透析患者だってサイクリングを楽しみたい!自転車こぎのポイントと注意点
「透析患者は運動しても大丈夫なの?」「サイクリングは危ないのでは?」と不安に思う方もいらっしゃるかもしれません。透析患者さんは運動を行う方がよいとされています。透析患者さんの運動療法について期待できる効果や運動の種類を説明します。サイクリングを行うときのポイントや注意点もまとめていますので、安全にサイクリングを楽しむための参考になれば幸いです。
透析患者の運動療法について
慢性腎臓病(CKD)や透析患者さんの運動療法について、期待できることと運動療法の具体的な内容を説明します。
運動療法で透析患者に期待できること
適度な運動習慣は死亡率を低下させ、腎機能の維持や合併症の予防などが期待できます。
運動療法で期待できること | 具体的な変化 |
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運動耐容能の向上 | 少しずつ体力がつき、日常生活の動作が楽に行えるようになる |
QOL(生活の質)の向上 | 疲れにくくなり、趣味や外出を楽しめるようになる |
糖・脂質代謝の改善 | 血糖値やコレステロールをコントロールしやすくなる |
心血管疾患の予防 | 血流が改善し、心臓や血管にかかる負担が軽減される |
腎機能の低下を抑える | 血圧が安定し、腎臓への負担を減らせる |
心肺機能の向上 | 有酸素運動は心肺機能を高める |
筋肉量の増加、筋力増強 | 死亡率を高めるサルコペニアやフレイルを予防できる |
運動療法の内容
日本腎臓リハビリテーション学会による「保存期CKD患者に対する腎臓リハビリテーションの手引き」1)では有酸素運動、筋力増強運動(レジスタンス運動)の組み合わせが推奨されています。有酸素運動、筋力増強運動それぞれの具体的な例は以下のとおりです。準備運動としての柔軟体操や転倒リスクがある場合にはバランストレーニングの実施も検討されます。
有酸素運動
運動の種類 | ウォーキング、ペダル漕ぎ運動、サイクリング、水泳など |
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1日の運動量 | 20~60分/日(3~5分間の運動を合計してもよい) |
1週間の頻度 | 週3~5日 |
筋力増強運動(レジスタンス運動)
運動の種類 | スクワット、踵上げなどの大きな筋肉群の筋力トレーニング |
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1日の運動量 | 10~15回を1~3セット(個人の能力に合わせたセット数) |
1週間の頻度 | 週2~3日 |
透析患者がサイクリングするときのポイント
サイクリングは透析患者さんの生活の質向上のために取り入れたい有酸素運動の一つです。安全にサイクリングを楽しむためには、いくつかのポイントを押さえる必要があります。
1.透析のタイミングを考慮する
透析後は体力が消耗しやすいため、運動は体調が安定している時間帯に行いましょう。一般的には透析の翌日や透析前など、体調が安定しやすい時間帯を選択するとよいでしょう。透析中にベッド上で行うサイクリングとして、エルゴメーターなどのペダル漕ぎ運動を導入している透析施設もあります。
2.無理のないコース・時間を設定する
最初は10~20分程度の短時間から始め、体調に応じて少しずつ時間を延ばすことが重要です。勾配のきつい坂があるコースなどは避け、平坦な道で交通量が少なく、安全にサイクリングが行えるコースを設定しましょう。長距離のサイクリングをする場合は、途中で休憩を挟みながら無理なく行いましょう。
3.発汗と水分補給のバランスを考える
透析患者さんは水分制限があるため、脱水を予防しながら適切な水分補給が必要です。一度に多く飲んでしまわないようにできる限り常温に保った水などを一口ずつ口に含み、口全体を湿らすようにして飲みましょう。1日に飲める水分量をあらかじめ把握し、運動中に飲んだ水分量を記録しておくと水分管理が行いやすくなります。汗をかきやすい季節は脱水になりやすいので、涼しい時間帯に運動するのがおすすめです。
透析患者がサイクリングするときの注意点
透析患者さんがサイクリングを行うときには、以下の注意点を守りましょう。
1.体調を優先し、無理をしない
少しでも体調が悪いと感じる日は運動を中止しましょう。また、運動中にめまいや倦怠感を感じた場合は、すみやかに休息を取り、無理をしないことが大切です。
2.転倒やケガに注意する
筋力低下やバランス能力の低下があると、転倒のリスクが高まります。自分に合った自転車を選び、サドルの高さは足がしっかり地面に届くように設定しましょう。
3.シャントを保護する
透析患者さんの腕や足のシャントを傷つけたり圧迫したりしないようにすることが重要です。ハンドルを長時間強く握りしめると腕に負担がかかる場合があるため、休憩を挟みながら行いましょう。手のしびれや痛みなどが生じた場合はかかりつけ医療機関に相談・受診しましょう。
まとめ
サイクリングは有酸素運動であり、透析患者さんが取り入れたい運動の一つです。透析患者さんによっては運動に制限がある方もいらっしゃいますので、まずは主治医にサイクリングを行ってもよいか、どれくらいの時間の運動が適切であるかを確認しましょう。
また、透析のタイミングや体調をみながら無理なく行うことが大切です。シャントの保護、水分補給、転倒予防対策を取り、安全にサイクリングを楽しみましょう。
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