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2020年09月15日

色素沈着を起こしやすい?透析患者さんの肌が黒くなる原因

透析を続けている方の中には肌の色が黒っぽくなってくることで悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

社会生活を送るうえで、見た目の悩みは心理的な負担にもなります。色素沈着を起こす原因と予防法について詳しくみていきましょう。

 

透析患者さんは色素沈着を起こしやすい

透析期間が長くなるほど、皮膚は徐々に黒くなっていくことが報告されています。透析治療が必要となった原因疾患が糖尿病性腎症の患者さんに比べて、慢性腎炎の患者さんの方が黒くなりやすいことも言われています。

透析患者さんの皮膚が黒くなる原因は、メラニン細胞を刺激して色素沈着を起こすベータ・リポトロピンという物質が健康な人の10~数十倍に及ぶことが考えられています。ベータ・リポトロピンのほかにも色素沈着を起こす尿毒素などの物質が、腎臓の機能が低下すると身体に溜まりやすくなり皮膚が黒くなります。

参考文献1:柴田昌典ほか 維持透析患者の皮膚の色素沈着透析開始

参考文献2:いい透析ドットコム

透析患者さんと色素沈着

透析患者さんの色素沈着を防ぐには

色素沈着は一旦起こると元に戻すことが難しいため、色素沈着を起こす物質が身体に溜まらないように予防することが大切です。透析患者さんは日に焼けると、健常な人よりも皮膚の色が戻りにくい傾向もあるため、日頃から日焼け対策も行いましょう。

透析患者さんの色素沈着を防ぐには次のことが有効です。

  • ・しっかりと透析をして色素沈着を起こす毒素を身体から十分に除去すること
  • ・毒素を除去しやすいハイパフォーマンスダイアライザーを用いることやオンラインHDFでの透析を行うこと
  • ・日焼け止めクリームなどの使用や、帽子、日傘、アームカバー、フェイスカバーなどを活用して日が当たることを防ぎ日焼けを予防すること
 

十分な毒素除去が色素沈着しにくくする

透析患者さんは腎臓の機能が低下し、毒素を身体から十分に排出することが難しくなります。そのため、身体に溜まった毒素を十分に除去することが必要です。

色素沈着を予防する透析治療として通常よりも孔が大きく、尿毒素などの大きめの物質を取り除きやすいハイパフォーマンスダイアライザーの使用や、多くの体液や尿毒素を除去できるオンラインHDFが活用されています。完全に色素沈着が防げるわけではありませんが、はやめに対策をとり継続することが大切です。

色素沈着は命にかかわる症状ではないものの、肌が黒くなることへの抵抗感や悩みを抱えるなど見た目の問題となります。特に女性や働き盛りで人と会う機会の多い世代では気になる症状のひとつとなるでしょう。

肌が黒くなることで、人前に出たくない、外出したくないといった精神的なストレスにつながることもあり、QOL(生活の質)にも関わってくる問題です。

最近では透析患者さんが透析治療を受けながら、充実した社会生活を送ることができるように、QOLの維持や向上にも配慮された治療が選択されています。色素沈着に悩む場合は主治医にはやめに相談し、適切な対策をとりましょう。

 

透析患者さんと色素沈着の関係

まとめ

透析患者さんは色素沈着を起こす毒素が身体に溜まりやすいことで、健康な人よりも色素沈着が起こりやすく、皮膚が黒くなる症状がみられます。

色素沈着は命の危険を伴う症状ではありませんが、見た目の問題として社会生活やQOLに関わってきます。

毒素を身体に溜めることを防ぐために十分な透析を続けること、日焼け対策をすることが必要です。

完全に色素沈着を防ぐことは難しいですが、オンラインHDFなどの治療方法もあるので、色素沈着が気になる方は主治医に相談してみてください。


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