メリット満載!長時間透析ってどんな透析なの?
日本透析学会によると国内には約30万人の人工透析患者がいるというデータがあります。その9割が血液透析を行っています。血液透析とは血液中の老廃物や不要な水分を透析液に排出させること。つまり、腎臓の仕事を機械で行います。
透析患者さんの標準的な透析(週3回・1回4時間)が主流ですが、近年は長時間透析をすすめる医師が増えています。1回あたりの治療時間が長い分だけ優れた効果が得られるためです。今回は長時間透析のメリットを掘り下げたいと思います。
長時間透析について知ろう
ひと昔前、医療界では人工透析は延命治療という位置づけでした。しかし今では30年、40年以上も透析を受けながら日常生活を問題なく過ごす人が増えています。現在、日本で行われている透析治療の目安は「1週間に3回・1回4時間」です。
実はこれは、明確な医学的根拠があるわけではありません。透析治療にはさまざまな意見があり、近年は長時間透析(1週間に3回・1回6時間以上)を力説する医師が増えています。4時間の短時間透析では、水分や老廃物が体内に残り負担をかけます。
1回あたりの透析時間を延長すればするほど、体内に蓄積した尿毒素をより多く除去することが可能になります。さらに、ゆっくりと時間をかけて透析を行うことで体液バランスの補正をより優しく整えます。
また、慢性的な尿毒素除去不足や体液バランスの破綻を防ぎ、透析患者の合併症を回避する確率もぐっと高くなります。長時間透析をしているほど、余命が長くなるとも言われています。
長時間透析で得られる9つのメリット
上記でもご紹介したように長時間透析には寿命が伸びるという大きなメリットがあります。可能であれば8時間透析が理想ですが、時間が確保できない場合は5~6時間でもメリットがあると言われています。
長時間透析で得られるメリットはまだまだあります。具体的にご紹介いたします。
- カリウム、リンの制限が緩やか
- 動脈硬化が進行しにくくなる
- 塩分の制限が緩やか
- 高血圧が改善
- 心不全を起こさない、心不全の悪化を防止
- 透析アミロイド症になりにくい
- 貧血の改善
- 感染症に強くなる
- 皮膚の痒みの軽減
長時間透析のメリットは、より多くの尿毒素や過剰な水分をより穏やかに除去でき、さまざまな不快な症状が改善傾向へと向かうと考えられています。
また、薬を服用する場合の多くは透析不足の症状を緩和するためです。つまり、透析不足を解消すれば、薬は劇的に減ります。薬は必要に応じて飲む程度で済むことになります。
長時間透析が向いている人とは?
ではどんな患者さんが長時間透析に適しているのか!?
「若い方」「働きが盛りの中高年」「体格が大きく食欲旺盛な方」「血圧管理が難しく、心臓に不安を抱える患者さん」「高齢者」「長期透析患者の方」「合併症の多い患者」などなど。
つまり、血液透析を受けているすべての患者さんに長時間透析は適しています。
長時間透析は拘束時間は多少長くなりますが、さまざまなメリットがあります。透析治療を行っている人は、ぜひ一度検討してみてはいかがでしょうか。まずは病院が長時間透析を行っているか確認する必要があります。さらに追加料金の有無も確認しておくと良いでしょう。
まとめ
透析技術の進歩によって、現在では4時間透析が主流です。その一方で、一度に流れる血流量が倍近くになるため、心臓への負担の大きさが懸念されています。
長時間透析とは、週18時間以上(週3回であれば1回6時間以上、隔日では1回5時間以上)の血液透析のことです。長時間透析を行うことによって、より多くの老廃物を確実に取り除くことができ、さまざまな不快症状を改善できたという結果も多数報告されています。
もし週3回の血液透析を受けるのであれば、1回あたりの治療時間を延長し、長時間透析を試してみてください。
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