください。
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