みんなの透析施設への通院方法・所要時間・交通費

透析患者の皆さんが透析施設までどのような手段で通院しているのか、所要時間や交通費について、調査報告をもとにまとめてみました。それぞれのデータから考えられることも考察していますので、みんながどのくらいの距離、時間、費用をかけて通院しているのかをチェックしてみてください。

透析施設への通院方法は多岐にわたります。通院方法と割合は次のとおりです。

• 自分で車を運転（37.5％）
• 透析施設の送迎バス（24.8％）
• 家族の送迎・付き添い（12.3％）
• 1人で公共交通機関（電車・地下鉄・バス）を利用（6.3％）
• 1人で自転車またはバイク利用（5.2％）
• 1人で徒歩（3.6％）
• タクシーを利用（2.9％）
• 介護保険サービス利用・通院乗降サービスなど（1.9％）
• 介護タクシー（1.1％）
• NPO・ボランティアグループ利用（0.2％）
• その他の方法（3.8％）

自家用車を自分で運転する人の割合が最も多く、一人で通院する場合は車を必要とする方が多いことが言えるでしょう。透析施設の送迎車や家族の送迎・付き添いも多く、一人では通院困難な人も多いことがわかります。

特定の地域の調査では、独居の人ほど施設送迎の割合が多くみられました。

通院方法の確保が難しいか？という質問に対しては、難しいと感じていない人（75.5％）の方が多い結果でしたが、通院手段が確保しにくい人もいるため、通いにくい人への支援も必要だと考えられます。

・公益社団法人日本透析医会　2021 年度 血液透析患者実態調査報告書
・稲熊　大城ら　愛知県下透析患者における通院状況　透析会誌54（2）：77～88，2021

透析施設までの所要時間は15分以上30分未満（43.7％）、15分未満（40.0％）、30分以上1時間未満（13.9％）、1時間以上2時間未満（1.6％）、2時間以上（0.1％）という結果でした。

所要時間が30分未満という人が全体の約8割を占め、ほとんどの人が30分以内に通院できる透析施設に通っています。30分以上かけて通院している人も15.6％みられました。

透析施設が自宅や職場から遠いか？の問いに対しては、そう思わない（あまり・まったく合わせて）が67.5％、透析施設への行き帰りだけで疲れることはないという人も62.2％でした。通院が負担にならない距離・所要時間の透析施設を選択している人が半数以上ではありますが、地域によっては自宅から遠い場所にしか透析施設がない場合もあり、通院が負担に感じている人への通院方法の検討は必要でしょう。

・公益社団法人日本透析医会　2021 年度 血液透析患者実態調査報告書

透析施設までの1ヶ月間の交通費は次のとおりです。

• 交通費なし（42.9％）
• 5千円円未満（21.5％）
• 5千円～1万円未満（12.0％）
• 1万円～2万円未満（6.8％）
• 2万円～3万円未満（2.4％）
• 3万円以上（2.4％）

交通費なしが一番多く、次に5千円未満が多い結果でした。1万円未満は全体の76.4％を占めています。一方、月に1万円以上の交通費がかかっている人も一定数おり、中には3万円以上という人もいます。

基本的には週3回通院で往復の交通費がかかってくるため、タクシーや介護タクシー利用の場合は交通費が高くなることが予想されます。

通院にかかる交通費が高いか？という問いには、そうは思わない（あまり・まったく合わせて）という回答が70.4％でした。自家用車や透析施設の送迎サービス利用が多いからだと思われます。一方、通院の費用が負担になっている人もいることから、今後長く通い続けるための費用面でのサポートも必要とする人もいるかもしれません。

・公益社団法人日本透析医会　2021 年度 血液透析患者実態調査報告書

多くの透析患者さんが自家用車や送迎サービスを利用して通院していますが、一人での通院が難しい人や通院の距離や費用に負担を感じている人も一定数存在します。

特に、地域によっては自宅から遠い施設しか利用できないケースもあり、通院時間が長く、身体への負担も大きくなってしまうことが課題です。

これらの問題を解決するためには、通院支援の多様化や充実を図り、交通費の補助など、透析患者さんへの支援を充実させることが重要です。透析患者さんの生活の質を向上させるために、より多くの人にとって快適な通院環境の整備とサポートが求められるでしょう。