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2020年04月03日

アスタキサンチンって?糖尿病性腎症への効果とは

アスタキサンチンという名称を聞いたことがありますか?エビや鮭が赤い色をしているのは赤い天然色素であるアスタキサンチンが含まれているからなのです。

この赤い天然色素であるアスタキサンチンはカロテノイドの一種で、カロテノイドの中でも高い抗酸化作用を持つことが知られています。

アスタキサンチンの持つ作用は老化や病気の予防や改善に広く期待されており、アスタキサンチンが酸化ストレスを軽減し、腎臓の糸球体の細胞の減少を防ぐことも報告されています。アスタキサンチンの持つ効果や腎臓との関連について詳しくみていきましょう。

 

アスタキサンチンとは

アスタキサンチンは赤色の天然色素で、動物や植物に含まれるカロテノイドの一種です。エビ、タイ、鮭・マス、いくらなどはアスタキサンチンの色素によって赤い色をしています。

実は、エビやタイなどがもともとアスタキサンチンを持っているのではなく、これらが食べる藻や苔に含まれているアスタキサンチンが赤く発色しています。

 

アスタキサンチンの用途

アスタキサンチンは飼料添加物やサプリメント、化粧品などに使用されています。

飼料添加物

エビや、サケ、マスなどの養殖水産物の赤色を強く出すために、エサに混ぜられて使われています。

サプリメント・化粧品・美容ドリンク

ヘマットコッカス藻を培養してアスタキサンチンを大量につくることができるようになり、アスタキサンチンの持つ抗酸化力に着目したサプリメントや化粧品、美容ドリンクなどが商品化されています。

アスタキサンチンを含むエビ

アスタキサンチンの効能

アスタキサンチンの効能として抗酸化作用が知られていますが、そのほかにも病気への予防や治療の効果などが期待されています。

酸化を抑える

アスタキサンチンは他のカロテノイドよりも高い抗酸化作用を持つことが知られており、脂質の酸化を抑えることが報告されています。

 

炎症を抑える

炎症を起こす物質であるサイトカインの生成を抑える抗炎症作用があります。

 

血流を改善する

血流を改善するという報告があり、肩の血流改善による肩こりの緩和が報告されています。

 

動脈硬化、糖尿病、肥満症の予防や治療で応用されることへの期待

そのほか次のような作用を持つことから、メタボリックシンドロームの予防や治療に応用されることが期待されています。

  • ・血圧の上昇を抑える
  • ・脂肪組織の肥大化を抑制して体重の増加を抑える
  • ・空腹時血糖値や中性脂肪・総コレステロールを下げる
  • ・インスリン抵抗性を改善する
  • ・動脈硬化や糖尿病を防ぐ物質といわれているアディポネクチンを増やす
  • ・動脈硬化につながる脂肪の蓄積やマクロファージの泡沫化を防ぐ
 

参考文献:補完代替医療素材としてのアスタキサンチン

眼の疲れ・目の病気への応用の期待

アスタキサンチンを1か月間摂取すると、パソコン作業などで日常的に目の疲れを自覚している人の症状が緩和することが報告されています。

健常者が1か月間アスタキサンチンを摂取し続けると網膜の血流が改善することが報告されており、加齢黄斑変性や糖尿病網膜症などの眼底疾患の治療に活かされることが期待されています。

 

記憶力がよくなる

記憶をつかさどる脳の海馬の神経細胞の新生が促され、記憶や学習能力を向上させることが報告されています。

海馬の神経細胞が低下することで生じるうつ病やアルツハイマー病、慢性的なストレスへの予防になることも期待されています。

 

筋肉の疲労を軽減する

アスタキサンチンを8週間摂取し続けたアスリートは疲労の持続や筋肉痛、身体の重だるさなどを感じにくく、筋肉の疲労を軽減することが報告されています。

 

パーキンソン病の予防に応用されることへの期待

脳の中のドーパミンをつくり出す神経細胞(ドーパミンニューロン)が細胞死することを抑える作用があり、ドーパミンニューロンが変性脱落するパーキンソン病の予防に貢献されることが期待されています。

 

皮膚の老化を防ぐ

アスタキサンチンを20週間摂取することで目じりのしわや色素沈着が改善するという報告があります。

 

アスタキサンチンの効能

糖尿病性腎症とアスタキサンチン

アスタキサンチンの持つ酸化ストレスを軽減する作用と骨格筋に作用してインスリン抵抗性を改善する作用が、糖尿病性腎症の予防につながることが期待されています。

 

酸化ストレスを軽減して腎臓の糸球体機能の低下を予防

アスタキサンチンを投与すると、腎臓の糸球体メザンギウム細胞の酸化が抑えられることが報告されています。

糖尿病性腎症の原因の一つとして、腎臓の糸球体メザンギウム細胞が破壊されることが考えられており、抗酸化作用のあるアスタキサンチンを投与することで酸化ストレスが軽減され、糖尿病性腎症を予防することが期待されています。

ただし、これまでの研究ではアスタキサンチンを投与しても効果がある人と効果がない人がいることがわかっており、さらなる研究の進展が望まれています。

 

インスリン抵抗性を改善

アスタキサンチンを摂取すると骨格筋のミトコンドリア代謝が亢進し、骨格筋が遅筋に変化することがわかっています。

遅筋は、脂質の代謝や血糖値のコントロール、持久力、ストレス耐性に優れています。

骨格筋の遅筋が増えることで全身の代謝がよくなり、インスリン抵抗性の改善が期待できます。

糖尿病性腎症の原因となる2型糖尿病やメタボリックシンドロームの発症を予防することが期待されています。

 

参考文献:疾病予防に向けたアスタキサンチン研究の最前線

アスタキサンチンと腎臓の関係

まとめ

自然界に存在する赤色の色素であるアスタキサンチンが、いま注目されています。

アスタキサンチンは高い抗酸化作用や抗炎症作用、血流改善などの作用を持ち、老化や病気の症状の予防や改善への応用が期待されています。

アスタキサンチンを含むサプリメントも市販されていますが、食事や病院を受診することを控えてサプリメントを摂取することは望ましくありません。

また、サプリメントにはアスタキサンチン以外の成分が混合されていることもあります。

腎臓の機能低下などで病院にかかっているときは定期的に受診し、飲んでいる薬と一緒に飲んでも問題がないかを確認してから用量・用法を守ってサプリメントを使用しましょう。


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