透析中に筋けいれん・こむらがえりを起こしやすい。その原因とは?
筋けいれん・こむらがえりは運動中によくみられる症状です。準備運動を十分にせずに運動をしたときや、体が冷えているとき、脱水状態のときに起こりやすくなります。
透析中は運動せずにじっとしているのに、筋けいれん・こむらがえりが起こるのはなぜでしょうか。ただ放置していると危険な病気から起こるこむらがえりもあるので確認していきましょう。
透析中の筋けいれん・こむらがえりの原因とは
透析中に筋けいれん・こむらがえり、いわゆる筋肉のつりを訴える透析患者さんは少なくありません。
透析中の筋けいれん・こむらがえりの原因
- ・血圧低下
- ・体液量の急激な変化
- ・電解質バランスの変動
- ・血行不良による筋肉の酸素不足
- ・低カルシウム血症・低カリウム血症・低マグネシウム血症
- ・カルニチン不足
- ・冷え
- ・筋疲労
- ・脊椎疾患、静脈瘤、閉塞性動脈硬化症などの病気や薬の副作用
透析中の筋けいれん・こむらがえりは、透析での血圧低下や体液量の急激な変化、電解質バランスの変動などによって血液循環が悪くなり、筋肉が酸素不足になることが原因と考えられています。
そのほかにも、カルシウムやカリウム、マグネシウムなどの低下やカルニチン不足も原因となります。
筋肉の疲れや冷え、脊椎疾患や静脈瘤などの病気や薬の副作用が原因となる場合もあります。
筋けいれん・こむらがえりのおもな症状
筋けいれん・こむらがえりでは次のような症状がみられます。
- ・強い痛み
- ・筋肉の強い収縮
- ・筋肉が硬直する
- ・筋けいれん・こむらがえりが起こっている部位を動かせなくなる
透析中の筋けいれん・こむらがえりはふくらはぎによくみられます。
強い痛みを生じ、筋肉が収縮し続ける状態、または痙攣して震える状態になって筋硬直を起こします。しばらくの間、痛みで自分では動かすことができず、時間がたつと元に戻ります。
ふくらはぎ以外にも、お腹や胸の筋肉がつることもあります。
筋けいれん・こむらがえりの予防策や対処法
筋けいれん・こむらがえりは痛みが強いので、繰り返すと辛いものです。透析中の筋けいれん・こむらがえりの予防策と対処法について説明します。
筋けいれん・こむらがえりの予防策
- ・透析間の体重増加が大きくなりすぎないように、食事や塩分量、水分量に留意する
- ・不足を指摘された場合はカルシウム、カリウム、マグネシウム、カルニチンを補う
- ・ドライウェイトを見直す
- ・足や体が冷えないように靴下や肌着で調整する
- ・適度の運動やストレッチを行い筋力や筋肉の柔軟性を保っておく
- ・透析中に足首を動かして血行を促す
透析中の筋けいれん・こむらがえりの予防策として、除水量を多くしないための体重コントロールやドライウェイトの見直し、不足している電解質やカルニチンの補給が挙げられます。冷え対策や筋疲労を防ぐ足首の体操なども予防となります。
筋けいれん・こむらがえりの対処法
筋けいれん・こむらがえりが起こったときは次のように対処しましょう。
足のつりなどの筋けいれん・こむらがえりがみられたら
まずは近くのスタッフに知らせましょう。
除水をやめて体調を確認し、血圧が低下していれば、足を上に挙げる、生理食塩水を注射するなどの処置が行われます。
ふくらはぎの筋けいれん・こむらがえりの対処法
ふくらはぎの筋肉が強く縮んでいる状態のため、足首を90度以上反らしてふくらはぎの筋肉を伸ばします。急激に行うと肉離れを起こすこともあるためゆっくりと伸ばしましょう。ふくらはぎ部分に温かいタオルを置いて温めるのも有効です。
筋けいれん・こむらがえりの薬での治療
筋肉を緩める作用のある漢方薬の「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」が使われることもあります。筋けいれん・こむらがえりが起こってから芍薬甘草湯を飲むことで症状がなくなるとされています。
まとめ
透析による血圧の低下や体液量・電解質バランスの変動により、筋けいれん・こむらがえりの症状がみられます。できるだけ緩やかな除水となるように、体重コントロールを行うことや日頃から適度な運動やストレッチで筋肉の柔軟性や筋力を保っておくことが予防となります。
透析中に筋けいれん・こむらがえりが起これば、すぐにスタッフに知らせましょう。血圧の低下がある場合は対処が必要となります。
筋けいれん・こむらがえりは放っておくと重症化する危険のある病気や薬の副作用などが原因の場合もあるため、繰り返す場合は主治医に相談しましょう。
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