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2024年07月23日

透析患者の血糖値の基準とは?危険レベルを知っておこう

透析患者の血糖値の基準とはどのくらいなのでしょうか。透析患者における血糖値の基準と起こりやすい血糖値の変化について説明します。高血糖と低血糖における危険レベルや症状も解説します。どのような症状が起こり得るのかを知り、早めの対策をとれるようにしましょう。

血糖値

透析患者の血糖値の基準

糖尿病の治療目標の血糖コントロールはHbA1c7.0%未満、グリコアルブミン値約20%未満、空腹時血糖値130mg/dL未満とされています。1)

透析患者の血糖値の基準は、透析前血糖値あるいは食後2時間の血糖値が180~200mg/dL未満、グリコアルブミン値20.0%未満です。低血糖になりやすい患者はグリコアルブミン24.0%未満が目標値とされます。2)

糖尿病の治療目標で使用されるHbA1cは赤血球内のヘモグロビンの糖化状態を測定するため、腎機能の低下により、赤血球の寿命が短くなるとHbA1c値が的確に反映されないことがあります。

その点、GA値は過去2~3週間の血糖状態を反映するため、短期間の血糖変動を評価するのに適しています。透析患者は透析治療に伴って血糖値が急激に変動する場合があるので、GA値はより適切な指標となります。

・1)糖尿病標準診療マニュアル2024
・2)血液透析患者の糖尿病治療ガイド 2012 日本透析医学会雑誌 2013 46(3)

透析前後の血糖値の変化について

糖尿病のある透析患者では、透析前に高血糖状態である場合、透析治療によって一時的に血液中のブドウ糖やインスリンが除去され、低血糖状態になることがあります。身体は低血糖状態に対処しようとホルモンを分泌する結果、透析後に高血糖になる場合があります。特にインスリン治療を受けている患者では、透析前の血糖値が高いほど透析中に血糖値が下がりやすくなります。

一方、血糖コントロールが良好な患者では、透析中の血糖値の低下が生じにくいため、透析後も高血糖への変化は起こりにくいです。

・2)血液透析患者の糖尿病治療ガイド 2012 日本透析医学会雑誌 2013 46(3)

高すぎも低すぎもヤバい!血糖値の危険レベルを知っておこう

腎機能の低下は高血糖にも低血糖にもなりやすい状態といえます。

危険レベル

高血糖の危険レベル

本来であれば、尿として排泄されるべき老廃物が蓄積して、インスリンの働きが弱まります。インスリンがしっかり働かないと、血糖値が高いままとなります。

高血糖状態が続くと、糖尿病網膜症、糖尿病性神経障害などの合併症を引き起こし、失明や下肢の壊死などのリスクも高まります。さらに、心筋梗塞や脳梗塞などの重篤な心血管疾患にもかかりやすい状態です。

血糖値が500mg/dL以上になると、吐き気、嘔吐、意識混濁、昏睡状態に陥るなどの危険な状態となることがあります。600mg/dL以上の高血糖を認め、糖尿病性ケトアシドーシスと診断された場合は緊急入院での治療が必要です。

低血糖の危険レベル

透析治療でブドウ糖が除去されて血糖値が急激に低下することで、めまい、頭痛、冷や汗、手指の震えなどの低血糖症状が現れることがあります。低血糖症状がみられる場合や血糖値60mg/dL未満となった際にはブドウ糖を摂取する処置が必要です。

さらに、血糖値が下がった場合には、頭痛、異常行動、けいれん、意識レベルの低下、昏睡状態などがみられます。場合によっては特に症状のないまま意識低下に至ることもあるため注意が必要です。

・2)血液透析患者の糖尿病治療ガイド 2012 日本透析医学会雑誌 2013 46(3)

体調不良

まとめ

透析患者は腎機能が低下しているため、インスリンの働きが悪くなり、高血糖にも低血糖にもなりやすい状態です。透析中に血糖値が低下し、透析後に高血糖状態になることがあります。500mg/dL以上の高血糖や60mg/dL未満の低血糖では、意識低下や昏睡状態に陥る危険性もあります。高血糖や低血糖がみられる場合は糖尿病治療にしっかり取り組むことが大切です。

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