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2024年09月05日

【保存版】透析患者や糖尿病患者が食べてはいけないもの一覧表

腎臓病の方と透析患者さんにとって、毎日の食事は治療の一環でもあります。食事制限は「食べてはいけない」のではなく、気をつけたい食品の量を調整して食べることができます。本記事では、腎臓病・透析患者さん向けに、量の調整のポイント、ステージ別の制限すべき食品、さらに外食やコンビニで避けたいメニュー例までまとめました。日常生活に役立つ食品選びの工夫もあわせて紹介します。

腎臓病でも量を調整すれば食べられる?

腎臓病と診断されたからといって、すべての食品を避ける必要はありません。栄養素ごとの摂取量を守るために量を調整し、腎臓への負担を減らすことが大切です。以下は、量を調整するための具体的な方法です。

食品

  • 肉や魚は1食分を計量し、食べる量を調整する
  • ・野菜や果物は1日の上限量を確認し、複数回に分けて食べる
  • 高カリウム食品(芋類・バナナなど)や、
    高リン食品(乳製品・ナッツなど)は摂取量に注意する
  • 塩分の多い食品は控える、または他の食事で塩分を減らす
  • 間食は低たんぱく・低塩分の食品に置き換える
  • 外食時は残すことも検討する

・全腎協 腎臓病について

腎臓病のステージ別|制限すべき食品の違い

腎臓病(慢性腎臓病:CKD)は、進行度によって食事制限の内容が変わります。

※単位
GFR:糸球体濾過量(mL/min/1.73m²)
BW:標準体重(身長(m) × 身長(m) × 22)

食事制限

保存期初期:ステージ1(GFR≧90)、2(GFR 60~89)

  • 塩分:3g以上6g未満/日
  • エネルギー:25~35kcal/kgBW/日
  • たんぱく質:過剰に摂取しない
  • カリウム:制限なし

保存期中期:ステージ3a(GFR45~59)、3b(GFR30~44)

  • 塩分:3g以上6g未満/日
  • エネルギー:25~35 kcal/kgBW/日
  • たんぱく質:3aは0.8~1.0g/kgBW/日、3bは0.6~0.8g/kgBW/日
  • カリウム:3aは制限なし、3bは2,000mg/日以下

保存期後期:ステージ4(GFR 15~29)

  • 塩分:3g以上6g未満/日
  • エネルギー:25~35 kcal/kgBW/日
  • たんぱく質:0.6~0.8g/kgBW/日
  • カリウム:1,500mg/日以下

末期腎不全:ステージ5(GFR<15)

  • 塩分:3g以上6g未満/日
  • エネルギー:25~35 kcal/kgBW/日
  • たんぱく質:0.6~0.8g/kgBW/日
  • カリウム:1,500mg/日以下

透析期:ステージ5D(血液透析・週3回の場合)

  • 塩分:6g未満/日
  • エネルギー:30~35 kcal/kgBW/日
  • たんぱく質:0.9~1.2g/kgBW/日
  • 水分:できるだけ少なく
  • カリウム:2,000mg/日以下
  • リン:(たんぱく質(g)×15)以下

・日本腎臓学会 慢性腎臓病に対する食事療法基準2014年版

透析患者と食事療法について

透析治療は体内に溜まった余分な水分や毒素を取り除く治療法ですが、食事から摂取した栄養素のすべてを透析治療のみで調整することはできません。そのため、食事療法にて摂取する栄養を管理する必要があります。

透析患者の食事療法ではタンパク質とエネルギーをしっかり摂り、塩分、リン、カリウムを控える食事が基本です。水分量もできるだけ控えます。

この基準値は日本人の食事摂取基準2020と比べて、食塩量、カリウム、水分の制限は厳しいものの大きく制限しなければならないわけではないということがわかります。(表1参照)

栄養素 透析患者の食事療法基準2014 日本人の食事摂取基準2020
エネルギー 30~35kcal/kgBW/日
60kgの場合:1,800~2,100kcal
男2,200~3,050kcal/日
女1,950~2,350kcal/日
(身体活動レベルによって異なる)
タンパク質 0.9~1.2g/kgBW/日
60kgの場合:54~72g/日
男65g/日、女50g/日
食塩 6g/日未満 男7.5g/日未満、女6.5g/日未満
カリウム 2,000mg/日以下 男2,500mg/日、女2,000 mg/日
リン たんぱく質(g)×15mg/日以下
60kgの場合:810~1,080mg/日以下
男1,000mg/日、女800mg/日
水分 できるだけ少なく

表1 透析患者の食事療法基準2014と日本人の食事摂取基準2020

・長井美穂 菅野義彦 透析患者の食事療法基準 2017 透析会誌50(2)p.133~138
・「日本人の食事摂取基準」策定検討会 日本人の食事摂取基準(2020年版)令和元年12月

透析患者が食べてはいけないもの

食べてはいけないもの

透析患者が「食べてはいけないもの」は正確に言うとありませんが、控えるべき食べものは存在します。適切な量を守りながらバランスよく食べることが大切です。

以下に、「気をつけたい食べ物一覧表」として、特に注意が必要なカリウム、塩分、リンを多く含む食べものを表にまとめました。それぞれの栄養素が含まれる量と、食べてはいけない理由も示していますので、参考にしてください。

