透析患者なのに暴飲暴食が止められない方へ
透析患者はたとえ透析治療を始めても、元通りの食生活に戻していいわけではありません。食事療法は透析患者にとって重要な治療のひとつです。透析患者に食事療法が欠かせない理由と暴飲暴食が招くリスクについて学び、暴飲暴食をやめられない透析患者への対応方法を知りましょう。
透析患者に食事療法は欠かせません
透析は、はたらきが悪くなった腎臓の代わりに、血液中の老廃物や余分な水分や塩分を取り除く治療法です。
しかし、透析治療で腎臓のはたらきをすべて補えるわけではありません。たとえ、透析治療を行っていたとしても、それぞれの栄養素の適切な摂取量を守って食事療法を続けることが大切です。
透析治療によって失われやすいタンパク質の制限は、透析治療を始める前よりも緩和されますが、塩分、カルシウム、リンは継続して制限が必要となります。
暴飲暴食はリスク大
透析患者にとって暴飲暴食は注意が必要です。透析患者は、飲んだり食べたりして摂った水分量が、そのまま体重増加として現れます。
体重増加量が多いと、透析の際にたくさん水分を引かなければなりません。多量に除水すると、体の水分量の変化や電解質のバランスの崩れに体が対応できず、血圧低下や筋肉のけいれん、吐き気などが起こります。ひどいときはショック状態になることもあり、危険です。
暴飲暴食は、透析時や透析後の体調不良をきたすだけでなく、体にたまった水分がむくみとなり、肺や心臓にも負担をかけます。倦怠感や息苦しさなどの症状が出て、体が辛いうえに、多量の除水で体調不良をきたすので、透析治療へのモチベーションも下がりかねません。
もし、暴飲暴食がやめられない家族がいたら
透析治療をしているのに暴飲暴食をやめられない家族をみると、心配する気持ちから、ついつい透析患者本人に食事制限や水分制限を守るようにきつく言ってしまいがちです。繰り返し言うと、家族関係の悪化にもつながりかねません。
暴飲暴食をやめられない透析患者本人は、どこまで食事療法を正しく理解し、食事療法に対してどのような思いを抱いているのでしょうか。食事療法自体がストレスとなっているケースも考えられます。
暴飲暴食がやめられない原因別の対策方法
食事療法の大切さを理解していない透析患者の場合は、本人が信頼をおいている主治医や医療スタッフから、なぜ食事療法が必要なのか、暴飲暴食を続けているとどうなってしまうのかを説明してもらうのがよいでしょう。
透析患者本人だけでなく、家族も食事は何もかも制限しなければならないと間違った認識を持っていて、お互いにストレスがたまっているケースもあるかもしれません。その場合は、主治医や医療スタッフから正しい食事療法の知識を得る時間を持ちましょう。適切な工夫によって食事の幅が広がると、ストレスが和らぐかもしれません。
食事療法の大切さを理解しながらも、生活や食事が制限されるストレスで暴飲暴食をやめられないのであれば、透析患者本人の気持ちを受け止めつつ、ストレスの緩和を図っていく必要があります。患者の気持ちを受け止めて話を聞き、食事量や水分量をコントロールできそうな場面から、少しずつ変えていくという方法です。
透析を受けている医療機関や連携している医療機関にて、メンタルケアの相談を行える場合があります。困ったときは家族だけで解決しようと思わず、主治医や医療スタッフに相談してください。
・株式会社ペイシェントフッド 透析患者の70%以上がうつ病・抑うつ経験者!?患者を取り巻く環境の実態を調査
・腎臓病なんでもサイト 透析導入期のストレスを乗り越えるために
・じんラボ 春はストレスに要注意! 腎臓とストレスの関係
まとめ
透析治療をしながら暴飲暴食を続けていると、むくみや息苦しさ、倦怠感などの体のしんどさが続くだけでなく、透析中の体調不良にもつながります。暴飲暴食がやめられない家族がいる場合は、原因を探って対応する必要があります。
家族間で言い合いになって、関係性が悪化してしまうこともあるので、主治医や医療スタッフに相談し、透析患者の状況にあった対応をとっていきましょう。
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