人工透析は毎日するのがベスト?はい。在宅血液透析なら可能です
腎臓の機能が低下している患者にとって、人工透析は生命維持のために欠かせない治療です。できるだけ余命を延ばすためには、人工透析は毎日受けた方がよいのでしょうか。一般的な人工透析はなぜ週3回なのかについて知り、理想的な人工透析の回数や在宅血液透析についての理解を深めましょう。
人工透析の標準回数は週3回
一般的な透析施設で行う人工透析は、週3回・1回4時間程度で、週のトータルの透析時間は12時間程度です。週3回の透析が一般的なのは、保険診療で受けられる透析治療が月に合計14回と決められているためです(週3回×4週間+2回)。週に12時間程度の透析は生命維持を行うために必要最低限の量と言われています。
24時間休みなく、体内の水分や老廃物を尿として排出している腎臓の機能を少しでも多く補うために、1回6時間以上透析治療を受ける長時間透析や週5回以上の透析を行う頻回透析、夜間就寝中の7~8時間程度を透析治療に充てるオーバーナイト透析などを提供する施設もあります。また、自宅で都合に合わせた回数・時間で透析を行う在宅透析を行っている患者もいます。
人工透析は毎日するのが理想です
週3回の標準的な人工透析は月・水・金、もしくは火・木・土のスケジュールで行われるのが一般的です。中2日空く土日もしくは日月は老廃物や水分が多く溜まります。透析と透析の間の空きが少ない隔日透析や連日透析は老廃物や水分を身体に溜めにくい状態となります。
死亡率の低減が期待される頻回透析と長時間透析の両方を実現でき、QOL向上も認められている在宅透析は理想的な透析スタイルと言えます。しかし、2021年12月末の時点で、在宅透析の実施割合は、全体の透析治療のわずか0.2%にとどまっています。この非常に低い数字からも、今後のデータ収集や分析によって、より詳細な状況が明らかになることが期待されています。
在宅血液透析のススメ
在宅血液透析は、透析装置を自宅に設置して、在宅で透析治療を行う方法です。自分の都合や体調に合わせて透析ができ、毎日3時間程度の透析や就寝中の7~8時間程度の透析も可能です。
研究によると、長時間透析や頻回透析は、週に3回の一般的な透析治療よりも死亡率が低いという報告もあり、毎日透析を行うことで患者の寿命を延ばす可能性も示唆されています。
透析施設で行う一般的な透析と比べて、通院の手間を省いて、自分の都合に合わせて透析の時間や回数を調整できるメリットがあります。さらに、週に6回・1回約2時間の透析によって、生活の質(QOL)が向上したという報告もあります。1)
在宅血液透析には介助者が必須で、透析装置の設置や自己穿刺のスキルが必要なため、簡単に導入可能な透析治療ではありませんが、生活の自由度が高まり、QOLの向上をめざせる透析方法です。
まとめ
透析施設で受ける透析治療は保険診療の制度から、週3回・1回4時間程度が一般的です。透析と透析の間を空けずに行うことが可能な在宅血液透析は、さまざまな条件をクリアする必要があるので、導入にはハードルの高さがあります。しかし、余命を延ばす可能性や生活の充実度を向上させる点においてメリットのある方法だと言えるでしょう。
※コラムに関する個別のご質問には応じておりません。また、当院以外の施設の紹介もできかねます。恐れ入りますが、ご了承ください。
※当ブログの記載内容によって被った損害・損失については一切の責任を負いかねます。ご了承ください。