透析後は空腹になりやすい?その理由と間食のポイント
透析患者さんは健常者よりも多くのエネルギー摂取が必要です。間食でエネルギー補給することは有用ですが、間食するときにはいくつかのポイントがあります。
今回は、透析患者さんが空腹を感じやすい理由と、間食をする際の注意点を確認しましょう。
透析後は空腹になりやすい理由
体重の変化によって調整が必要ですが、透析患者さんの推定エネルギー必要量は30~35 kcal/kg/dayとされています。
健常者の基礎代謝基準値は男性21.5~24.0kcal/kg/day、女性20.7~22.1kcal/kg/dayであり、健常者よりも透析患者さんはたくさんのエネルギー摂取が必要です。透析患者さんは痩せていると将来的な死亡リスクが高くなるため、エネルギー量不足には要注意です。
1)日本透析医学会学術委員会ガイドライン作成小委員会栄養問題検討ワーキンググループ慢性透析患者の食事療法基準 透析会誌 47( 5 )
一度の透析で消費されるエネルギー目安
透析治療ではたんぱく質やエネルギーが失われます。1回の透析で消費されるエネルギー量は約200kcalと言われています。200kcalは、食べ物では茶碗に少なめに入れた白ごはんに1杯分に相当します。
透析治療により血液が機械の中を通り身体を循環することで、心臓はたくさんの血液を送り出す必要があり、消費エネルギー量が大きくなると言われています。
夜間透析後の間食は要注意
就寝前の食事に関する是非は諸説ありますが、夜寝る2~3時間前までに食事は済ませておいた方が良いでしょう。
規則正しい時間に食事を摂ることで生活リズム・体内リズムが整い、身体が良い状態ではたらきやすくなります。
食事が不規則になるとリズムが崩れて身体の調子に影響を及ぼしたり、食べたものの消化によって夜間の睡眠時に胃腸に負担がかかってしまいます。
夜間透析後に自宅に帰ってから間食を摂ると身体への負担が大きくなる場合には、主治医に食べるものや食べるタイミングを相談しましょう。
透析後の空腹と間食のポイント
透析後に空腹を感じたときには、一日のトータルのエネルギー量を考慮しながら、栄養素を補える食べ物を選びましょう。
また、間食をする際には基本の3食の食事に影響を与えないタイミングで食べることがポイントです。
間食に適した食べ物
間食はエネルギー、たんぱく質、カリウム、リン、塩分、水分の摂りすぎにならないようにしなければなりません。菓子パンは手軽ですが、肥満や糖尿病の方、中性脂肪が高めの方は注意が必要です。
3食の量があまり食べられない人の場合
エネルギーとたんぱく質を同時に摂ることのできるおにぎりや卵サンドウィッチ、肉まんなどを選ぶと良いでしょう。
たんぱく質は摂れているけれども主食があまり食べられない人の場合
クッキーやコーヒーゼリー、蒸し饅頭などのエネルギーがとれる食べ物を選びましょう。
主食は食べられるけれどもたんぱく質が食べられない人の場合
プリンやヨーグルト、甘酒などがおすすめです。
間食を食べるタイミング
3食に影響しないタイミングや体調に合わせて間食を摂りましょう。
透析が終わった後は食事が十分に摂れない人の場合
透析中に補食することを主治医に相談してみましょう。
一度にたくさんの量を食べられない人の場合
1日の食事を5回食などに分けて基本の3食に加えて10時と15時などに補食の時間を組み合わせましょう。
活動量・運動量が増えた人の場合
運動後30分~1時間の間に間食を摂ると筋肉が付きやすくなります。
まとめ
透析治療ではエネルギーを消費するため、空腹を感じる人も少なくありません。
間食をするときには間食を含めた一日のエネルギー・栄養素の摂取量が適切であるか、食べるタイミングは3食の食事や身体の調子に影響しないかを考えて摂ることが大切です。
肥満や糖尿病、中性脂肪値の高い人などはあらかじめ、間食について主治医に相談するようにしましょう。
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