自治体からも?透析治療で受けられる助成金制度を知ろう
週に平均で12時間もの治療時間がかかる人工透析。もちろんその治療費も、決して安価ではありません。
一生続けていかなければならないうえに、経済的な不安もあったとしたら、安心して治療に臨むこともできなくなります。
そのために、人工透析治療にはさまざまな公的助成金制度が利用できるようになっています。
透析治療と助成金・自己負担額の関係
透析治療で受けられる一般的な助成金って?
人工透析にかかる治療費は、1ヶ月につき約40万円といわれています。これほど高額な治療を受け続けたら、いくらお金があっても足りるものではありません。でも人工透析治療では、さまざまな助成金制度が充実しているので、必要な手続きをとることで、経済的な負担を感じずに治療を続けることができるのです。
一般的に高額な療養費がかかった場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分は、申請すればあとで払い戻してもらうことができます。これが健康保険の「高額療養費返還制度」です。
透析治療の自己負担額について
人工透析治療を受けなければならない慢性腎不全の場合、「長期高額疾病(特定疾病)」に指定されているので、特例として1ヶ月の自己負担額は1万円が上限となります。この特定疾病の指定を受けるためには、事前に申請をして「特定疾病療養受療証」を受け取っておかなければなりません。その「特定疾病療養受療証」と健康保険証を提示すると、1ヶ月に1万円以上は支払わなくてよくなります。
ただし、月に53万円以上の収入がある患者さんの場合は、自己負担額の上限が2万円となります。またこの上限金額は、通院、入院、薬局をそれぞれ別に計算するので、人工透析の通院治療以外に入院をして、さらに投薬治療を行った場合、最大3万円を支払うことになります。さらに入院時の食事代は療養費に含まれないので、自己負担しなければなりません。
透析治療で受けられる助成金の種類とは
人工透析治療を受けなければならない慢性腎不全では、ほとんどの場合、申請すれば身体障害者1級に認定されます。この認定を受けると、さらにさまざまな医療費の助成金制度が利用できます。
所得と透析治療の助成金額について
「自立支援医療(更生・育成医療)」という国の制度では、人工透析治療を受けた場合の自己負担分を助成してもらうことができます。助成金額は原則として9割ですが、所得によってさらに自己負担分を軽減してもらえることも。また18歳未満の患者さんの場合は、「小児慢性特定疾患治療研究事業」という制度でも医療費の助成が受けられます。
こういった国の助成金制度を利用するためには、身体障害者手帳の交付を受けていることに加えて、治療を受ける病院が「自立支援医療機関」に指定されていなければなりません。治療を受ける際には、病院が自立支援医療機関になっているか確認してみましょう。
透析治療と自治体による助成金制度
また身体障害者に対して、各都道府県や市区町村などの自治体が、独自に助成を行っている場合があります。なかには入院したときの食事代についても助成を行っている自治体もあります。どんな制度があるのかは自治体によって異なるので、まずは役所の障害者福祉課に行って確認してみるといいでしょう。
ケースワーカーさんが常駐しているような大きな病院では、そういった自治体の助成金制度についてもケースワーカーさんが把握していて、相談に乗ってくれる場合もあります。
透析治療と障害者基礎年金について
さらに、身体障害者のなかでも1級と2級に認定されている人は、障害者年金を受け取ることができます。障害者基礎年金は1級の人で月額約10万円、2級だと月額約8万円になります。1・2級の障害者に18歳未満の子供がいる場合は、金額の加算もあります。
ただし、障害者基礎年金を受け取るためには、国民年金の被保険者であることに加えて、保険料納付済期間がどのくらいなのかという規定もあります。自分が障害者年金を受け取れるかどうか、自治体の年金課に問い合わせてみるといいでしょう。
まとめ
人工透析治療をはじめとする、長期にわたって高額な治療を受け続けなければいけない病気に対しては、国や自治体などのさまざまな助成金制度があります。
届け出や手続きなどのほとんどは、書類さえそろえてしまえば郵送で申請できます。そういった助成金制度を最大限に利用して、経済的な負担をできる限り軽くすることで、安心して治療に臨みましょう。
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