透析患者もクルーズ船で旅に出よう!日本初の透析クルーズがいよいよ実現?
透析患者が船で透析治療を受けられる設備が整った透析クルーズが日本で計画されています。すでにアメリカで実施されている透析クルーズについて、また、クルーズ船で旅行する際の注意点についても説明しています。透析患者の新しい旅行の選択肢となる透析クルーズの世界をのぞいてみましょう。
2023年に日本初の透析クルーズが出港される?
透析クルーズは、クルーズ船に透析施設が備えられ、医師、看護師、臨床工学技士などの医療スタッフも乗船して、クルーズを楽しみながらクルーズ船の中で透析治療が受けられる環境が整っているツアーです。船で透析治療を受けながら、さまざまな観光地を訪れて、船旅を楽しむことができます。
イタリアの世界的なクルーズ会社の日本法人と透析患者の海外旅行サポートの実績のある日本の旅行会社と提携して、17万トンの巨大クルーズ船にて透析クルーズを実現する事業が進められています。日本初の透析クルーズは、早くて2023年夏ごろに実現見込みと発表されています。寄港地への移動中にクルーズ船の中で週3回の透析治療を受けられます。寄港地が海外であっても、日本人の医療スタッフが対応します。採用された透析機器も日本の医療機器メーカーのものです。
アメリカにも透析クルーズがあった
アメリカの旅行会社ではすでに透析クルーズが実施されています。透析専門事業者がクルーズ船に透析治療の機材を搬入し、透析治療専門のスタッフが乗船して、海外クルーズでの透析治療をサポートしています。
透析装置や透析で使用するダイアライザなどは海外製で、ダイアライザが体質に合わない場合は透析患者自身が持ち込む必要があります。造血ホルモンも透析患者自身で用意しなければならず、事前に長期間効果が持続する造血ホルモンを投与してもらうなどの事前準備が必要です。
透析患者がクルーズ船で旅行する際の注意点
透析患者がクルーズ船で旅行する際には、次の点に注意が必要です。これはアメリカの透析クルーズのケースですが、ぜひ参考にしてください。
- あらかじめ、クルーズで使用されるダイアライザの種類を確認し、普段の透析治療で使っているものと違う場合には、医師に相談の上、前もって使用して身体に慣れさせる、またはいつも使用しているダイアライザを代わりに持っていってもよいかを確認する。
- クルーズ中も普段通りに水分の摂り過ぎや食べ過ぎに気を付ける。
- 透析クルーズにあたっての必要書類や検査・治療のデータを確認し、準備する。
- 海外の透析クルーズ利用時は、必要書類は英文で書く必要がある。
- 旅行スケジュールと照らし合わせて前もって透析治療の時間予約をしておく。
- 海外クルーズの場合は、医療スタッフもすべて外国人で会話は英語。治療中は透析室に添乗員が入れないため、英語に不安のある人は、医師に伝える必要がある事項は事前に通訳してもらっておく。
- 海外の透析クルーズ料金はクルーズ料金+透析治療の費用+医療費情報処理費がかかる。透析費用は海外では日本のように助成がないので高額である。医療費の還付もあるが、必要書類などを調べる必要がある。
- 海外の透析クルーズは透析患者1名では参加できず、同伴者が1名以上必要。
まとめ
海外では透析クルーズが実際に行われていますが、使用する機器やダイアライザは海外製、必要書類はすべて英語での記入、医療スタッフとの会話もすべて英語といったように日本の透析治療の環境とは異なる環境下のため、事前の準備や言葉の壁の負担が大きくなります。
もし、日本において日本製の医療機器を使用して、日本人の医療スタッフによる透析クルーズが実現すれば、普段の透析治療とは大きく変わらない環境の中で、少ないストレスで透析治療を受けられるようになるでしょう。日本の透析クルーズ開始が待たれるところです。
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