気をつけて食べたいもの カリウム量(100g) 気をつけたい理由
ドライフルーツ 干しあんず:1300mg
ドライバナナ:1300mg
果物の中でもドライフルーツは特にカリウム量が多く含まれます。少量でも多くのカリウムを摂取してしまうので控えましょう。
野菜ジュース 野菜ミックスジュース:310mg
にんじんジュース:280mg
野菜ジュースはカリウムが濃縮されています。1パック200mg(約コップ1杯)の量を飲んでしまうと多くのカリウムを摂取してしまいます。
ナッツ・豆類 落花生・小粒種(炒り):760mg
ココナッツパウダー:820mg
炒り大豆(黄大豆):2000mg
ひきわり納豆:700mg
きな粉:2000mg
ゆであずき:430mg
ナッツ、豆類にも多くのカリウムが含まれます。ナッツや豆を粉末にしているココナッツパウダーやきな粉、ゆであずきなどはお菓子にも使われていますので、摂り過ぎには注意が必要です。
いも類 フライドポテト:660mg
焼き芋:500mg
じゃがいも(蒸し):420mg
大和芋(生):590mg
干し芋:980mg
いも類にも多くカリウムが含まれます。フライドポテトや焼き芋、干し芋など、間食で食べ過ぎないように気を付けたい食べものです。擦りおろした大和芋などのとろろも食べ過ぎには注意が必要です。
野菜類 ほうれんそう(生):690mg
同(ゆで):490mg
同(油いため):530mg
ブロッコリー(電子ンジ):500mg
同(焼き):820mg
同(油いため):590mg
同(ゆで):210mg
野菜類は調理法によって、カリウムの量が大きく変わります。サラダで生で食べるとカリウムを摂り過ぎてしまいます。電子レンジ調理や焼く・炒めるもカリウムが残るので、「ゆで」を基本に調理しましょう。
気をつけて食べたいもの 塩分量(1食、100g) 気をつけたい理由
インスタント食品 カップラーメン:4.9g/食
カップ焼きそば:4.7g/食
インスタント食品、特にカップ麺は塩分量が高く、1食で1日の塩分量6gを超えてしまう製品もあるため避けたい食べものです。
漬物・梅干し ザーサイ:13.7g/100g
大根みそ漬け:7.2g/100g
梅干し:18.2g/100g
漬物や梅干しにも多くの塩分が含まれています。少量でも喉が渇き、水分量が多くなってしまいやすいので控えたい食べものです。
気をつけて食べたいもの リンの量(100gあたり) 気をつけたい理由
加工食品 ボンレスハム、ロースハム(焼き):340mg/100g ハムなどの加工食品にはリンが多く含まれます。塩分も多いので、タンパク質は肉・魚など、加工していない食品から摂りましょう。
魚卵 焼きたらこ:470mg/100g 魚卵もリンが多く含まれています。塩分も高く、喉が渇いて水分量が多くなるリスクがあるので控えましょう。

出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)

こんな食事を心がけましょう

透析患者の食事では、以下のポイントを心がけましょう。

  • ご飯(エネルギー)+主菜(タンパク質)+副菜(野菜)の組み合わせでバランスよく栄養素を摂る
  • 水分・塩分は控える
  • カリウム・リンは少なめを意識する
  • エネルギーをしっかりとってタンパク質を控えるために低たんぱくご飯などの市販品も活用する

外食やコンビニで避けたいメニュー一覧

忙しい日や疲れている日など食事の用意を手軽に済ませたいときや出張時などは、外食やコンビニを利用する機会もあるでしょう。外食やコンビニは利便性が高い一方、腎臓への負担となる食品が多く含まれている場合があります。特に避けたいメニュー例は以下のとおりです。

外食やコンビニ

外食で避けたいメニュー例

  • ラーメン・うどん・そば
    塩分が多く、スープを飲み干すと1食で1日の目安を超えることがあります。

  • 丼もの
    濃い味付けとタレ、調味料に高い塩分が含まれる場合が多く、1食で1日の塩分量を超える可能性があります。

  • メインの肉や魚の量が多いメニュー
    ステーキやハンバーグなどのメインの量が多いメニューはたんぱく質の摂り過ぎになるため、量が選べるタイプがおすすめです。

コンビニで避けたいメニュー例

  • ホットスナック
    ホットスナックは高たんぱく・高塩分のものが多く、間食として食べるのは避けましょう。

  • カップ麺・インスタント麺
    塩分・リンが多く、スープまで飲むと摂取量が多くなります。

  • 漬物・佃煮・梅干し
    少量でも塩分が高く、水分摂取量の増加につながります。

  • 加工肉(ハム・ソーセージ・ベーコン)
    塩分・リンが高く、たんぱく質の過剰摂取にもつながります。

  • 野菜ジュース・ドライフルーツ
    カリウムが濃縮されており、少量でも過剰摂取になる恐れがあります。

  • 弁当・総菜
    塩分・リンが多めのものが多く見られます。選ぶ場合は、主菜や副菜の種類が多いタイプを選ぶと栄養バランスが取りやすくなります。

食品や料理を選ぶ際は、成分表示を確認し、塩分・カリウム・リンを抑えた選択を心がけることが重要です。

・KISSEI 透析レシピ レシピ11 コンビニ食の選び方
・透析レシピ レシピ1 コンビニ弁当の食べ方~幕の内弁当編~

まとめ

腎臓病や透析治療中の食事制限は、病期や検査値などの個人によって内容が変わります。摂取量を意識して身体への負担を減らすことが大切です。

ステージ別の栄養基準や食品の例を参考に、塩分・カリウム・リン・たんぱく質の摂取量をコントロールしましょう。外食やコンビニを利用する際も、メニューや成分表示を確認し、バランスを意識した選び方を心がけることが重要です。主治医や管理栄養士と相談しながら、自分に合った食事療法を続けていきましょう。

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