透析患者は声が出ない?声がれや声がかすれる原因と対策
透析患者は全身にさまざまな症状が現れますが、声がかれる、声がかすれるといった症状がみられることがあります。声が出にくいと日常生活にも支障をきたしますので、なぜ、このような症状が出るのか原因を理解し、対策方法を知っておきましょう。
透析患者は声が出にくい?
透析患者の中には、透析中や透析後に声がかすれる、声が出ないといった症状が出る人もいます。透析中や透析後以外でも声が出にくい症状が続く場合もあります。
・医療法人 仁医会 井口医院 いのくち栄養だより2014.2
・北野病院 腎臓内科・血液浄化センター 慢性腎臓病のしおり
声がれやかすれる原因と対策
透析患者に声がれ、声がかすれる症状がみられる原因として、透析での過剰な除水が挙げられます。透析での除水量が多すぎると声が出にくくなることがあります。
声がれや声がかすれる原因
透析で過剰に除水すると脱水を起こして、血圧の低下、足がつる、ふらつき、体のだるさなどとともに、声がれ、声がかすれる症状はみられることもあります。
過剰な除水が起こるのは、透析での除水量が多くなった場合や、ドライウェイトの設定が適正な体重より低すぎる場合です。
声がれや声がかすれる症状がおこったときの対策
声がれ、声がかすれる症状への対策として、水分、塩分の制限と、ドライウェイトの見直しがあります。
水分、塩分の制限
透析日と透析日の間の体重増加が多いと、除水量が多くなります。透析患者の体重増加は摂った水分量と塩分量が大きく影響するため、日常生活での水分制限、塩分制限が大切です。
塩分を摂り過ぎると、体は水分をため込もうとするので、塩分制限をすると同時に水分の摂取も抑えられます。塩分の制限は、喉の渇きを抑え、水分の過剰摂取も防げます。
高血糖になると、喉の渇きで水分をとる量が増えやすくなるので注意が必要です。水分は飲み水だけでなく、おかゆやシチューなどの水分量の多い食事も控えましょう。
あらかじめペットボトルや水筒に入れた水分をとるようにすると、水分量を管理しやすくなります。どうしても喉が渇いた場合は氷をなめる、うがいをするなどして、のどを潤しましょう。
ドライウェイトの見直し
ドライウェイトは、体の水分量が適正な状態のときの体重です。除水量はドライウェイトを目安にして計算します。
ドライウェイトが本来の値よりも低く設定されていると、体の適正な水分量を超えて除水されてしまうので、血圧の低下などとともに声がれや声がかすれる症状が出る原因になります。
便秘や下痢、体重測定時の衣服の重さ、食欲不振、食べ過ぎ、体調不良などで、実際の体重からの変化が考えられるときは、ドライウェイトの見直しが必要です。下痢や食欲低下、体調不良などでやせた場合や、夏服から冬服になって衣服の重さが増した場合は、ドライウェイトを高く設定しなければなりません。反対に、食べ過ぎで太った場合や、冬服から夏服になって衣服の重さが軽くなった場合は、ドライウェイトを低く設定します。
声がれ、声がかすれる、声が出ない症状や、血圧の低下、ふらつき、足がつるなどの症状が続くときは、主治医に相談してみましょう。
まとめ
透析患者は過剰な除水により、脱水状態となると、血圧の低下や足がつるなどの症状とともに、声が出ない、声がかれる症状がみられることがあります。除水量が多すぎる場合やドライウェイトの設定が低い場合に起こります。
水分量と塩分量を制限して体重増加を抑え、除水量が多くなり過ぎないようにしましょう。声がれの症状が日常生活に支障をきたす場合は、ドライウェイトの設定を見直す必要があるかもしれないので、主治医に相談してみてください。
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