■OASIS heart 9号
現在の週3回4時間の透析では透析が足りない! |
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前回8月号で紹介したHDP(Hemodialysis Product)の数値は72以上が理想的ですが、72を確保しようとすると、週3回では1回8時間の透析が必要になります。施設透析ではなかなか困難ですが、少しでもそれに近づけたいと思い、長時間で、かつできるだけ血流量をあげること推奨していることをお話ししました。
人工透析にも実現できないことが人工透析や関連する医薬品の技術革新は著しく、患者さんも長生きできるようになってきましたが、それでもまだ人工腎臓には限界があります。たくさん透析をすることは必要なのですが、そうすれば、それだけ活力を維持するために必要な成分もたくさん流出してしまうということです。腎臓のように、選択的に不要なものだけを排出することが難しいのが現実です。 大切な物質がいっしょに流出する活力を維持するために必要な成分の代表がタンパク質・アルブミンです。血清アルブミンは3.8g/dl以上を維持できるように管理をしています。そのほか、エネルギーを産出するためには、代謝の各段階で様々な物質が介在しています。それが、ビタミン類や鉄、銅、亜鉛などのミネラル類、そしてアミノ酸類です。これらの成分が不足すると、体内の活性酸素が増えたり、免疫力が低下する、エネルギーの産出が不足し倦怠感をもたらしやすくなります。そこで、しっかり透析をすることとしっかり食べること、この両輪が必要になるのです。 栄養摂取が不足しているここからは、機会があればまたジャンキーさんにお願いしたほうががよいかもしれませんが…。飽食の時代と言われ、これだけ食料が充足しているにもかかわらず、現代人の食生活は多くの大切な成分が不足している状況です。加工食品やコンビニのお弁当などの食事が続くと、大切なミネラル分が不足してくるようです。NPO法人「食品と暮らしの安全基金」の出版する『食事でかかる栄養失調』によると、朝食にパン、昼食、夕食をコンビニ弁当ですませると、必要なミネラルが半分くらいしか摂取できないという報告があります。コンビニ弁当が悪いわけではありませんが、不足するミネラルを補う工夫が必要なようです。 旬の時期を大切にまた、現在は、季節を問わず様々な食材が生産流通されていて、一見便利で、いつも食に対する欲望を満たしてくれているように見えますが、財団法人日本土壌協会の資料によると、多くの野菜で昔に比べて含まれる栄養素が減少しているようです。野菜は、旬の時期とそれ以外では含まれる栄養分も異なっているようで、9月のホウレンソウに含まれるビタミンCは、12月のそれの1/4にすぎないという報告もあります。夏にホウレンソウでビタミンを摂取しようとすると、冬の4倍食べなければいけないことになってしまいます。カリウムも多く、いくらポパイでもそんなにたくさんはいただけませんね。 (Visited 1 times, 1 visits today) |