透析患者はうなぎがNG?その理由と正しい食べ方
夏バテ防止として食べたいうなぎですが、一般的に透析患者は控えた方がよいとされています。なぜ、透析患者は控えた方が良いのでしょうか?その理由とオススメの食べ方について見ていきましょう。
透析患者はうなぎがNG?
うなぎの成分を下記の表に示しています。
100g当たり | エネルギー | たんぱく質 | カリウム | リン | 食塩相当量 |
---|---|---|---|---|---|
うなぎ(白焼き) | 287kcal | 20.7g | 300mg | 280mg | 0.3g |
うなぎ(かば焼き) | 285kcal | 23.0g | 300mg | 300mg | 1.3g |
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
透析患者は腎臓の機能が低下しているため、通常であれば尿として排出されるリンが体の中にたまって高リン血症となりやすい状態です。高リン血症は心筋梗塞や脳梗塞などの重篤な疾患を引き起こします。
透析患者の1日のリンの目安量は体格によって変わってきますが、おおむね700~1,100mg程度です。うなぎ100g当たりのリンの量は白焼き280mg、かば焼き300mgで多くのリンが含まれています。そのため、うなぎは食べすぎに注意したい食品なのです。
それでも、うなぎを食べるなら
うなぎ100gの分量というとどれくらいの大きさでしょうか?うなぎの大きさにもよりますが、うなぎ100gは2/3本~1本程度とされています。市販のカットされた真空パック1人分のうなぎは100gであることが多いです。
100g食べてしまうとリンを多く摂ってしまうため、うなぎ1/3本程度におさめておきたいところです。また、かば焼きはタレに含まれている食塩も気になります。かば焼きのうなぎにはすでにタレがついているので追加でタレをかけると塩分の摂りすぎになるので控えましょう。
おすすめのうなぎのかば焼きの食べ方
レシピサイトでは市販のかば焼きを美味しく食べるレシピとして、うなぎについているタレを水で洗い流してからお茶で煮る、もしくはグリルで焼くというレシピが人気です。
追加のタレをかけなくても美味しく頂けるという声もあります。余分なたれを取り除くことができるため、透析患者にもおすすめの食べ方です。お茶で煮る際は、カリウムの多い玉露などは避けた方がよいでしょう。緑茶でなくても、ほうじ茶や麦茶などでも代用できます。
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うなぎ以外に回数を減らしたい食材
うなぎ以外にも食べる回数を減らした方がよい魚について説明します。
100g当たり | エネルギー | たんぱく質 | カリウム | リン | 食塩相当量 |
---|---|---|---|---|---|
ししゃも(生干し・焼き) | 162kcal | 24.3g | 400mg | 540mg | 1.6g |
しらす(半乾燥品) | 187kcal | 40.5g | 490mg | 860mg | 6.6g |
あゆ(天然・焼き) | 149kcal | 26.6g | 510mg | 460mg | 0.3g |
はも(生) | 132kcal | 22.3g | 450mg | 280mg | 0.2g |
鮭(ソテー・皮つき) | 266kcal | 25.2g | 450mg | 300mg | 0.1g |
鮭(蒸し・皮つき) | 230kcal | 23.8g | 360mg | 250mg | 0.1g |
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
ししゃも、しらす、あゆ、はもなど、うなぎ以外にも小骨が多く、骨ごと食べる魚はリンが多く含まれています。これらの魚にはカリウムも多く含まれているので食べる回数、食べる量を減らしたい魚です。ししゃもやしらすなどの干した魚は食塩量も多いため、なるべく控えましょう。
鮭はポピュラーで扱いやすい魚ですが、カリウムもリンも高めです。調理法によってカリウムやリンの量は変化し、ソテーよりも蒸し調理の方がカリウムやリンの量は抑えることができます。調理法や量に注意して食べるようにしましょう。
まとめ
うなぎなどの小骨が多く、小骨ごと食べる魚にはリンが多く含まれています。透析患者はリンの摂りすぎには気を付ける必要があるため、リンが多く含まれる魚は食べる回数や量をできるだけ控えるようにしましょう。
ししゃも、しらす、あゆ、はも、鮭などの魚はリンだけでなくカリウムも多く含まれますし、食塩量にも注意しましょう。調理法でリンやカリウム、塩分を下げる工夫をするのもよいでしょう。
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