全国10万人が集まる透析患者の会「腎友会」とは
腎臓病患者・透析患者の会である「腎友会」は患者の立場から患者の医療・生活を支えている会です。全国で10万人が集まる「腎友会」とはどのような患者会であるのか、その活動内容や歴史について説明し、全腎協との関連や活動についても触れています。今日の透析医療をつくってきた「腎友会」の理解を深めるきっかけになると幸いです。
全国10万人が集まる腎友会とは
「腎友会」は、腎臓病や透析治療を受けている患者自身とその仲間によってつくられた患者会です。透析患者や腎臓病患者が安心して治療を受けられるように医療制度や福祉制度の向上をめざした活動を中心に実施されています。
患者向けの電話相談や患者同士の交流会の開催、会報誌の発行、透析医療機関への送迎事業、栄養面や福祉制度に関する学習会の開催など患者の役に立つ多様な支援を行っています。また、各都道府県の腎友会が加盟している腎友会の全国組織である全腎協の活動にも協力しています。
全国の腎友会の数は約3,000あり、会員は約10万人です。(2023.12.18現在)各都道府県、地域、病院単位でつくられており、それぞれの腎友会の規模によって活動内容は異なります。腎友会の会員の年会費は、腎友会や全腎協の活動に使用され、会員同士が手を取り合って患者のQOL向上をめざした活動に取り組んでいます。
腎友会の歴史
透析医療は1967年に全額自己負担から医療保険の対象になりました。しかし、負担なしで治療を受けられるのは一部の人であり、治療費を払えない人は透析治療を受けられないまま亡くなることや、治療費の捻出のために離婚や家の売却を余儀なく選択する人も少なくありませんでした。
このような透析が必要な患者の社会状況を受けて、患者同士で助け合おうという腎友会が全国各地で立ち上げられ、各地で腎友会の運動が始まりました。こういった腎友会の活動により、透析治療を受けたい人が自己負担額を抑えて受けられる現在の透析医療のかたちが築き上げられたのです。
全腎協(全国腎臓病協議会)について
1971年に腎臓病患者の医療と生活のQOL向上を目的に「全腎協」が結成されました(当時・全国腎臓病患者連絡協議会、現・一般社団法人全国腎臓病協議会)。全腎協は日本の中でも大規模な患者会であり、会員数は約9万人(2023.12.18現在)です。
透析費用の国庫負担や透析患者の身体障がい者認定、全国各地への腎センターの設置、長期療養者の治療費の保証の4つの要求を掲げ、連日の行政への要請を重ねてきました。現在も透析患者の高齢化に伴う老々介護や透析施設への送迎、終末期医療の選択などの問題提起や患者のQOL向上のための政策提言などを行っています。
臓器移植の普及啓発や一般向けの腎臓病・透析治療に関しての社会啓発活動にも力を入れ、腎臓病患者・透析患者が生涯にわたって自分らしい療養生活を送れるように公益性の高い活動が続けられています。
まとめ
「腎友会」は全国各地の地域における腎臓病患者・透析患者の会です。腎臓病の早期発見、早期の適切な治療への移行や透析患者の生活の質の向上を目的として、医療・福祉政策への提言や患者を支える活動を行っています。現在の透析医療の体制が整ったのも腎友会の精力的な活動によるものす。腎友会は現在も患者の立場から、より良い透析医療と療養生活の質の向上のために活動し続けています。
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